神地鳴神・怪悪大戦 No.2 七終神の四神
「レヴィアタン。君は……暗黒大陸の仲間を……〖極神 レヴィアタン〗と同じ〖七終神〗を喚んだのか?」
「ええ、これで数なんて関係が無くなったわよね。だって〖鳴神〗も合わせて『始祖・神集九煌』が五神も揃ったですもの……殺戮の時よ」
……日本には、『女の一念、岩をも徹す』という、ことわざがある。意味は、(女性が執念深いこと)のたたとえだそうだ。
〖鳴神〗様を救いたいという執念がこの状況を作り出した。いや、最初から決められていたのかもしれない。列島大陸の〖怪異〗達と暗黒大陸の〖悪魔〗達との大戦が……
「……数が多いな。まずは減らすか。出ろ眷属の蟲達よ」
最初に動いたのは〖列神・ベルゼ〗だった。黒闇の空間を出現させ、そこから万を軽く越える人族の大人程の大きさをした虫を出現させ、〖怪異〗の大軍に向かわせ始めた。
「ゴハハハ! 慎重な性格のベルゼが先んじて動くか。ならば俺も動こう……傲神魔法〖悪鬼界放〗」
次に〖傲神・ベルセルク〗が巨大な姿の悪人達を空の曇天から呼び寄せ、怪異達に襲わせ始める。
「フフフ……どこを見ても餌、餌、餌でございますか……素晴らしい。素晴らしいです。極神 レヴィアタン様……悪神魔法〖悪魔権勢〗」
〖悪神・ディアブロ〗は大量の悪魔族を召喚し、〖怪異〗達に向かわせ。
「……六神中、三神も来てくれるなんて想わなかったわ。これならあの人を救える。生き残らせてあげれる……だから私も本気を出すの……極神魔法〖海魔漂流〗」
最後に〖極神 レヴィアタン〗が暗黒大陸海域に住む〖海魔〗を数千……数万……数十万と召喚し、鳴神海域を進む〖怪異〗達に襲いかからせる。
「ま、待て! レヴィアタン。暗黒大陸の魔獣をあんなに召喚したら、列島大陸の生態系が滅茶苦茶になる……和国を滅ぼすつもりか?」
「……大丈夫よ。主君……ここに居る〖鳴神〗に危害を加えようとする全ての怪異が消滅すれば、喚んだ七終神の三神と暗黒大陸の子達は大人しく帰るもの。だから、今は、あの目の前の敵を無力化する事に頭を使わせて欲しいの……」
とても冷たい目をしてきた。話し方……口調もそうだ。いつもの冷静沈着なレヴィアタンではなかった。
怒っている。想いを寄せている〖鳴神〗様を傷付け様とする敵、滑瓢に怒りの感情を向けている。
「女……お前の仕業か。よくも俺が用意した数十万の怪異の軍団の進行を止めたくれたな」
「ええ、だから次に止めるのは貴方の心の臓を止めてあげるわ。怪異の総大将さん」
「ハハハ……殺す!」
〖鳴神海域 蓬莱領〗
「鵺殿。見てみろよ。空も海も黒くて可笑しな連中が〖怪異〗共に群がり始めたぜ」
「ああ、どうやらアレ等は〖鳴神〗神に関係するものとそうでない存在を自然と感じ取り、攻撃対象を判断している様だ……少し休めるな。蓬莱」
「だな……しかし、俺はしばらく前線を離れるぜ。鵺殿の様に少し休めば回復する身体ないしな」
「……それなら俺の背中に乗りな。前線に下がって無防備な状態で居るよりも、あの人の近くに居た方が安全だから」
「あの人?……まさか来てんのかい? 雷様がよう?」
「そうだ……数ヶ月前に会った時よりも更に強くなってな。ですな? 〖鳴神〗殿」
極大の雷龍が蓬莱と鵺の前に顕れた。
「みたいだな……契約者の合流する。神成ならば傷付いたお前達の治療も任せられる。着いて来い」
「鳴神様……了解だ」
「同じく……」
再び〖雷神島〗
「総大将!! 河童族の群れが黒い群れに喰われて下ります」
「東側では、火車族が鬼の巨人と戦いを……」
「各怪異の部族の長に対処させろ。土蜘蛛、一反木綿。お前達は暗黒大陸とやらから来た者達の始末に迎え。俺は目の前の邪魔者を片付けるのでな」
「「ハッ!」」
「無理よ。貴方の相手は私ではないもの」
「何だ? 怖じ気づいたのか? 異邦の神よ。これ程までの被害を出しときながら……」
「いいえ。貴方の相手は私ではなく、彼だもの。ねえ? 〖鳴神〗」
「援軍感謝する。〖極神〗……神成よ! 雷龍魔法〖鳴我〗」
ドゴオオォンン!!
「……この雷は……貴様は……」
「ああ、お前の好敵手。〖七原龍 鳴神〗此処に参った。さあ、神代から続くお互いの因縁に決着を着けようか。怪異の総大将 滑瓢よ」