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神地鳴神・怪悪大戦 No.1 八百万の百鬼夜行


『神地 鳴神』


〖鳴神社〗


「鳴神様。蓬の防衛前線が突破されたと。蓬莱様から報告が」

「鳴神様。鳴神様。酒呑様より。〖雷獣・巌雷〗様が敵の総攻撃を受け止めた為、瀕死の状態との事です」

「……雷切の島に〖怪異〗の軍団が進行したとの事です。現在、鵺殿が対応しているとの事です」


「…ああ、了解した。このままでは、この鳴神の地が〖怪異〗共……いや帝と滑瓢(ぬらりひょん)に奪われる事もな。我も前線に出る。負傷者は〖雷火園〗に避難させろ。我が時間を稼ぐ」


「そんな。鳴神様に何かあれば我々はどうすれば良いのですか?」

「そ、そうです。ここは守りを固め、〖青龍〗と〖黒龍〗からの援軍を待つべきです」


「援軍など来るわけ無かろう。〖黒龍の巣〗には五大怪異で最も暴力的な大嶽丸おおたけまる)が遠征し、〖青龍〗の地は呪詛の王〖観勒(みろく)〗に抑えられている……〖天照(あまてらす)〗が敵の罠に殺られた時点で終わっていたのだ。そのせいで列島大陸(イザナギ)の全ての怪異達が帝側に付いたのだからな」


 我に使える巫女達が焦りながら、我に(さと)す。

……分かっている。〖七原龍 鳴神〗が死ねば西の地はいよいよ終わる。敵の手に落ちる。


 〖黒龍〗は未だに不在。

 〖青龍〗は列島大陸(イザナギ)の海域の護りで、敵側が本島の水域に毒を流し、護りを維持できなくなっている。

 〖樹龍〗は動かぬ。

 〖白龍〗は北の地の護り。

 〖緋龍〗は行方不明。

 〖天照〗は殺され……次はこの我だ。


「流石に列島大陸(イザナギ)全ての怪異を引き連れて我の命を狙って来るとは思わなかったぞ。好敵手・滑瓢(ぬらりひょん)。そして、まさかお前がここまで来るとはおもわなんだ」


 神代時代に産まれた〖怪異〗の王。滑瓢(ぬらりひょん)。長年に渡り、我が治める地〖鳴神〗に進行し、奪わんとしてきた好敵手。


「帝とやらに下ったと報告を受けた時は驚いたが、よもや、その者に命令され、我を落とすか……向かうか。最後の死地へと」



〖雷神島〗


 この島は常に雷雲響く曇天の大島。現在、この島には列島大陸(イザナギ)に住まう。多くの〖怪異〗が大軍と押し寄せていた。


「ガハハハ!! スゴいでね。総大将。列島大陸(イザナギ)中の怪異共が怨みある〖七原龍〗を殺そうと行軍しておる」


(まこと)(まこと)よな。〖七原龍 鳴神〗側に付いた(ぬえ)の奴も早く見つけ、始末しましょう。滑瓢(ぬらりひょん)様」


「……余り騒ぐな。土蜘蛛(つちぐも)一反木綿いったんもめんよ。そろそろ奴が来る。お前達は奴の側近たる〖蓬莱〗〖酒呑童子〗を討ってこい。あれらに本気で向かって来られたら厄介なのでな」


「「御意!!」」


 シュンッ!

「……待ちなさい。怪異さん達」


シュンッ!

「お、おいッ! レヴィアタン。話が違うぞ。怪異の数が多いから、隙をついて敵の滑瓢(ぬらりひょん)を討つんじゃなかったのかよ! 何でこんな何十万と敵が居る前に出て行ったんだ!」


「急いで出て来なかったら、間に合わなかったわ。彼が……鳴神が……あの目の前の人に殺されてしまうもの……」


「……レヴィアタン。君、その表情……まさか君は鳴神様の事を……」


 ……気がつかなかった。いや気づいてあげられなかった。まさかレヴィアタンが鳴神様の事を想っていたとは……だから、君はこの列島大陸(イザナギ)に同行してくれたのか。想い人である〖鳴神〗様を救う為に。


「何だ? 神秘を持った女と可笑しな姿の子供?……お前達。ここを何処(どこ)だと思っている? 戦地だぞ。死にたいのか?」


 レヴィアタンの事を考えていると目の前の男に……滑瓢(ぬらりひょん)に話しかけられた。


「……お前が滑瓢(ぬらりひょん)か?」


 灰色の髪色に藍色の瞳。長身の青年が黒い着物を着て、黒い雲の上に乗っていた。


「何だ? 小僧。名乗れ」


「……〖救国の担い手〗だ」


「何?……お前が帝様が言っていた。異邦人か……そうか。この列島大陸(イザナギ)へと来ていたとはな。何しに来た?」


「昔の恩人である。〖鳴神〗様を救いに来た」


「……あの化物龍を救いにだと?……グハハハハハ!!! 笑わせるなよ! あれは俺達。〖怪異〗を迫害する大罪神だぞ。そうか……お前にとって鳴神は恩人か。ならばこの怪異の軍団の質量に押し潰されて逝け。小僧、土蜘蛛、一反木綿いったんもめん。殺せ」


「「ハッ!」」


 大蜘蛛の化物と布を操る男が俺とレヴィアタンに向けて何かを放とうとしている。


「くそ。なんつう数だ。本当なら、隙をついて敵の幹部や滑瓢(ぬらりひょん)を転移でバラバラに移動させる計画が」


「戦力が足りないのなら補充すれば良いのよ。主君」


「……何を言っているんだ? 相手は数十万の大軍だぞ。それに補充するって何処(どこ)からだよ? レヴィアタン」


「西の大陸よ」


「……西の大陸?」


「ええ、西の隣の大陸……〖暗黒大陸〗から仲間を喚ぶは」


「仲間を?……それって〖極神〗と同じ……」


 俺がそう告げようとした瞬間だった。レヴィアタンは詠唱を始め、直ぐに終わらせ、ある者達……いや方々を喚んだ。


「〖極神 レヴィアタン〗が願い喚ぶ……私に窮地に駆けつけなさい……極神魔法〖七終神 召喚 常闇〗」


 六つの闇の魔法陣が顕れる。その魔法陣に反応したのは六つの内、三つだけだった。だったが……それだけでこの劣勢は(くつがえ)される事になる。


〖暗黒大陸〗の七終神の三神が〖列島大陸(イザナギ)・鳴神〗へと顕れる。


ズズズ………

「……緊急か? レヴィアタン。俺達を喚ぶとはな」

〖列神・ベルゼ〗


ズズズ………

「狩りや。狩りや。一つ貸しだよ。極神さん」

〖傲神・ベルセルク〗


ズズズ………

〖お久しぶりです。極神 レヴィアタン様。今宵は誰を殺しましょうか?〗

〖悪神・ディアブロ〗


 これは後に怪悪大戦と呼ばれ、歴史に刻まれる〖怪異〗と〖悪魔〗の大陸決戦へと昇華した戦争である。殺戮と怪談の地獄絵図がここに始まったのだ。


……悪魔が来たりて悲惨が起こる。

今回で暗黒大陸の七終神の三神を登場させました。


まあ、ディアブロは第一部で、ベルゼは〖カンナギ・レイカは呪われる〗で以前から少し登場していたのですが……

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