神地鳴神・怪悪大戦 No.3 怪異の総大将
「鳴神。顕れては消えてを繰り返していたとお前がこんな堂々と出てくるとはな。俺に殺されに来たか?……天之瓊矛」
「我が居ない時を見計らい。〖神地 鳴神〗を荒らしに荒らした奴が何をいうか……来い! 〖雷牙の極剣〗」
〖神地 鳴神〗の空……曇天の空が割れ、その割れた場所から雷の大剣が落ちてくる。
《ルオオオオオオオ!!!!!!》
列島大陸の海域に雷牙の雄叫びが木霊する。
鳴神様は極大の雷龍の姿から、〖神人〗へと姿を変えた。
3メートルを軽く越える長身だった。金色の短髪。身体中に稲妻を帯、黒羽二重五つ紋付を着ている。
「鳴神様が〖神人状態に戻った……」
「そうね。それ程までに今回の〖神地 鳴神〗侵略に怒っているみたいね」
レヴィアタンが顔を赤らめながら、鳴神様を見つめている。
「昔と変わらぬ派手な姿を……格好ばかりの傲慢な神が! 〖氷蝕の帳〗━━〖壱の型 雹絶〗」
「お前は相変わらずの陰鬱な美男子だな……雷龍魔法〖雷牙の剛剣〗」
極大の氷と号雷の雷がぶつかり合う。その余波が辺りに入る怪異達に飛び散り、消滅していく。
「何だ? あの二人の攻撃範囲は? 曇天の天が……割れた?」
「……これが鳴神の力よ。それを真っ正面で受け止めて立っている相手も相当に強いわね」
レヴィアタンとそんな話をしていると、俺達の方にも氷と雷のぶつかり合いの余波が迫って来た。
「危ねえぜ。雷様よう」
「〖極神〗様。神成様……避けな」
「この声は?……おわぁ?!」
「鳴神の契約獣かしらね?……」
パキッ……パキッ! ゴロゴロ……ドガァァア!!
俺とレヴィアタンが向かって来る、氷と雷を避けようとした瞬間だった。何かが俺の胸元へと飛び込んで来て、その場から移動させてくれたのは……
レヴィアタンも何かの獣の背中に乗って、氷と雷の攻撃を避けた様だ。
「間一髪だったな。雷様よう」
「数ヶ月振りだな。神成様と……お久しぶりでございます。極神様」
「蓬莱様と……鵺様……」
「……身体の所々が欠損してるわね」
俺とレヴィアタンをその場から移動してくれたのは、〖セルビア〗や〖ルア・テレシア〗で一緒に旅をし、戦ってくれた、かつての相棒達だった……そして、蓬莱様は右目が潰れ、右手と右足が欠損し、鵺様は身体中に切り傷があり、下半身部分の身体は無くなっていた。
「蓬莱様、鵺様……その姿は……」
「ああ、下手こいてな……〖天照〗様が帝側に殺られてからよう」
「奴等は進行を始めたんだ。西の地に……〖青龍〗〖黒龍〗〖鳴神〗にそして、数ヶ月前から〖神地 鳴神〗は戦争になったんだ。前線を維持する為に俺や蓬莱はずっと鳴神島でずっと戦っていてな」
「いつの間に身体はぼろぼろ……可愛い姿がズタボロになっちまったんだ。雷様よう」
「……〖神地 鳴神〗で戦争ですか……だから俺へ救援要請を出来なかったですか。〖鳴神〗を守る為に、ずっと戦っていたんですか……今、治します。蘇生魔法〖優獣伊吹〗」
神獣には〖神秘〗が宿る。だから俺の精神世界で現在、眠っているウリエルの〖神秘〗を少し借り、〖魔力〗と合わせて蓬莱様と鵺様の身体の蘇生していく。
「……おお! 右目が見える様になっていくぜ」
「下半身が……戻っていく……両足がある。ありがとよ。神成様……」
「貴方、凄いわね。まさか神獣の身体の欠損まで治してしまうなんて」
「……死んだ人は蘇生出来ないけどな。それに魔力をかなり使うんだ」
「そう……ちゃんと制約はあるのね」
「ああ、どんな魔法、権能、加護にもな……」
俺とレヴィアタンはそんな会話をしながら、鳴神様と滑瓢の戦い見ていた。
「馬鹿力が……〖氷蝕の帳〗━━〖蛇鎖凍〗」
滑瓢が手に持つ青色の剣から、凍りの蛇を出現させ、鳴神様に向かわせる。
「シャアアアアアア!!!」
「精密な攻撃を……雷龍魔法〖雷牙の蓬莱激〗」
「ガロオオオオオオオオオオ!!!!!!」
雷牙の剛剣が再び咆哮をあげる。〖神地 鳴神〗の曇天の空が晴れ、数匹の〖神聖雷獣〗が降りて来た。そして、滑瓢を焼き焦がすべく、神速で駆け出した。
「高密度な雷を……神代時代よりも洗礼されているか。触り凍らせよ。〖天之瓊矛〗」
「緻密な氷を作るものだ……神代時代よりも強くなっているな。痺れろ! 〖雷牙の剛剣〗」
〖七原龍 鳴神〗と〖怪異総代表 滑瓢〗の戦いは時間の経過と共に激しさを増していくばかりだった。