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呪詛の西国に黒龍は戻れり No.1 黒龍の帰還


 『肆ノ神地 八岐大蛇』は列島大陸(イザナギ)で、最も竜種族が生息し、骨、屍、毒、霧等が大地に広がる無法の地である。


 その人住めぬ地を支配し、統治してるのは〖黒龍 八岐大蛇〗。


 数年前、八岐大蛇は〖七原龍〗の一柱でありながら、突如として和国の西を支配しようと目論み、暴れまわった。


 だが遥か西の大陸より現れた〖西の賢者〗の活躍により討伐され、その姿を突如として消したと言う。


 そして、その黒龍が現れ。


 自身の(ねぐら)である『黒龍の巣』へ帰還した。



〖黒龍の巣〗


「巫女共が管理する〖肆ノ神地 八岐大蛇〗を帝様の命により、いよいよ平定できると来たものを……西国で暴れに暴れた黒龍が何故、今更になって現れる」


「酒と新しき主の為だ。あの少年が困ると我の趣味である酒造に支障を来すものでな。だから貴様ら〖神々の黄昏(ラグナログ)〗の手下共を(ほふ)りに戻って来ただけの事だ」


「七原龍ともあろう存在が人に従うだと? 〖西の賢者〗に敗れ、龍としての誇りも失ったか。黒龍 八岐大蛇!」


「……シュララララ! 地球(リアース)に入る時、新しき主が言っていた日本三大妖怪の一匹〖大嶽丸おおたけまる〗。まだまだ若いな。貴様は」


「無様に負け、姿をくらました奴が何を偉そうに(のたま)いやがる。俺の部下を串刺しにした罪も思いと思え! 神明魔法〖薬師の鬼軍〗」


「大嶽丸様から号令がかかった! 進め! 無知な竜共を殺せ」

「「「「「仰せのままに! 仰せのままに! 大嶽丸様の仰せのままに!」」」」」


 和国には鬼族と言う種族が存在する。魔力の扱いにはそれ程長けていないが、筋力は人族の数倍はあるとされ、上位の鬼人種の者に至っては、野生の竜を討伐できる程の力を有しているという。


 そんな存在が数千人もの隊を成し、軍を作り、〖黒龍の巣〗の竜達を殺そうと動き出した。


「シュララララ! 自分の部下をわざわざ死地へと送るか……白儺(しろな)瑪瑙(めのう)よ。来い。そして、歌い竜蛇共を酔わせよ」


「「お久し振りでございます。黒龍様……歌います」」


 黒龍 八岐大蛇の一言で現れるは白と黒の着物を着た二人の少女達だった。そして、その二人の少女達が手に持つ物は縦笛と三味線であった。


「それでは……」「奏でます……」


 黒龍の巫女。白儺(しろな)瑪瑙(めのう)は神歌を奏で歌い始める。

 そして、その音と歌を聴いた〖黒龍の巣〗に住まう八岐大蛇の眷属竜達は、巫女達の音色と歌に酔い、酔いしれ、神話の力を纏い踊り出す。


「シュロアアア!!」「ギュララララ!!」「シュルルルルルラ!!」「ギャララララ!!」「ジュラララ!」


「シュララララ! そうだ。貴様等! 酔え、己に酔いしれろ。それこそがこの地の矜持。我が地での(ことわり)。鬼人を噛み殺し、腹に納めるのだ」


「……無造作に動いていた野生の竜共の動きがさっきとはまるで違っている。これが〖七原龍〗の力。帝様が殺そうとするのも頷ける。我が鬼族の同胞共よ! 怯むな。奴等を殺せ! 殺し、あの上質な素材を帝都に持ち帰るのだ。帝様の為に」


「「「「「帝様の為に! 全ては帝様の和国統一の為に」」」」」


「帝……我が西の地で暴れている時に台頭して来た新時代の者か、よもやそやつが我が新しき主の敵、〖神々の黄昏(ラグナログ)〗の一人だったとは思わなかったぞ……神話魔法〖草薙の極投〗」


 八岐大蛇は鋭利な刀を召喚し、大嶽丸へと投げ付けた。


「さて、どう対処する? 帝とやらを補佐する〖三妖魔〗が一人〖大嶽丸〗。我を楽しませよ、三下」


「……人に敗れ、今の今まで姿を隠していた分際で煩い神が、ここに舞い戻って来た事を後悔させてやる。神明魔法〖薬師の悪路〗」


 大嶽丸の身体から黒き魔力が溢れ出る。悪意の魔力で身を包み、黒龍へと一気に近づく。


「シュララララ! 纏いか? だが荒いな。そんな浅い力で我に向かって来るとは……笑止なり。神話魔法〖草薙の小太刀〗」


ガキンッ!!


「……そんな小太刀で俺の攻撃を?! 貴様!!」


「シュララララ! そうだ。最も怒り本気になれ、さすれば、命までは奪うまい。足掻き闘えよ。鬼族共!!」

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