二人の騎士に救いの手を No.7 リミットは朝明けまで
ぺリノア領・僻地
「おお!やっと静かになったのう。中でいったいどんな闘いをしてんたんじゃ?」
「なんという!デカイ巨木の建物‥‥‥」
「こんな、大きな建物さっきまであったか?」
「ケイ殿とユーウェイン卿は無事なのかよ?!」
「やつと!大きい音が止んだわ」
女王の呪いを受け。様々な異形の者達が『森羅の樹海』の周りに集まる。
「バ、バルドさん。どうします?」
「ん?あぁ、静かになったのなら闘いは終ったんじゃろう。皆で中に入ろう」
「中に入ろうぞ。ご丁寧に大きな扉までついておるしのう」
「あぁ、ちょっと!バルドさん!」
バルドはそう言うとズンスンと『森羅の樹海』の中へと入っていった。
「ふにゃあーー!!終わったにゃあ!」
「うがあーー」「ウオォン!」
三匹の獅子は雄叫びをあげながら騒いでいる。
「いやはや、まさか、貴方が現代の魔王領『エスフィール皇』でしたか、お噂はかねがね。行方不明と聞いていたのでどなたか分からず‥‥‥‥」
「あぁ、よい!ケイ殿。この事は内密に‥‥‥」
「はい!御身のままに」
「感謝する」
「御意に」
私とケイ殿がそんな、やり取りをしていると。
「おーい!ケイ坊!!大丈夫かああ!!」
「バ、バルドさん?!それに君達」
「女王の被害者達じゃな!」
「‥‥‥‥ええ、『キャメロット』の近衛兵達です。最近、『妖精国』で起こる異変の調査をしていたのですが。現地で魔物に噛まれたり。変な姿の女性に呪いをかけられてしまい」
「あの様な姿になってしまったのですね」
人が集まって来たので。先ほどの話し方は控える。
「はい、‥‥‥貴方達が俺やユーウェイン卿と闘ってくれたお陰で。我々の家族や近衛兵達の家族に呪いは行くことはありませんが」
「‥‥‥もう少しで朝明けですね」
「そうですね。まぁ、その時は、その時です!」
「がい!」
ケイ卿とユーウェイン卿はそう言いながら笑った。
私達と闘い。何か大きな覚悟を決めたようだ。
ぺリノア僻地・地下空域
「ねぇ、何かしら?あの、異様な大きさの巨木」
「‥‥‥‥」
「ねぇ、無視?吐いたから?私が吐いたから!臭いから無視なの?」
「‥‥臭五月蝿いよ!ベディヴィアちゃん」
「なによ!その言い方は!!オロオロオロオロ」
「ベディヴィア卿!落ち着いて。まだ、安静にしてないと吐いちゃうよ?」
「もう、吐いてんのよ!!オロオロオロオロオロオロ」
美少女が人前で虹色の液体を口出すというのは、なんとも、見たくない地獄絵図である。
「赤竜様!あそこの巨木の中へ入れませんか?貴方のその最強のスピードで突破するのを是非見たい!」
「‥‥最強!‥‥スピード!‥‥突破!!了解です。主の主様!!行きやす!!」
「ま、待ちなさい!!バカ赤竜!!そんな、事、されたら私の身体は‥‥‥」
「神代・回帰『赤足脱却』」
「そんな、事で神代・回帰するんじゃないわよーーーーー!!!オロオロオロオロオロオロオロオロオロオロ」
無音に近かった。それぐらい速く赤竜様は巨木の建物へと入って行った。
『森羅の樹海』
ドガアアアン!!!!
「なんじゃ?」「なんにゃあ?」
「ぐあが?」「ワオオオン?」
『森羅の樹海』の中に居た。幾人もが、飛来した物体の落ちた先を見た。
「スゲー貫通した!さすが、最強のスピード!」
「いえいえ!もっと速く行けますよ」
「死ね!くそ赤竜!フローレンス!!!!!オロオロオロオロオロオロオロオロ」
「だ、大丈夫?!ベディヴィア卿!」
そこには、懐かしい顔ぶれと知らない顔ぶれが居た。
「セツナ!アルディス王子!!」「セツニャ!アル!!」
「おぉ、エスフィール!!心配したんだぞ!」
「あぁ、ユナちゃん!!大丈夫だった?」
「あぁ2人も良く無事で」
私達3人は近づき。お互いの無事を確かめあった。
「わっちは?わっちの存在は心配じゃにゃいのか?」
「おう!セシリア!久しぶり」
「元気そうだね。セシリア!」
「カチーン!うにゃあ!!!わっちの扱いが軽すぎるのにゃあ!!!」
怒ったセシリアがセツナに向けて。攻撃をしようとした瞬間。
「久しぶりだから忘れてるな。セシリア!」
「五月蝿いにゃあ!あああああああああああ!!あああああ!!痺れ、痺れるのにゃああ!!!」
セシリアの首に付けられている。『契約の輪』から電撃が流れる。
「セシリアの事は置いといて。セツナ!時間がもう無いくてのう。単刀直入に聞く。この、女王の呪いをかけられた者達を元に戻せないかのう?頼む、この者達と二人の騎士に救いの手を差し伸べてくれ!」
「女王の呪いをかけられた者?」
セツナはそう言うと周辺を見渡す。
「あぁ、なるほど、‥‥‥‥七聖教会の奴ではなく。俺を寄越したってことか?ア―女神―達は、じゃあ、他の『洗礼』はたどり着いても無いのか?1人位来てそうなのに?‥‥‥」
「セツナ?!」
「あぁ、済まない。エスフィール。直ぐに始めようか。時間も無いしな」
その時である。
「キシシシ!そんなことさせないよ!そいつらは見せしめに死んでもらうんだからね」
一匹の空飛ぶ魔物が現れたのだった。
「な、何者だ。」
「五月蝿い。儀式の邪魔をするな。聖魔法『鉄槌の聖矢』」
「キシシ?!動けない」
「解呪の邪魔は何人も許されない。エスフィール!!周辺に強力な結界魔法を張ってくれ。向こう側の『奴ら』に気づかれたら不味い」
「向こう側の『奴ら』?‥‥‥あ、あぁ、直ぐにやろう。神代・回帰・緑魔法『新緑の防壁』」
パキン!ダタダダダダダ!!
