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乖離決戦・列島を想いし皇天は未来を願う No.8 全盛期の一歩手前


〖摩天楼 廃墟地〗


「身体が成長したら傷まで治るのか……チートか」


「チートの意味はよく分からないけどね。君達が僕に与えた疲労はちゃんと貯まっているさ……そうだね。さっきまでの君の攻撃で半分程度は位は削れたんじゃないかい?」


 ……戦いが始まって散々、翻弄(ほんろう)した筈の心までゆとりが生まれている。少年の姿から大人へと心と身体が成長した結果か。


 やはり一筋縄ではいかないか。〖神々の黄昏(ラグナログ)〗のNo.4……これまで戦ってきた相手の中で最も高い数字を有する【皇帝】。


 ……数ヶ月前に戦ったNo.5〖教皇〗アトスの時は、色々な奇跡が重なり何とか勝つ事が出来た。


 あのロマ・テレシアの戦いの頃よりは確実に強くはなっているが、今回の戦いはどう転ぶだろうか?


 目の前の敵はこれまでの敵の中で最大の強敵だ。

ここはどう動くべきか……


「何をボーッとしているんだい? 構えてないと死ぬよ。光和天(わこうてん)流〖出雲(いずも)〗」


 帝が手に持つ〖天羽々あめのはばきり)〗から水蒸気が噴出する。それは何の原理かは分からないが入道雲のような形へと変化し、俺へと伸びて来る。


「これは……魔王領の……朝来流に似ている?……くッ! 神気・雷+天雷魔法〖五雷脱兎(ごらいだっと)〗」


 俺は〖神気〗と〖魔力〗の融合した力。〖天満〗で自身の身体能力を極限まで底上げした。


「へー、あの流派をしているのかい?……懐かしいね。魔王領か。遥か昔、彼等の船団が〖青龍〗の海岸で難破(なんぱ)した際、気まぐれで助けたんだよ。その時、彼等は僕に魔法大陸(エウロペ)の情報と技術を、僕は色々な剣の技術を教えあったんだ。その交流で生まれた建造物がこの〖摩天楼〗さ」


 ……余裕そうにゆっくりと剣を振りやがって。こっちはアンタが放つとてつもない殺気で攻めあぐねてるっていうのにな。


「そうか……だからここの帝都はどこか魔王領の帝都『オリエント・メイス』に似ている……は? この都市も帝都で魔王領……も?」


「そうだね。僕はゼロ君には良くしてもらっていた……なのに君は彼もやっつけてしまっていたね。〖晴嵐〗」


「……青色の刃? 〖雷打三撃〗」


ドゴオオオンン!!! バリバリバリバリ!!


 思わぬ繋がりを知った。まさか帝・ヤマトタケルと魔法大陸(エウロペ)の魔王領には、思わぬ繋がりがあったとは……いや、以外ではないか。〖神々の黄昏(ラグナログ)〗の〖死神〗ゼロ・ブレインズは魔王領の初代魔王だった。


 ゼロ・ブレインズは少し抜けている所があったし、船で難破し、極東の地に流れ着いたなんて事も低い確率だがあり得る事か……いや、普通はないな。


「……この全盛期を抑えた力でも喰らい付いて、対等に攻撃をしてくるのかい。成る程、その実力があれば、アトス君を倒したのにも納得し始めて来たよ。〖最良〗の少年。光和天(わこうてん)流〖雨垂れ〗」


「そうかよ! ならもっとスピードを上げてやる。神気・雷〖猛虎沸雷〗」


 俺は両手持つ聖打(セイント)旋棍(トンファー)に神気・雷と天雷の力を乗せ放った。


「「「「「ゴオオオオおお!!!!!」」」」」


「雷撃の猛虎かい……鬱陶しいね。神明召喚〖真神(まがみ)〗……噛み殺して上げな。真神」


 あれは? 曼陀羅寺で帝が逃げる時に召喚していた白い神獣か?


「ルオオオオ!!!」


 真神と呼ばれていた白い神獣は俺が放った猛虎の群れに迫り、帝へと向かう攻撃を止めた。


「ここに来て契約者を喚ぶか」 


「隙だらけだよ。吹っ飛びな……〖積乱〗」


「……くッ! いつの間に……」


 俺がそう言い終える前に、俺の身体は帝に蹴り飛ばされ、摩天楼の無傷の高層塔へとふきとばされた。帝のその一撃はとても重く。数百という高層塔を貫通し破壊して、俺の身体はようやく止まった。


ドガアアアンン!!!


「……身体が大人になって、筋力まで上がり、破壊力まで上がってるのかよ。神気で極限まで身体能力を上げてなかったら即死だったな。それでも両足の骨が逝ったぞ……〖賢者の石〗……〖エスフィール家の秘薬〗と……」


「西側の妙薬かい?……羨ましいね。そんな粉砕骨折した両足も即座に治せるなんて……列島大陸(イザナギ)の医療は〖七原龍〗達が管理しているから、余り発展していないだ。だからくれないかい? その知識と妙薬をさ。神明魔法〖白鶴〗……辺り一帯を吹き飛ばしな。白鶴」


「ピュルルルル!!」


「もう追いかけて来たのかよ。それにあの白い鳥は……不味い!!」


 白鶴と呼ばれる鳥が風を起こす。するとその風は刃となって、高層塔の瓦礫の山を吹き飛ばしていく。そして、そんな勢いある風は勿論、俺も吹き飛ばした。


「ぐあぁ! なんつう風力だよ!」


「そこに居たのかい? 真神、白鶴……光和天(わこうてん)流〖宍道〗」


「ルオオオオ!!」

「ピュルルル!!」


 白い狼は暴雪をお越し、白い鳥は嵐のような大風を起こす。そして、帝は……帝都の空から光の柱を出現させ、俺の眞下へと落とし始めた。


「三体一の……攻撃だと?」


「我は神なり……てね。悪いけど、ここで巻く引きだよ。〖最良の神ノ使徒〗君……」


「……クソッ……両足は治ったのに万事休すか……」


「させません。不知火神術〖舞神楽〗」

「教え子に手を出すな。不審者! 妖狐術〖三尾の纏〗」


ドゴオオオンン!!!


「焔に……九条先生……なんで?」


「担当の生徒を助けるのは教師の役目だろう。それよりも早く立て、神成 刹那。貴様はあの白鶴を先に殺れ、私は白い獣を殺るからな」

「そして、私は! 〖火炎灰峠〗」


ガキンッ!!!


「貴方をやります! ヤマトタケル殿」


「……〖最弱の神ノ使徒〗!! あと少しの所で余計な事を……それに〖玉藻の前〗……裏切るのかい?」


「黙れ。貴様など知らん。今の私は〖九条〗教師なのでな。だから、私の生徒に危害を加えた貴様は敵だ。だから殺る……覚悟しろ」


 焔と九条先生はそう告げると帝と白い獣へと攻撃を開始した……

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