表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
733/867

呪詛決戦・〖呪術の王は姫を憶い〗 No.15 対価と報酬の天秤


 外観側ではラグエルが独奏し、その周りを合唱団と楽団がラグエルの歌唱を護る様に取り囲み。


 観勒(みろく)は以前として、黒い塔化したが……崩壊し始めた。


 ルシファーは堕天使と化し、白い鳥と狼と戯れている。


 そして、岩戸の扉前では身体を何者かに操られた七綾姫に対して、焔将軍……不知火(しらぬい) (ほむら)が炎を纏い対峙している。


 ………〖曼陀羅寺 宮内〗の混乱は最高潮に達していた。



〖岩戸の扉前〗


「……〖天照(あまてらす)〗以外の『七原龍』の眷属だって?……そんな〖神ノ使徒〗今までに前例が無いんだけどね」


「そうですか。ですがこれが現実です。天照様を騙し上手く封印された様ですが、刹那さんをこちらの魔法世界(アリーナ)に誘い込んだのは悪手でしたね」


「そうかい。まあ、今回は目的達成の対価だと思ってここは退散させてもらうよ……【無闇の剥離】」ズズズ………


「逃がしません。不知火神術〖炎嵐〗」


 曼陀羅寺の宮内中に赤い炎が広がっていく。そして、敵対対象を燃やす為に向かって行く。


ズズズ………

「観勒君は……どうやら去ってしまった様だね。では〖アシヤ〗君。帝都へ帰ろうか。君は白鳥に乗ってくれるかい。〖抑制〗君は真神(マガミ)に乗ってくれるかい」


「……分かったわ」

「待て! ルシファー! そいつ等とどこに行くつもりだ?」

「……元の場所に帰るだけよ」


 ルシファーはそう告げると俺に冷たい目線を向けてきた。


 観勒(みろく)の魔力残滓の気配が消えていく。すると観勒が創り出した宮内の亜空間が崩れ、黒色の塔が崩壊し、その崩壊する塔の中から現れたのは死服飾(しはくしょく)を着た僧侶の様な人物と、どす黒い手の拳程度の肉の塊が現れた。



(………帝。俺の身体が……謀反しやがった。俺の三位一体の完璧な身体が壊された)


「そうかい……君の新しい身体は帝都で見繕(みつくろ)おう。今はこの場を去る事が最優先だからね。早く動いてくれるかい?……眼が潰されてね。この子の身体を操るにも限界が来ているんだ」


(……アイツ等は絶体に許さない。ここで必ず復讐を)


「そんなどうでも良い話は後にしてくれるかい?〖アシヤ〗君……僕の何かの手違いで君の人格を消してしまうかもしれないよ」


(なっ?!……済まない。帝)


「うん。君はそれで良いんだよ。君は僕の大事な道具なんだからね……では帰ろうか〖帝都〗へ。【無闇の白影】」


 七綾姫の影から白い影が広がっていく。白鳥は拳の肉塊をくちばしで(くわ)え。白い狼の上にルシファーが乗った瞬間だった。七綾姫の身体から何かの思念体の様な者が抜け落ちた。


「得たのは〖抑制〗……手に入らなかったのは、〖無闇の剣〗、〖神ノ使徒〗二人の首かい。それでは西の地の方々。僕に会いたかったら、東の地〖帝都〗で待っているよ……そうでなければ列島大陸(イザナギ)には一生平和は戻らない動乱の地ままだからね。さようなら」ズズズ……


「待て。この私が逃がすと思うか。悪霊達」

「ええ、ここで成敗を……」


死服飾の男と焔はそう言うなり、ルシファー達に攻撃を仕掛けた。


(セイメイ……己。覚えていろ)ズズズ………シュン!

「……さようなら。主君。今度、会う時は敵どうしよ」


「ま、待てっ! 何を勝手に敵に付いて行こうとしているんだ。ルシファー!! 戻って来い! 待ってくれ!」


「……………」


ルシファーは俺の問いに応え様としない。


「ハハハ。その顔……素敵だね。〖抑制〗君を取り戻したいなら。是非とも〖帝都〗に来てくれよ。〖救国の担い手〗君。ハハハ……」ズズズ……シュン……


「くそっ……白い影に近付けない?……近付こうとすると元の位置に戻される?」


「……それが【皇帝】の能力の一部よ。覚えておきなさい。主君……また会いましょう。どこかでね」ズズズ……


「ルシファー……」

(私が追いかけましょう……ですから私を東の地とやらに投げて下さい)

「その声は……君は……ああ、分かった。行ってくれ。○○○」


 俺はそう叫ぶと水色の宝玉を東の方へ向けて投げたのだった。



◇◇◇◇◇


天照(あまてらす)の神地 不知火城跡』


ズズズ………


「ハハハ……上手くいったね。これで彼等が東の地へと来た時には、〖世界〗君を〖神々の黄昏(ラグナログ)〗側に付かせ、〖神ノ使徒〗二人の始末ができる……」


「Aaaaaaaaaaaaa………AaaaaHahahahahahaha♪♪♪♪♪♪ 」


「……これはさっきまで外観で騒いでいた者達の歌声かい?」


(がぎぃ……グギィ?……ガビぃ?……み、帝……俺の身体が……潰れ……心が消え………おでの心と身体が呪詛と陰陽とあの歌声で壊され死んでしまううああああ!!!!!)


 パアンッ!!!!


「〖(アシヤ)〗君。どうしたんだい?……君。身体が破裂してるじゃないか。それに消滅していないかい?」

「……貴方もよ。思念体の姿。消えていくわ」


「………成る程。あの少年は最初からこれを狙っていたのかい。ハハハ……やってくれたね。まさか〖塔〗君を殺すとはね。そして、僕もかい……仕方ない〖抑制〗君。君にはこの不知火城を任せるよ。ここで彼を待ち受けて〖世界〗君をこちら側に引き込むんだ。良いね……これはあの御方の為だ。夢夢(ゆめゆめ)忘れなきようにね」シュンッ!


「……ええ、努力はするわ」



『東の地 帝都』


シュンッ!

「………ハハハ。まさか〖塔〗が消えて〖抑制〗が戻って一歩一離かい。流石、〖神々の黄昏(ラグナログ)〗を何人も倒しているだけの事はあるね。それに片眼も潰されるとは……(しばら)くの間は遠方にちょっかいはかけられないか。まあ、のんびりとここで待っているとするよ。僕の親友だった【教皇】アトス君を殺した仇の〖救国の担い手〗君……今度は僕、自身が相手をして始末しよう。ハハハハハ」



呪術の王は姫を憶い


終 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