転移魔法と四方の世界
転移魔法
その歴史はとても古い。現代よりも、神代よりも前。神話時代に造り出された神々の魔法。
現代で使える者は限られ。神獣との契約や『臨界突破』『洗礼』等を受けた者の極一部だけに、使用を許された魔法。それが、転移魔法だ。
そんな凄い魔法を地球の人間である俺が何故、使えるかって?
あれはそう。此方の世界。アリーナに飛ばされて来た、直後、目の前に胡散臭い―女神―様が現れて。
「この世界を救いなさい。セツナ」
「‥‥‥あん?! 誰だ君? ここは何処だ?」
「魔法世界よ! それと勝手に呼び出した御詫びに私の魔法を伝授するわ!その名も転移魔法陣よ!!!」
「あの、人の話を聞いてくれ‥‥‥‥」
「いい、セツナ! 転移魔法を覚えたら。まずはガリア帝国に行きなさい! そして、ガラ・ハットって胡散臭い魔法騎士とマーリンっていう美少女に助けを求めて‥‥‥‥」
「いや、まず、人の話を」
「よし! 一発で覚えてね! この、―女神―アテナの妙技を!」
「分かりました。よろしくお願いします。美少女―女神―アテナ様」
「美少女―女神―!! 追加よ! 追加! 聖魔法の基礎と治癒魔法の基本も教えてあげるわ。それが、あれば後は地上では、殆どの魔法を覚えられるわ! セツナ」
「流石です。素敵です。可愛いアテナ様」
「可愛いアテナ様! 他の―女神―の子なんか。私の事をお馬鹿アテナって言うのに。‥‥‥‥オマケよオマケ! ついでに召喚魔法も教えてあげるわ! セツナ! これで契約した。神獣や人なんかも喚べるから上手く使いなさい」
「本当にありがとうございます。天才アテナ様」
「天才アテナ様?! しょうがないわね! じゃあ次は…」
「もういい!もういいです。アテナ様!これ以上はチーターになってしまいます」
「そ、そう!謙虚、なのね!セツナは」
「いや、転移魔法に聖魔法?、治癒魔法に何でも召喚できる召喚魔法まで‥‥‥‥チート過ぎますよ。アテナ様」
「数百年振りに誉められたから。つい!」
「苦労したんですね。アテナ様は」
「うん。苦労したわ。うん‥‥‥‥セツナがこれ以上いらないならいいわ‥‥‥‥これ以上入らないならしょうがないかぁ。それじゃあ、『7の秘宝』の1つをいつかあげるわ。上手く育ててあげてね。セツナ! それじゃあ、転移魔法を教えるから良く見てなさいよ」
アテナ様は一度だけ、俺に転移魔法やその他の魔法を見せると満足そうに消えていった。
「まじで一度だけしか見せないのかよ。それから、この聖魔法、治癒魔法、召喚魔法か?どう使えばいいんだよ。そして、ここは何処なんだ」
そして、俺は知らない世界(魔法世界アリーナ)をさ迷い。―女神―アテナから授かった魔法の数々を1ヶ月の間。試行錯誤しながら自力で取得していったのだった。
「くそ、あの―女神―め。使い方くらい全部、レクチャーしてから消えろよな!危うく『死の大地』の売人に売られる所だったぞ」
その後は、ガリア帝国や中央魔法国をさ迷い歩き。その日その日を気ままに暮らしていたのだった。
(ん?おや、君! 少しいいかな?)
(あん? 何ですか?)
(目付き怖!)
(そりゃあ! どうも!)
(まぁ、とりあえず。話をしよう)
(さようなら!)
(なんでだい! 私の名前はガラ・ハット。よろしくね)
(ん? ガラ・ハット? あんたが? なんという。イケメン)
(‥‥‥‥君? 何で私の名前を?)
(あ、やべー! いえ、別にさようなら)
(いや、逃がさないよ! 君は私と一緒に来てもらおうか! 中央魔法国にある。魔術院にね)
(‥‥‥さようなら。魔法騎士さん。また、来世で‥‥‥)
(んな?! 転移魔法? 何でそんな、神話の魔法って、君、ちょつと! 待ちなさい逃げるなー!)
