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現代魔女と逸話御前 No.3 手加減の鈴鹿御前


「……神話魔法や神代魔法の弱点は〖神秘〗が薄まれば、その効果も威力も弱くなる傾向がある。……だから貴女達。神々、神獣、幻獣、魔神……あらゆる〖神秘持ち〗は神聖が濃い所を好んで居座る」


「せやね。だから帝様もウチもこの〖神地 灰神楽〗を拠点に帝都を発展させたんやけど……外の連中……〖七原龍〗の人はん等は此処(ここ)を徹底的に壊す気みたいやね? ほんま。神話時代から変わらん暴力的な人達やね」


「……貴女は〖七原龍〗の中の誰の眷属だったの?」


「ん? 気になるん?……この術式、もう少し発動までかかるから、もう少し話そか?」


「……うん。貴女の事、だんだん興味出てきたかも」


「興味?……なんやそれ? まあ、良いわあ~、それよりもウチの眷属の話やったやねえ~、ウチは〖天照〗はんの眷属やったんよ~、スゴいやろう~?」


「……天照? あの一回倒されて、黒龍とセイメイのお陰で蘇った〖七原龍〗のこと?」


「そうやね……復活したんやね……ウチがせっかく火之神城まで行って止めをさしてあげたんやけどねえ~、ほんまにしぶとい子やんね~……神話の時代から本当に変わらない子……」


「……? (一瞬だけ凄い殺気を出した?)」


「蘇ったみたいやけど。病み上がりで帝都の西側におるんやね。勢い良く帝都に攻めて来たみたいやけど。〖鳴神〗は西の大戦で負傷、〖黒龍〗は中級区画で暴れて体力を低下させて、〖天照〗と〖月詠〗は蘇ったばかりで役立たずやね。まともに動けるのは〖樹龍〗はん位なもんやよね?」


「……教えない。それを教えたら……貴女、その神秘の力で〖七原龍〗の神々を殺しに行くんでしょう?」


「せやね……ウチは〖神殺しの力〗も持ってるさかい。神々が幾ら強くても殺せるやろうね」


「……だから私がここに残った。貴女の相手は私が最適解の相手だから」


「そんでウチをずっと監視してるって事やね。でも残念やったんな~、これで沈めたるわ~……鈴鹿剣術〖大通連 天の魔焰(まえん)〗」


 光の鳥達が炎を纏って降りてくる。無差別に降りてくる。それは敵、味方関係なく降ってきた。


〖上級区画 山本大屋敷前〗


「蓬莱殿。これはいったい?」


「俺の背中に乗りな建宮! あれは喰らっちゃいけねえ攻撃だ!」


「「「「「グオオオオオオ!!! 血迷ったか。鈴鹿御前!! 俺様が、俺様達が散らばる。上級区画中に神ノ力をバラまいてやが……があぁぁああ?!!」」」」」


 鈴鹿御前の無慈悲な無差別攻撃は、山本五郎左衛門さんもと ごろうざえもんの肉塊達へと降り注がれる。これは鈴鹿御前による偶然を装った意図的な攻撃だった。自分達が造り出そうと考える理想郷に不必要な者。山本五郎左衛門さんもと ごろうざえもんを抹殺する為の攻撃なのだ。


「……無駄。五重詠唱……五属魔法〖鐚弖儺(アテナ)〗」


 サーシャの手に持つ杖から、絹糸の様な光が空へと上がって行き、鈴鹿御前が落とした光の鳥達が一瞬で光の粒子となり、山本五郎左衛門さんもと ごろうざえもんの残った肉塊とその部下である〖腐敗〗達に降り注ぎ、身体を(むしば)まれていく。


「……これは好機だな。建宮、力を合わせな……神代・回帰……〖雷風疾風〗」

「肉塊達が動いて無いでござるか……風遁術・解離〖風月嵐山〗」


「「「「「があぁぁああ?!! や、止めろ!! 貴様等!! くそ! 来い! 俺様の餌共!!」」」」」


「「「「「オオオオォォオ!! 山本様……我々の身体が切り刻まれて……アアアアあ?!!」」」」」


 光の粒子、雷と風の内部の斬りつけ、風遁術による肉塊の切り刻みにより、山本五郎左衛門さんもと ごろうざえもんと〖腐敗〗の肉塊達は全滅した。


「あらあら、あんだけ大口叩いてはったのに、逝く時は一瞬やったね~、山本はんは……そんな事より……本当になんなん? あんはんのその現代魔法の力…異質過ぎるんとちゃう……の?……あれ? さっきまで前におったはずやのに……どこかに隠れたん?」


「……そう。貴女の後ろに這いよる混沌の様に現れるの。隙あり。エイッ!」


カチャッ!


「ん?……なんやの? カチャッて……あれ? いつの間にウチ、首に装飾品なんて付いて……る……コン?」


「……貴女に兄弟子の〖契約の輪〗を首に付けたけど……何で白い狐になってるの?」


「…コン? ウチが白い狐?……」


 鈴鹿御前は自身の現在の姿を確かめ始めた。


「……あんはん。これ……もしかして〖契約の輪〗やないん?」


「……うん。辺り。神代の時の呼び方だと確か、〖服従の首輪〗とか〖従属の印〗とか言われてる。それで効果は……」


「〖神秘〗の禁止やね。それに、この〖契約の輪〗の持ち主には絶対に逆らえない契約やったんね」


「……当たり。それとこれで私の勝ち……だからこの大きい剣と小さい剣は私が貰うから。じゃあ、バイバイ。可愛い白狐さん」


「ま、待つでありんす!……こんな神々の呪いをウチにして、服従させるなんて反則やないの~、元に戻しなはれ!」


「……じゃあ、しばらく貴女は……鈴鹿は私の使い魔になります。これから宜しく……」


ガシッ!


「は、離しなんし……こんな決着。ウチは許さへんからね~、せっかく手加減して遊んであげてたんやのに、こんなん卑怯やないの~」


 鈴鹿御前は叫びながら、サーシャの右手に掴まれながら、上級区画から移動して行ってしまった。


〖上級区画 空〗


「どうやら。あっちは終わった様だな。建宮よう」


「……まさか。あんな方法で鈴鹿御前殿に勝たれるとは、思いもござらんかったでござるよ」


「ああ、俺もだぜ。だが勝ちは勝ちだ。サーシャ嬢ちゃんは良くやってかれたぜ……だからよう。新手として登場したコイツは俺達でしとめようぜ」

「……ござるな。この程度の相手、山本五郎左衛門さんもと ごろうざえもんや鈴鹿御前を相手にするよりはよっぽど楽で御座るからな」


「グロロロロ!! ナメるなよ。神獣と忍者風情が……亡き山本野郎に代わり、この帝都を支配する〖鬼面〗を甘くみるなあ!!」

〖怪異 鬼面蟹〗襲来



〖上級区画〗最終扉


「コン……ウチの力がどんどん封印されていくでありんす」

「……そう、それさ良かった。それじゃあ、ここから案内宜しく。鈴鹿……命令に従わない時は……」


「キュイイイイイ!! 首から電力が流れて来たでありんす!! キャウウゥ……わ、分かったでありんす。帝様の元までは案内するでありんすから……雷は止めるんよ。サーシャ」


「……うん。素直に従えば良いの。鈴鹿」


 こうして、大規模の戦闘は突然、幕引きとなり、サーシャと鈴鹿御前という、新しい主従関係が生まれたのであった。



現代魔女と逸話御前


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