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呪詛決戦・〖呪術の王は姫を憶い〗 No.9 建宮の風と謎の風邪


〖曼陀羅寺 庭園〗



「神成殿の戦闘の迷惑にならない為に開けた庭へと参ったが……そろそろ何か喋ってはどうでござるか? 大百足(おおむかで)よ」


「ギギギギギギ……火之神城、以来よなぁ。忍び者、あの呪詛め。ワシをなかなか喚ばぬから(えさ)の将軍娘になかなか近付けなかった事、苦々しく思っておったのだ」


「我が主たる焔様を餌とのたまうか。許せぬ……だが、ここでお主と出会えた事、〖天照〗神に感謝申そう」


「ギギギ……何をぬかすか? 忍びの者。お前もワシの餌。魔力が多く栄養価値が高いだけの馳走の餌にすぎんぞ」


「それはかつての火之神城での話でござろう? 火之神城の時はあの総大将もおった故に、逃げる事しか出来ぬでござったが、今は頼もしきかつての友が列島大陸(イザナギ)へと再び駆け付けてくれた……そのお陰で後ろを気にせずお主を退治出来る……建宮家が現当主 建宮(タテミヤ) 椿(つばき)が参る。風遁術 〖()りきり舞〗」


 風が(なび)く。タテミヤを中心とした風が、強く、強く、鋭利な風となり。大百足(おおむかで)へと吹き荒れていく。


「ギギギギギギ……たかだか〖七原龍〗共に保護されている人属の分際で、神代を生き抜いたワシに攻撃を向けるとは、身の程知らずも(はなは)だしいわ。火虫操術〖火蠱(ひこ)〗」


 大百足は自らの身体に火を着けた。そして、身体を回転させ始め、タテミヤが巻き起こした鋭利な風を全て弾き返してしまった。


「……ほう。拙者の風を防ぎきるとは、流石は〖蠱の山〗の主、力は本物でこざるな。では次はこれを喰らうでござる。風遁術 〖朝風・二丁斬り〗」


 次にタテミヤが取った行動は両手に持つクナイと短刀に魔力を込めた。すると魔力が込められたクナイと短刀は風魔力の力を纏った大きな風の剣と化した。


「風の民の妙技か……古臭い技を好む事やら、今は帝の……神代の時代に……怪異全盛期に戻りつつあるんだからよう。神代の力を使ったらどうなんじゃ? 忍びの者」


 大百足では挑発する。それが自らの死期を急激に早める形になるとも知らずに。


「……ハハハ……どうなっているかと様子を観に来て見れば、たかだか神代程度しか生きていない出来損ないに馬鹿にされるとはね」


「ギギギ……何だ? 忍びの者。可笑しくなったか? 先程と口調が随分と」


「しかし、この子は本当に勿体ないね。大切な存在がいるせいで力をセーブしてるんだからさ。風遁術……〖風月〗」


 スパンッ!


 先ずは大百足の胴から下が切断された。


「ギギギギギギ……ギガガガアア!!! 鋼鉄よりも硬いワシの身体が真っ二つに斬られただと?」


「神話の力を乗せてあるんだから当たり前だろう。しかし、本当に樹龍の神地の(むし)達は品性の欠片も無い子達ばかりだね。だから〖樹龍〗には昔、殲滅をお願いしたというのに……風遁術……〖毒風邪〗」


スパンッ!……スパンッ!……スパンッ!


 続いて大百足の顔部分から下の上半身が細切れに切り刻まれる、


「ギギギ…止めろ。ワシは樹龍の神地を代表する由緒ある代償怪異だぞ。火虫操術〖火達磨(ひだるま)〗」


 その細切れ化した肉片が突如、燃え始め、タテミヤ?……へと襲い掛かる。


「ハハハ……弱いね。流石は神代。神秘を一切感じられないよ。全くつまらない攻撃だね。風遁術……〖海風邪〗」


 タテミヤ?は嵐の時の暴風雨の様な風を吹き起こし、大百足の肉片を粒子レベルで細切れに変え、消し飛ばしてしまった。


「ギギギギギギ……ワシの攻撃が(ことごと)く無力かされるじゃと? 貴様、先程の忍びの者とは違うな? 何者だ?」


「死ぬ君に名乗る者じゃ無いよ……まあ、名乗るとしたら列島最古の王子かな」


 それを聞いた瞬間。大百足では絶望の表情を浮かべた。


「最古の王子?……まさか貴方様は……こんな場所に……イザナギの……あの」


「風遁術〖風魔〗」


シュッパンッ!


「ガァ?……ギギギギギギ……」ズズズ……ドガンッ!


 大百足の頭部は中心から真っ二つに斬られ、神代から生きた大怪異はその長い生命を終えたのだった。


「全く。死ぬんだからいちいち質問し直さないでくれよって……無意識に殺しちゃったか。それに思ったよりも力を使ったから、これ以上の乗っ取りは不可能みたいだね……〖救国の担い手〗君の顔を拝もうと来てみたのだけど、擬装魔道具で姿を変えているとはね……戦いはあっちでやっているのかい……ん? 〖救国の担い手〗君の右手に持っている物は確か……」



〖曼陀羅寺 岩戸門前〗


 ラグエル率いる楽団が合唱を続ける中、俺は黄金の宝箱から新たな天使を召喚した……新たな力を獲得した最高位の天使〖金星の天使〗を。


「オオオォォ!! き、貴殿はああぁぁ!! 裏切り者の〖抑制〗殿? 何故、こんな場所に?」


「お久しぶりね。〖塔〗……事情はだいたい眠りながら観ていたわ。ねえ?主君。この人を消せば良いのね?」


「ああ、こいつが西の動乱の原因だ。だから俺と一緒に戦ってくれ。ルシファー」


「ええ、御安いご用よ。主君」

『元ラグナログ・アルカナNo.14‥‥‥『節制』大天使・ルシファー』再臨……

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