黒龍は鬼神と相対する No.1 悪同士の再戦
〖帝都 中級区画〗
「大蛇。先に行っているぞ!」
「シュラララ! ああ。この帝都を陥落させた後、我が造った神酒で祝杯を上げようぞ。我が新しき主よ」
「行かせるか! ボケがあぁ! 神明魔法〖悪鬼剣舞〗」
大嶽丸は拳にどす黒い魔力を帯びさせ、鵺に乗った神成達に迫る。
「シュラララララ! 我が新しき主に近づくな。神話魔法〖八蛇の縛り〗」
「ガァァアア! 〖八岐大蛇〗……何度も何度も俺の邪魔をしやがって! ぶっ殺すぞ!」
「よもや、〖黒龍〗に向かいその様な言葉使いとはな。面白い……切り刻んでやろう。大嶽丸」
黒龍と鬼神が対峙する。〖八岐大蛇〗はこの闘いの舞台を整える為に奔走していた。
目の前に大怪異が追い詰められ、真の姿で本気をになる様に他の〖七原龍〗や神成達を誘導したのだ。
自身が目の前の敵と闘い至上の愉悦を楽しむ為に。
「行ったか……帝都民の叫び声だけでは、盛り上がらんか……神話召喚……〖神宇賀神〗〖 夜刀神〗」
ズズズ……「大蛇様……」
ズズズ……「及びでしょうか?」
白闢と黒闢の巨大な蛇が召喚された。八岐大蛇が不在の際、変わりに〖神地 黒龍〗を治めていた二対の蛇神である。
「ウム。帝とやらが造った建築物は好きに破壊しろ。ただし怪異共に取り憑かれていない民は残せ……後に帝都郊外に隠れ住む者を招きいれるのでな」
「畏まりました」
「……ええ」
黒龍のその命令に従い。二対の蛇神は動き出す。選別の行い始める……列島大陸を脅かしてきた〖怪異〗の排除の選別を。
「ジュラララララ!! これで混乱が生まれる……戦いの舞台は全て整った……さあ、来い。三大妖怪の鬼神殿」
「貴様……帝様が大切に造られた帝都を蹂躙する気か?」
「最初に蹂躙して来たのは貴様だろう。〖緋龍 灰神楽〗が不在のこの地に目をつけ。元から住んでいた武家の者達を殺したのだからな……その報いを我々が受けさせる簡単な話よ。何を被害者面をしているのだ? 神代の敗北者達よ」
「……それは貴様等が俺達〖怪異〗側を罠にはめたからだろうが。何が協定だ……それに騙された大怪異様方を殺し良い気になりやがって」
「遥か昔の話だな。それに奴等は列島大陸の北の大地を住めぬ土地に変えた……月詠の民を滅ぼしてな。それを見過ごす程に我々は甘くはないわ。当然の報いを与えただけと思うがな」
「そんな事は俺達には関係がない事だろうが。次世代だった俺達が何故、しいたげられなければならねんだ。 ふざけんじゃねえぞ! 神明魔法〖鬼神の殺拳〗」
「シュラララ!! 逆恨みだな。鬼神殿よ。神話魔法〖草薙の小太刀〗」
暗黒の〖魔力〗と神話の〖神秘〗がぶつかり合い……鬼神・大嶽丸の拳の魔力が消失し大傷を負う。
「グガァ?! 俺の攻撃がかき消されただと? 何故だ?」
「……列島大陸は極東の大陸故に魔法大陸のような高度な魔法学は、未だ根付いていない様だな。まあ、不知火家や天王洲家が独占しているのだから当然か」
「魔法学だと? そんなもの何に役に立つ? 列島大陸は強さが全ての大陸。魔法の知識など必要ないわ」
「そう思う様に貴様等、怪異は育てられてきたのだな。神話に存在した〖大怪異〗共に」
〖黒龍 八岐大蛇〗と〖鬼神・大嶽丸〗が会話をしている間にも、黒龍に付き従う配下達や他の〖七原龍〗の配下が〖下位区画〗を超えてやって来る。
そして、帝都を無力化する為に暴れ出そうとした時だった。
「帝様の帝都を汚すな。〖七原龍〗の犬共!!」
〖守護兵長 般若〗
「般若様が来られたぞ。これで帝都を守ってもらえる……侵略者達を返り討ち出来る……化けろ取り憑かれて共」
「「「「「オオオオオ!!!!!」」」」」
帝都住民に化けていた〖怪異〗達が本性を現す。この帝都は人の皮を被った怪異達の楽園である……生きた人族など三割しかいない地獄の楽園……帝が理想とする未来。列島大陸を地獄へと変えたい帝の理想郷である。