同時に転移
地下空域・上空
「で?何で私まで連れてこられてるのかしら?」
ベディヴィアちゃんが腕を組、仁王立ちして俺達に聞いてくる。
「いや、君を見てると面白いから連れてきた」
「はぁ?今なんて言ったのかしら?」
「ベディヴィアちゃんの行動が面白いから連れてきた」
「おらっ!」
「ゴフッ!」
「セ、セツナ!!」
「なんで、いきなり殴るのベディヴィア卿?!」
「頭、おかしくなったにょか?」
「おかしいのはあんたらよ!なんで、アーサー様を裏切った状態の私がノコノコと『キャメロット城』に行くことになってのよ!おかしいでしょう?」
「大丈夫!大丈夫!数日前にイフリート様、宛に今回のケイ卿とユーウェイン卿の件のついでにベディヴィアちゃんの事も書いといたから。なんとかなるよ!モルガン妃もそのうち知るだろう‥‥‥‥」
「うおら!!」
「ゴフッ!」
「なに、私の安否をモルガン妃に伝えてんのよーーー!お仕置きされるでしょう!侍女時代の時みたいに!!!」
「ベディヴィア卿!落ち着いて!!」
「止めるにゃあ!!元許嫁!」
「セツナ!!」
「‥‥‥‥ねえ?!腹黒猫!今、なんて言ったのかしら」
「んにゃあ?元許嫁にゃあ!ニューエンから聞いたにゃあ!おにゃえの愛が重すぎて破局したってにゃあ!地雷女なのにゃあ!おにゃえ!」
「おらっ!」
「ふにゃあ!!危にゃいにゃあ!」
「五月蝿い!さっさと落ちなさい。腹黒猫」
「五月蝿いにゃあ!元許嫁!」
「ほ、ほらな!ベディヴィアちゃんが入るだけで面白くなるだろう!エスフィール!アルディス!」
「お、お主。いつの間に殴られた後を直した?」
「ほんとだ蹴られた後も治ってる」
「俺、特製の回復ポーションで一瞬だわ。いつも、お前達の拷問の後も使ってるんだ。飲んでみるか?」
そう言って俺は魔法の袋から、2つの回復ポーションを取り出した。
「うわ!なに、この色」
「いつも、飲んでいる回復ポーションと違わないか?セツナ」
「おっ!よく気づいたな!エスフィール。その回復ポーションには『賢者の石』の雫を水滴入れてるんだ。それを飲めば一時的に自身の魔法の能力を底上げしてくれて‥‥‥」
「成る程のう!それで?何故、貴様が北西地方の学院の宝『賢者の石』を所持しておるのだ?」
「あーー!それ、僕も質問しようとしてたんだ!ねぇ、セツナ‥‥君!どうして『賢者の石』を持ってるの?それって北西地方の学院の際奥に管理されてる物なんでしょう」
感の良い才女には困ったものだ。さて、どう言い訳するか。素直に転位魔法を使って。北西地方一帯の宝という宝を盗んだ等と口が滑っても言えるわけない。
「落ちてた‥‥‥‥それを拾った‥‥‥以上だ」
「貴様、我が城の宝だけでは飽き足らず」
「そういえば、数年前に『セルビア』でも盗みが入ってね!」
あぁ、確かに俺は昔、『セルビア』にこそっと来て。各都市と首都『オーディン』の宝物庫をガサゴソしたな。
だから、『セルビア』の転位もあっさり上手くいったのだ。宝物の方沢山頂いた。
「セツナ!そろそろ、正直に話せ!」
「セツナ‥‥君!何を隠してるの?」
金髪のメイドと金髪の男装エルフが徐々に近づいてくる。
「二人は今日も可愛いな!次の闘いも頑張ろう!俺は先にパーシヴァル卿に合流するよ。転移魔法『遠方』」
「なっ!貴様、逃げるな!」
「ちょっと!いきなり!転移魔法なんて!どこ行くの?!」
エスフィールはその場で固まり。呆れた顔をしているが、アルディスは違った。
なんと俺の方へと突っ込んで来て。俺が展開している転移用魔法陣へと入って来た。
「なっ?!退くんだ!アルディス!」
「そんな、事より『セルビア』の宝をどこにやったの?‥‥‥‥」シュン
「いや、俺は何も知らない‥‥」シュン
エスフィール視点
「‥‥‥‥行ってしまった。跡形も無く。」
「ちょっと!腹黒猫!あんた、何処触って!あれ?」
「ぐにゃあ!元許嫁!尻尾をつかむにゃあああ!!うにゃあ?」
「「二人は何処にいったの」にゃあ?」
「いや、先にパーシヴァル卿に合流すると。二人で同時に転移していった」
「ちょっと待って!二人で同時に転移ですって?この、『妖精国』で?!マジ?」
「なんにゃあ?元許嫁。にゃんか、問題でもあるのかにゃあ?」
「おおありよ!腹黒猫!この、『妖精国』は魔力濃度があの『セルビア』よりも濃いのよ!そんな、状態で同時転移なんかしたら何処に飛ばされるか分かったもんじゃないわよ!」
「では、2人は今頃」
「下手したら。敵の駐屯地か『キャメロット城』に飛ばされてるかもしれないわね」
「マジかにゃあ!」
「‥‥‥‥‥まずいな」
「まぁ、あのナルカミとアルディス王子なら何処へ行っても大丈夫でしょう。なんとかなるわよ。メイドさん」
「は、はい!そ、そうだと良いのですが。少し心配です」
「まぁ、そうよね。やっと会えたと思ったら。また直ぐに離ればなれだし‥‥‥‥‥しょうがないわね。とりあえず、私達はパーシヴァルと合流しましょう。その後は、私の配下の人達にあの二人の居場所を探すように伝えるから元気だして!」
ベディヴィア卿はそう言いながら私の肩を優しく叩いてくれた。
「なんにゃあ!おにゃえ!かなり良い奴だにゃあ!見直したのにゃあ!」
「五月蝿いわよ。アホ猫。‥‥‥‥まぁ、そういう事だから。レッドドラゴン!!」
「なんてすか?ベディヴィアちゃん?」
「なんで、あんたもベディヴィアちゃん呼び名のよ?!」
「ナルカミ殿がそう呼ぶ様に私に命じました」
「今度、会ったら。滅ぼすはナルカミ!!」
「無理にゃあ!許嫁。おにゃえはわっちのと同じ。首輪仲間にゃからにゃあ!セツニャに逆らえば、ビリビリ地獄にゃぞ!!ニャハッハ!」
セシリアは高らかに笑い喜ぶ。
「ねえ?メイドさん。貴方達のパーティーはどうなっているの?頭のおかしいのしかいないのかしら?」
「‥‥‥‥そうですね。その通りです」
「‥‥‥‥貴方も大変なのね」
「そうかもしれません」
私はそう言いながら。セツナとアル先輩の無事を祈るのだった。




