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帝都動乱 急


『上級区画と〖神帝区画〗を繋ぐ大門前』


「キュウ……キュウ……キュウー……と。〖黄金の宝物庫〗とやらに入っている間。兎の振りしてなるべく目立たずに隠れて、情報収集して待っていて下さいと雷様には言われたが……いつまで待ってればいいんだ? それにしても雷様が腰に付けてた袋の中で何が起こってんだ?」


 俺がボーッと大門前の小さな穴の中で潜みながら、帝都の空を眺めていた。すると上級区画の方から、雷様の仲間の一人……サーシャ嬢ちゃんだったか? がトコトコと歩って来た。右手に何か白い毛皮を握りしてるな。何だ? ありゃあ?


「……白い兎?……何でここに?」

「違うでありんす。これは神獣の〖神獣・鵺〗でありんしょ?」

「……うるさい。兄弟子の新たな(しもべ)


ギュッ!


「コーン?! 止めるでありんす! 貴女がウチの首に付けた〖契約の輪〗のせいで、全ての〖神秘〗の力が使えなくなってるんよ?!」

「……鈴鹿の自業自得」


「おいおい。マジかよ! サーシャ嬢ちゃん。その白い毛皮……鈴鹿御前殿なのか」


「……うん。ペットにした。これからは役立ってもらう」

「何を勝手な事を言っているでありんす! それよりもこの首に付いている〖契約の輪〗を外してほしんやけど?」

「……無理。それは兄弟子にしか外せないから、諦めて」

「嫌でありんす! ウチをこんな扱いしたら帝様が黙ってないんからね? サーシャはん」


「……戦いは終わったのか? 何か随分と仲良くなったんだな。アンタ等」


「……うん。良好な主従関係が築けた」

「違うでありんす! ウチが手加減して、油断している間に、このサーシャはんが呪いの道具をウチに付けたんよ。だから、ウチを助けなはれ。鵺はん」


「誰が助けるかよ。帝側の敵さんをよ……お! この気配は……やっと出て来てくれたか。雷様……」


 シュンッ!


「はあ~、疲れた……何で帝との戦いの前にこんな肉体的に疲れないといけないんだよ」


シュンッ!

「……何で私まで、あんな事を……イヤ。人の命がかかっていたのだから、文句は言えんが……刹那は良い思いが出来て良かったのう? 変態刹那よ……」

「何、言ってんだよ。エスフィール……君もあんなにあの花魁の娘達に容赦なかっただろうが……」


シュンッ!

「それよりも刹那さん……どうするんですか? 魔力暴走で救ってあげた列島大陸(イザナギ)の国々の姫や巫女達にあんな事をして……皆さんと関係を持ってしまうなんて」

 

「おい。焔。言い方には気をつけてくれよ。俺はあの娘達の魔力暴走を一生懸命、救ってあげただけなんだぞ」


「そうじゃな……あの場の選択はあれが最善じゃった。じゃったが……治った者達から、あのお方のお名前は? どこの国の方なのです? ご趣味は? 等とずっと聞かれる私達の身にもなるのじゃ。良かったのう。あんな美人な花魁達を救って、全員のフラグを乱立させおって」


「……心配するな。俺の恋は直ぐに破滅エンドに向かうからな。まあ……全員の魔力暴走を抑える事が出来て良かったよ。本当に……疲れたけどな」


「……魔力を発散させる為に手を突っ込めと言った時は本当に驚きました……それを私達にまでやらせるなんて。変態です」


「それで人が救えるなら安いもんだろう。焔……それに君だって、最後の方は楽しそうにしてたじゃないか……」


 