それからというもの。ちょくちょく俺の転移した先に現れては、俺と魔法騎士は鬼ごっこの様に追って追われてを繰り返した。
何故か、転移する場所に先回りされ。待ち伏せされていた。
(‥‥‥‥しつこいな。あんたも!)
(はぁ、はぁ、何でそんなに逃げ回るんだ?)
(なんで、先回りできるんだ?)
(質問を質問で返さないでくれるかい!君)
(あっそう!では、また、来世で‥‥‥‥あれ?)
(フフフ、転移魔法は発動できないよ。君)
(‥‥‥何をした。魔法騎士?!)
(魔術院。総出で結界を張ったのさ。君を逃さないためにね)
(俺、1人の為にそんなことまでするか? 普通?!)
(‥‥‥目の前にこれまで誰も使えなかった転移魔法者が入るんだよ? 逃がす分けないだろう。事情を説明したら皆、目の色を変えて手伝ってくれたよ。魔法研究の為にね。さぁ、お勉強の始まりだよ。転移君)
(あんたの目の色もおかしいぞ!いっちゃってる)
(魔法研究の為さ!トリスタン!イゾルテ!ガレス!カドー!囲んで捕まえて!)
((((はい! ガラ先生!!!!))))
突然、現れた学生服にマントを着けた男女4人に俺は囲まれ‥‥‥‥全てをボコボコにした。
(つ、強い!)
(何で魔道具も使わない素手だけで闘えるのよ)
(ふん! 天王洲流武術をナメるなよ。昔からこれで彩音の奴にボコボコにされてきたからな‥‥‥彩音、元気にしてるかな‥‥‥)
俺は少しセンチな気持ちになっていた。
(転移魔法も使えて素手での戦闘も強いなんて?)
(おお!痛ててて!治癒魔法、治癒魔法!)
(ガラ先生!あの人!珍しい治療魔法まで使ってますよ)
(ほ、本当だ!マジかい!)
(‥‥‥‥よし!決めた。君は必ず捕まえて。私達の学院に入学してもらう。そして、そこで魔法と魔術を徹底的に叩き込んであげよう)
(あん?)
俺の頭上から突如、女の子の声が聞こえた。
(マーリン学院長?!)((((大先生?!))))
(白いの見えてるよ!お姉さん!)
(スケベだね。少年‥‥‥一緒に来てもらうよ! そして、お勉強の始まりだよ)
(‥‥‥‥お断りだね。お勉強はあっちの世界でイヤって程したんだ。こっちの世界では、程々にお勉強して残りの人生を楽しむのさ。数ヶ月前だってヴァルハラの‥‥‥おっと、いけない)
(ヴァルハラ? なんの事だい?‥‥来るのが嫌なら、無理やり来てもらうよ!少年)
(やれるもんならやってみな! スケベ下着!!!)
ドゴンンンン!!
その後は、後の俺の師になるマーリン先生と三日三晩闘い続け。そのあくる日の日が昇り初めてた時。俺の魔力枯渇で、俺の意識が飛んで。勝負は、マーリン先生が勝ったのだった。
(はぁ、はぁ、はぁ、服がボロボロだよ! 全く。なんて、強さなんだい! おーい! ガラ先生!!)
(はい! ここに)
(彼の首にこれを付けといて)
(あの?これは?)
(力を制御する『制御の糸』だよ。触った者にしか、視ることができない魔道具さ。こんな、力で好き勝手闊歩されたら不味いからね。ある程度、本来の力を抑えておく事にするよ。全く)
(では、カチャリとっ!)
(ふぅ、さぁ、彼を中央魔法国に連れて帰ろうか。楽しい時間の始まりだね。ガラ先生!)
