四龍東方
『神地 天照 火之神城跡』
「〖黒龍〗様……次々と怪異達だった物が送られてきます」
「そうか。その中に〖怪異〗石妖族、古籠火族、提灯火族の亡骸はあるか? 西の覇者よ」
「はい。あの辺りに気配を感じます。」
「良かろう。それらを用意。灯籠、篝火を造ろうではないか。〖鳴神〗側も終わった様だしな」
シュンッ!
「ここは……瓦礫の町か?……それにあの藍色の球体は……空にルシファーとブリュンヒルデの気配が……」
シュン!
「酷い有り様ね。大都市レベルが廃墟と化すなんて」
シュン!
「怪異の大軍と東の帝軍の仕業だ。奴等は焔を騙して同盟を破り、この地を突然、侵略したのだ」
「ほう。存外、早く終わったのだな。大陸程の大規模な大戦は……久しいな。〖鳴神〗よ」
「〖八岐大蛇〗お前。復活していたのか? それにこの気配は〖灰神楽〗か?」
「うむ。新しき主に連れられ帰還した。少し、列島大陸を離れていれば、可笑しな事になっていのは驚いたぞ。鳴神」
「それはお前の責任でもあるだろう。突如、西の地に動乱と混乱を巻き起こし、去っていったお前にもな」
「シュラララ。然り。故に戻って来ただろう。サボりの〖灰神楽〗を連れ立ってな」
「……〖灰神楽〗か。そもそもあれがちゃんと東の地……帝都を治めていれば。今の状況に……〖神々の黄昏〗共の好き放題にならなかった筈なのだ」
鳴神様はそう言って焔将軍……焔が持っている赤い剣を見つめた。
「ではユナさんは『始祖・神集九煌』の一柱〖ユグドラシル神〗の眷属なのですか。驚きました」
「うむ。私の方こそ驚いたぞ。焔は〖七原龍〗の七神の内、二神の眷属とは」
「それは……〖怪異の王〗のせいです。神代から続いている〖七原龍 眷属〗狩りの対策として、だいだい将軍の家系である不知火家に、〖灰神楽〗様の眷属候補が成長するまでの契約だったのですが、現代に入ると突然、灰神楽様が消えてしまいましたので、今日までこの様な状態が続いたんです」
「……それが二神の眷属の理由とは。おい! ムササビの灰神楽。お主、地球では……」
「……それ以上は喋るのは禁止だよ。金髪の少女。今、自分がやる気を失ったら。困るのは君達だろう?」
「ぐっ……貴様……」
◇◇◇◇◇
「元気そうだな。あの馬鹿は……」
「親友なのだろ? 神代振りの再会を噛み締めて来れば良かろう」
「ああ……だか、今は〖天照〗の復活をだな」
「分かっている。我が巫女共が灯籠、篝火を今しがた完成させたわ。西の覇者よやれ!」
「はい……〖黒龍〗様……祓い給い清め給み……怨み怨み畏み畏み……アマテラスオホミカミサマ……この陰陽師 晴明の願いを賜り物たく」
(……最上位の祝詞に感謝します)
白き雲に覆われた天が割れる……割れ……美しき虹の龍が復活し、顕れた。
「……〖天照〗様が復活なされるなんて……」
「あの虹の龍が……〖天照神〗?」
神々しい龍が火之神城跡へと降りてくる。なんとも〖神秘〗を帯びた存在なのだろうか。
「〖黒龍〗様。やり遂げました……」
「ああ。感謝する。西の覇者……いや晴明よ。ここからは我々、〖七原龍〗が列島大陸を救おう……〖鳴神〗」
「……分かっている。〖灰神楽〗」
「面倒くさいがやらねばならないかい……やるよ。〖天照〗」
「……〖黒龍〗様。〖緋龍〗様。戻って来てくれたのですね……では」
「「「「〖七原龍法 東方襲来〗」」」」
四神の神達による森羅万象の外の力が発動する………そして、幻想郷が姿を顕す。巨体な浮島に〖八岐大蛇〗〖鳴神〗〖天照〗の眷属達が出現していく。
「我が新しき主よ。転移魔法を使うのだ。神話の……我々が使っていた神話転移をな」
「神話転移?」
「……安心しろ。魔力は我々が持つ。ただ、発してくれ……東の地……〖帝都〗へと飛ぶ為の祝詞をな」
大蛇は真剣な顔で俺に願いを言う。こんな事、初めての事だった……あの傍若無人な大蛇だ。俺はそれを見た瞬間。ただ発していた。東へと向かう神話転移を……
「ああ……神話・回帰……〖神地転闢〗」
シュンッ!
『神地 緋龍 帝都』
「ハハハ……今頃、〖鳴神〗の地は堕ちた頃合いかな? 鈴鹿」
「いえ。帝様……どうやら違う様です」
「……なんだい。賭けは鈴鹿の勝ちになっちゃったか……来るかい。〖救国の担い手〗君」
ズズズ………シュンッ!
「「「「キシャアアアアアアア!!!!!!」」」」
虹、黒、赤、黄の四神の龍が〖帝都〗の空へと顕れ、〖帝都〗の新都へと舞い降り、蹂躙を開始した……