木々の新芽があちらこちらから生えだし。先ほどの『森羅の樹海』よりも遥かに大きい森。まさに樹海そのものが完成した。
「ふう!気合いを入れて見たぞ。セツナ」
「‥‥‥‥エスフィール。後でちょっと、二人っきりで話あるからよろしく。(やりすぎたろう。注意しないとな)」
「ふ、二人っきりで?!う、うむ!分かった。(ほう!ほほう!)」
「なんにゃあ?この二人の対照的なやり取りはにゃあセツニャは呆れ顔で。メイエスは喜んでるにゃあ。アル!」
「恋は盲目なのさ。セシリア」
「‥‥‥‥アルがそれを言うのかにゃあ?なら、そろそろわっちとの疑似許嫁はやめて、本当の事をエウロペ大陸中に公表するにゃよ」
「それは嫌だよ!」
「良いにゃん!そっちの方が色々面白そうにゃぞ!」
コロコロ笑うセシリア。
「面白そう?‥‥セシリア。少し、会わなくなかっただけで随分言うようになったね。氷魔法『氷結』」
ピキン、パリパリパリパリ
「んにゃあ?わっちの足元から氷が現れて?パリパリパリパリ音を立ててにゃあ?」
キーン!
「わっちの身体を覆っていくにゃあああ!!!」
「久しぶりにお仕置きタイムだね。セシリア」
「嫌にゃアーー!」
「「‥‥‥‥‥」」
「始めよう!」「うむ!」
私とセツナは突っ込む時間すら惜しかった為、なにも反応しなかった。
「突っ込めにゃあ!!」
「人数が多いな。」
「だ、大丈夫か?セツナ!」
「何とかする。‥‥‥‥‥‥数人、否、幾人もの呪いを受けし者達が我らの前に現れ、苦しむ。七聖はそれを許さず。魔を許さず。‥‥‥我はその、代行者なり。眼下に見えるは神代の呪いなり。今宵、力を!我に解呪に打ち勝つ、力を授けん。神代・回帰・聖魔法『聖者の創世』・(魔力瓶×100本)」
カラーン、カラーン、カラーン、カラーン
ゴーン、ゴーン、ゴーン、ゴーン、ゴーン
「鐘の音?」「うがお?」
「白いベール?」「綺麗!!」
ケイ殿や近衛兵達が次々に上を見て。その、上に広がる奇跡に感動している。
その時。
「お、おいお前、身体が光って!」
「いや、君も」「私もよ!」「いや、皆だろう!」
「ユーウェイン!」
「うおう!‥‥‥ケイ殿!!」
「ユーウェイン?君、普通に喋って!それにさっきまで酷かった。火傷の後も綺麗に失くなっていく」
「え?‥‥‥‥真ですか?」
ユーウェイン卿は、自分の身体を触り確認し始める。
「うあおおお!!元に戻っていく!
「やった!!!死ななくて済む」」
「ありがとう!ありがとう!少年!!‥‥いや、神父様!!ううぅ!」
「ありがとうございます!」
次々に泣きじゃくる者。その場で喜びを分かち合う者達が沢山いる。
「ギギイ!あいつ、もしかして『洗礼者』?!ギギイ!、不味い。女王様に知らせないとギギイ!」
「おっと!呪詛返し。呪詛返し。手が滑った」
セツナはそう言うと空飛ぶ魔物に向けて黒い何かを『ラファエル』で操り、投げつけた。
「ギギイ!あれは、女王様の呪い?!止めろギギイ!そんなことをされたら。呪われて死んでシマー~ーー!ギイアアアア」
黒い何かにぶつかった。空飛ぶ魔物は発狂した後。木っ端微塵に吹き飛んだ。
「おお、流石、千人単位の呪い。強力だな。アヴァロンに続いて。ここにも勝機の1つが見えてきたか?えい!」
セツナはそう言うと魔法の袋から純白の水晶を取り出し。地下空域に投げた。するとその、純白の水晶は何処かへ飛んでいってしまった。
「自ら墓穴を掘ったな!ギネヴィア。たんと苦しめ、自身の呪いでな‥‥‥」
そう言いながら。セツナは飛んで行った水晶が見えなくなるまで見続けていた。