(‥‥‥‥フフフ、彼の全ての謎を暴き。そして、最高の魔法使いにするんですね。マーリン学院長。フフフ)
(その通りさ! ガラ先生。こんな、楽しいオモチャ育成しない分けにはいかないからね。ビシバシ鍛えてあげるよ! 愛弟子君)
それからの俺は、マーリン先生やガラ先生から来れでもかというくらいの拷問‥‥‥‥教育を受け。言葉遣いやこの世界のその他諸々の知識も叩き込まれた。死ぬかと思う程。ハードな拷問‥‥教育だった。
そして、現在。俺はあの二人をとの出会いのきっかけになった転移魔法で何処か知らない場所へとアルディスとと共に飛ばされている最中だった。
本来の転移魔法は1つの転移魔法陣に付き一人を転移させる術式だ。それを1つの転移魔法陣に二人同時。しかも、ここは、地上よりも魔力濃度が濃い『妖精国』何処に飛ばされるかも検討がつかない。あぁ、同時転移のせいだろうか?
意識が‥‥‥遠く‥‥‥‥。
『北・奈落』崩壊通路
カツン!カツン!
カツン!カツン!
一人の女性が暗闇の通路を歩いている。
「サレス様!探しました~」
「ん?テーサさん。どうしたの?」
「いえ、なんか、最近、中央にある。『妖精国』ですか?騒がしくないですか?」
「あぁ、あの、結界の外側の国ね?‥‥‥数ヶ月前にヴォーティガン君が主君の命令を無視して飛び出して行ったから。そのせいじゃないかしら?」
「ヴォーティガンですか?‥‥‥‥彼?どうしたんですかね?」
「さぁ? 知らないわ。それよりも私達はまず、北の大陸にどう帰還するかを考えましょう。テーサさん」
「あぁ、そうでした! 会議、会議と急ぎましょう。サレス様~!」
「あっ!ちょっと!待って!テーサさん!!」
「東・魔窟」
(五月蝿い! 五月蝿い! 最近、五月蝿い! 中央の国)
(どうする? どうする? 行ってみる?)
(いや、その前に! 返せよ返せ! 我らが王を)
(許せぬ! 許せぬ! どこぞの誰ぞ)
(あぁ、可愛そうな! 魔窟の主様!)
「うわぁ、今日も荒れてますね。魔獣の方々は‥‥‥‥ディアブロ殿」
「まぁ、それも分かるさ。なんたって!我らが主様が突然、いなくなったんだからな!サキュロス」
「アモンの奴もどっかへ行っちまうし! どうします?一度。地上の様子でも?」
「‥‥‥‥いや、今は時期じゃない!もう少し待とう。サキュロス」
「了解しやした。魔窟代理人・ディアブロ殿」
『東・冥界』
「離せ!ここは、何処だ!俺に何をするきだ?」
ヴォーティガンは冥界に来ても尚、抗おうとする。
暴れ回るその目の前に、一人の少女と女王が現れる。
「‥‥‥‥あら? 新人さん? エレシュキガル?」
「はい! 極悪者です。主様!」
「‥‥‥そう! ならば、それ相応の試練を‥‥‥頑張りなさいな!新人さん。全て終えた時、本当の自由が貴方を待っているわ」
「離せ! なんだ! この暗闇はよせーーーー!!!うわああああ!!」
「厳粛に罪を洗い流せ。愚者の魔神よ‥‥‥‥」
パタン。
『西・最果て』
「キシャアアア!!」
「あら?お帰りなさい。姉様!モルガン姉様は元気にしてた?」
「キシャアアア!!‥‥‥」
アヴァロンの一部はその大きな身体をみるみるうちに小さく変え。麗しき麗人に姿に変わった。
「いいえ!会えなかったわ。メリュジーヌったら竜使いが荒いんですもの。やれ、あっちにいけや、こっちに行けやなんて」
「フフフ、忙しい契約者を持つと大変なのね」
「まぁ、あの子には、昔、助けてもらった恩があるから。別に良いけどね!はい!お土産!『妖精国』のお菓子よ。メリュジーヌが大量にくれたの」
「わぁ、凄い了解。皆で分けて食べよう!!お姉さま」
「うん!そうね。いやー!久しぶりに暴れたから疲れたわ!全く、モルガン姉さんにも会わせないなんて。メリュジーヌったら全く」
「また、喚んでもらえば良いじゃん!そんな、事よりもお菓子ーー!はいはい!行きましょう。行きましょう」
そして、2人の姉妹は最果ての方へと帰って行った。