数時間前の〖黄金の宝物庫〗内


「ウアアア?!」「ギイイイ!!」「アアイアア?」「ダズゲデエエ?!」「アアウアア?!」


「……心配で中を見に来てみたが、まさか上級区画に居た花魁の娘達が、魔力暴走で怪異化し始めてるとは……」


「これは……体が崩壊しておるのか?」

「そんな?……あれは?! 雪姫さん?! それにあちらの方は早乙女家の方」


「……〖魔力暴走〗とはのう。(まれ)中の稀じゃが……まさか列島大陸(イザナギ)の魔力暴走は怪異とは思わなんだ。焔……魔力暴走ではもう手の施し様が……」


「緊急だから着物は切るからな。怒らないでくれよ。〖雷千〗」


「……刹那。貴様! どさくさに紛れて何をしておる? それに怪異化した者の……なんじゃ? 穴か? それは……何故、そんな事をしておる?」


「この娘の身体に雷魔法をながしてる。そして、電気信号で強制的に魔促進させ、活性化させるだよ」


「……活性化させる?」


「ルオオオオオ?!!……オオオアアウアアンン?! だ、ダメえええ!! イグアアア!!」


「なっ?! 怪異化した筈の雪姫さんが元の姿に戻った?」


「何、ボーッと見てんだ。君達もやるんだよ! かったぱしからな。そうしないと手遅れになるぞ! 俺達三人でこの娘達を救うんだ」


「わ、分かったのじゃ。焔もほれ、知人を救うんじゃ。ほれ!」

「は、はい。分かりました。ユナさん」



 ━━━━━そして、俺達はかったぱしから花魁の娘達の魔力暴走を荒療治で治していった。直し方は……帝との戦いが無事に終わった時にでも、回想さるか……


「ルアアア…あん……ンンン?……あれ? わっちの身体。治ってる」

「良し! 治ったな。君が無事で良かった!」

「へ?……ありがとうやす……(ポッ!)」


「アアアア!!……ア、ア、ア、ア、……下に痛みがって? 貴方、私の身体に何をしているの?」

「意識はあるか? 治って良かった! 俺も一安心だ」

「う、うん……なんか分からないけどありがとう……(カッコいい)」


「タズケエエ……下、痛い!!……何?……服が切れてる? ア、アンタがやったの?」

「おっ! 元気になったか? 無事で良かった。ゆっくり休めよ」

「ふへ?…う、うん。ありがとう……? (な、何? コイツ。いきなり、現れて私に何をしたの?)」


「ギイイイ!!………まっまって……イグググ………我慢できない……のおお!!……へ?」

「……凄い量だな。だが、もう大丈夫だな。無事で良かったよ。お姉さん」

「うぇ?……君が私を助けてくれたの?……(可愛い顔の子……)」


「……のう。焔よ。あの刹那(バカ)。新しいフラグを数分後とに建てておらんか?」

「フラグの意味は分かりませんが……流石、天然タラシ……助けた姫や巫女達が赤面してますね。あっ! あれで丁度、十人目位です」

「どんどん増えるのう。これ全てが終わったら速攻で魔法大陸(エウロペ)に、早急に帰らんと国事に新たらな火種が産まれそうじゃな」

「……帰っちゃうんですか? 早急に……」

「うむ……だが、刹那が言うには道をじゃな……」


 そんな事を〖黄金の宝物庫〗内でやり終え、後の姫や巫女さん達の事は、中に居るガブリエル達に任せ外に出てきたんだ。


▽▽▽▽▽


「……それもこれもあの鈴鹿御前が花魁の娘達を、殺そうとするのが原因」


「……うん。その原因を兄弟子にプレゼント」


 サーシャ嬢ちゃんはそう言うと鈴鹿御前殿を雷様に手渡した。


「サーシャ……もう追い着いてきのか? それに今、俺に渡してくれた物って?……」


 雷様はサーシャ嬢ちゃんに渡れた物を確認する。


「コ、コーン! 帝都に迷い込んだ白狐や」

「……ううん。違う。私との戦いに負けて、兄弟子の〖契約の輪〗を首に付けられた新しいペット」

「静かにしなんし、今のウチは可愛い白狐の鈴鹿御前でありんす……は?!」


「お前が鈴鹿御前?……お前のせいで俺は……俺達は大変だったんだぞ。成敗してやる」

「キュウウウ!! 待つでありんす~! ウチは今、無害な白狐になってるんよ~!」

「うるさい! 君のせいで余計な体力を使ったんだぞ!」

「キュンンン!! ごめんなさいでありんす~! お詫びに〖神帝区画〗へと続く大扉を今、開けるでありんす~! 〖オン・アラ〗」


 俺は鈴鹿御前? の白狐をおもいっきり振り回そうとしたが、鈴鹿御前が何かを唱えた後、目の前の大扉が静かに開き始めた。


「さっきは何をしても開かなかった扉が開いた?」

「そうやね。ウチの活躍のお陰やね? だからこの〖契約の輪〗を外し……キュウウウ?!!」


 うるさい白狐の身体をギュッ!っと絞った。


「……便利。やっぱり捕まえて正解だった。それとこれは鈴鹿が持ってた大きい剣と小さい剣……兄弟子……今度からこき使ってあげて、それで鈴鹿も喜ぶ。だから代わりに私に新しい杖をプレゼントして……」

「ああ……大小の剣?……何か〖大蛇〗がくれた剣と似てるな。そして、新しい契約者のプレゼントありがとう。今後、こき使ってやるからな。白狐……〖ルルイルの杖〗だ。好きに使ってくれ」


「……ほおおお!! 最高級の杖!! うん。大事に使から」


「ウチの身体をモフらなんし!!……ウチも最高級の神聖な存在なんでありんすが……キュウウウ!!」

「うるさい。鈴鹿……それよりもこれが終わったら、色々と質問する事やお仕置きがあるから覚悟しておけ……それと大扉の前にはやっぱり敵が居るのかよ」


「おやおや……鈴鹿御前が破れたのかい?……笑える。笑えるねえ……負けて敵に寝返るなんて笑えねえぞ。鈴鹿御前」

〖一階宮 門番 天邪鬼(あまのじゃく)


「あんはんは……天邪鬼(あまのじゃく)はん? 何を言ってるん。これには深い事情があってなあ……」

「五月蝿い。裏切り者は黙ってな……帝様に代わり……ゴボッ?!」


 天邪鬼と名乗る怪異の顔に、突然、水の球体が出現した。


「……あの神聖が交じってる水はレヴィアタンか? 戻って来てくれたのか?」


シュンッ!

「ええ、貴方からの御使いが終わったから……貴方達、先に行って良いわ。ここは私と」


シュルルル……ドカンッ!


 レヴィアタンに続き空の上から何か降ってきた。


「青龍の娘が一人。〖アオイ〗にお任せ下さい! セツナ様!」


「ア、アオイちゃん?!」


 〖七原龍・青龍〗の眷属。アオイが現れたのだった。

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