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呪詛決戦・〖呪術の王は姫を憶い〗 No.5 西の覇者


 数年前〖黒龍動乱期 黒鵺殿(こくぬえでん)


「神成様よう。知ってるかい、この西の地は〖呪法術〗や〖遁甲術〗の技術が発展してきたんだぜ」


「〖遁甲術〗ですか? 呪法術の使い手とは、この列島大陸(イザナギ)に転移してから何人かと知り合いましたけど、そんな術を使う人がいるんですか?」


「ああ、〖青龍〗や〖黒龍〗の神地が特に使い手が多くてな。これが厄介でよう。方向や環境を支配して、こちらの動きを読む奴らが多い事、多い事でな……」


バリバリ……ピシャッ!!!


(鳴神神の眷属獣よ。それ以上の余所者への情報開示は許されていないぞ。この裏切り者の(いたち)よ)


「この声は……鳴神様にも黒龍にも(なび)かねえ、どっち付かずの〖迅雷(じんらい)(ぬえ)〗か?」


「迅雷の鵺?」


「蓬莱……人族嫌いのお前が何故、人族と入る? それに何だ? 海外の魔法師など俺の前に連れてくるとは、死にたいのか?」


「誰が死ぬかい。鵺ころ。鳴神神の命により、おめえをこの神成様の契約者にしろだとよ。良かったな、これであんたも契約者持ちだぜ」


「……意味が分からぬわ。そんな得たいも知れない、海外の者に力を貸すと思う? 俺は今、〖黒龍〗様から頂いた〖黒鵺殿(こくぬえでん)〗地を守る様に命じられているのだ。俺を従わせたければ力ずくで従わせてみろ」


「……なんて、濃い魔力。あれが鳴神様が言っていた神獣〖鵺〗ですか?」


「ああ……神成様よう。あの鵺って奴はすげえ強くてな。仲間に出来れば百人力だ。あっちも闘う気まんまんだから、イッチョへこまして仲間にしな」


「聴こえてるぞ。鳴神神の眷属獣……返り討ちにしてやる。小僧……〖雷遁甲……」


「来るぜ、神成様よう。さっき説明しようとしていた〖遁甲術〗……鵺の雷遁甲がよう」


「鵺の周りが……環境や雰囲気が(いびつ)になっていく?」


▽▽▽▽▽


〖曼陀羅寺 宮内〗


「オオォォ!! 呪詛の王たる節操をいきなり殴るとは、(なん)たる罰当たりを……ですが、ですが、良かったのですかな? 節操を殴った事により、貴殿の拳は呪いを……」


 観勒(みろく)はそう言うと俺の左手を楽しげに凝視し始めた。


「受け、たちどころに呪われ……初めていないですと?」


 などと言い、不思議そうな表情を浮かべている。


「……自分の事を呪詛の王とか言っている奴に何の対策もしてないとでも思ったのか? 俺は〖洗礼者〗の資格を与えられた俺には神級以外の呪いは無力化さらるぞ」


「……は? 貴殿、今、何と仰った? 節操の呪いが? 〖奇門遁甲〗がきかないですと?」


「〖奇門遁甲〗か……やっぱり、この宮内の気持ち悪さ、可笑しな違和感はお前の〖遁甲術〗だったのか。鵺様やアオイちゃんが創っていた空間と似てるから警戒はしていたんだが……当たりだったんだな」


「……オオォォ!! そんな馬鹿な。節操の張り巡らせていた呪いが一切効いていないなどあり得ない。貴殿等には、ここより地下で呪詛を唱えさせている数千にもよる巫女や宮司達による、数百の呪詛術もかけているというのに」


「神成殿……拙者も何ともないのは何故でござるか?     拙者はソナタや焔将軍様の様な〖資格〗持ちではないのでござるが?」


「ん? ああ、それは俺がタテミヤにアイツの力を付与したかだよ。あらゆる呪いに耐性を付与するアイツの力をな」


「アイツ? それはいったい……」


「オオォォ!! お喋りはいけませんぞ。ええ、いけませんな。この高名な西の覇者たる節操を殴ったのです、呪いは効かずとも、傷を負わせ、そこから体内へと毒を入れる事は可能でしょうな?……外の戦いも苛烈を増している様ですしねえ。ここでの戦いもお互いに楽しまなくてはなりませんぞお!! 『旋式(せんしき)遁甲』……〖冬至(とうじ)〗」


 西の覇者〖観勒〗が奇門遁甲を……こちらの魔法世界では〖遁甲術〗と言われている術を発動させふ。すると先程まで生暖かった宮内が突然、冷え始め。宮内には曇天が創られ雪が降り始めた。


「空間そのもの天気を変えたのか?……凄いな」


「……急激に身体に負荷がかかり始めたでござるな」


 そう言ってタテミヤは身体を震わせて始めた。


「タテミヤ……お前、アイツから逃げてくる時に幾つか呪いを受けただろう?」


「……そんな事まで分かるでごさるか」


「ああ、下がってろ。どうせ、アイツに攻撃したら、死ぬとかの呪いだろう?……お前、アイツと相対してから一度も攻撃を仕掛けていないしな」


「……うむ。その通りでござるよ……済まぬ。神成殿」


隠匿(いんとく)の呪いも受けてるのか?……どうせ大元を倒せば全部、呪詛返し出来るか……列島大陸(イザナギ)へ来る前に呪い関係の伝記や文献を読み漁っておいて正解だったな」


「オオォォ!! お喋りはいけませぬ! いけませぬぞおお! 援軍殿……冬至はもう始まりました。さあさあ、これより始まるは季節の激動……身体が持たぬ過酷な時が始まりますぞ!!」


 観弥はそう告げ、不気味に笑い始める。


「……そうか。列島大陸(イザナギ)に来ていきなりそんな、身体を酷使したくないしな。出し惜しみは無しだな」


「出し惜しみ? オオォォ!! 何か、この節操との戦いに秘策があると?」


「ああ、遠慮なく使わせてもらうよ……今回の相棒を……いくぞ。〖ラグエルの書〗」


(了解しました)


「ラグエルの書?……神成殿それはいったい」


 タテミヤが不思議そうに俺に何かを聞こうとした瞬間。〖黄金の宝物庫〗の特別な部屋……『黄金の宝箱』が開き、その中から一冊の魔道書が『曼陀羅寺』の宮内に現れる。


 ラアアアア♪ ルアアアア♪ ルルルアアア♪ 

 アーアーアー♪ ラアアアア♪


 宮内に突如として、美麗な歌声の数々が響き渡る。


「……これは西方の讃美歌ですと?」


「ラグエル……今回の敵は呪詛の王だ。宜しく頼む」


「ええ、許容の範囲よ。マスター」


 貴婦人の格好をした女性を俺は右手でエスコートする。現れるは七聖―女神―の秘宝が一つ〖ラグエルの書〗。


「……コンサートを始めよう。ラグエル……列島大陸(イザナギ)を再び救う為の新たな讃美歌を……君のステージを」


「了解……始まるわ。ラララララ~♪」

『七つの秘宝が一つ ラグエルの書』


 これより始まるは呪詛の王の浄化の劇場。讃美歌の天使が歌い出す……

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