輪廻決戦・〖この魔力を以て、その運命を屠る〗No.10 分岐の果てにさよならを
〖?????〗
ザシュンッ!!
……何で私の身体がバラバラの細切れになっていくのよ、首も切られて落下し始めるし、最悪だわ。
私の力はこんなもんじゃないわよ。まだ、見せてない力だってあったのに、何で負けちゃうのよぉ!
……ねぇ、アナタもそう思うでしょう? 〖代理人〗ちゃん。
▼▼▼▼▼
「……ここは何処よ?」
「どうだ? ロキ」
「……駄目だね。失敗だ、肉体が反転してちゃってるよ。どうする? 棄てる? ●●●」
「その名で呼ぶな。ロキ、それと彼は棄てぬ」
「ハハハ、はいはい……〖代理人〗様」
「〖代理人〗?」
「あぁ、そう呼んでもらって構わない。初めましてだな。運命よ」
「運命? それが私の名前なの? それとアナタと私の関係って何なの?」
「あぁ、名前はそう呼べ、そして、お前との関係は……テュケー……」
「テュケー?」
「いや、何でもない。お前と私は……そうだな。家族だった」
「アナタと私が家族?」
「あぁ、だから、困った事があれば何でも相談してくれ、我々は家族だからな。そして、お前の名は‥‥今日からフォルトゥナだ」
そう。家族は大切にしなくちゃいけないの。そうやって〖代理人〗ちゃんに教わったもの。
▼▼▼▼
「私が〖アグナの廃棄炉〗の番人に?」
「あぁ、あの方からの通知だ。しかし、やるもやらない。フォルトゥナの自由にして良いと言っていた」
「そう。なら、やるわ。〖代理人〗ちゃんの……家族の為だもの!」
そうよ。家族は大切にしなくちゃ駄目よね。
▼▼▼
「エヘヘ!」「死にてえのか?」「刺すぞ刺すぞ」「ゲヘヘヘ」「殴らせろ!」
「何なの? この子達は? 言葉使いは汚くて、身体も汚いわぁ……流石が廃棄された子達ねぇ。何も感じないわ……成る程ねぇ。〖代理人〗ちゃんはこの汚物達を綺麗にする為に私を番人に選らんだのね。なら、容赦なく美しい状態にしてあげないと駄目よねぇ?」
家族以外は他人よ。汚物よ。廃棄物よねぇ。だから、この子達に何をしても何も感じないわよ。塵なんだもの。
▼▼
〖フレイヤ地方〗
「まぁ、少し、私がいない間に、大所帯になったわね。〖代理人〗ちゃん」
「あぁ、未来の大アルカナの候補達だ。我々の新たな家族だな」
「まぁ、そうなの? そう! そうなの。なら、仲良くしないと駄目よねぇ? 新しい家族なら」
そうよ。私は身内には優しいのよ。他の他人には興味が湧かないけどねぇ。
▼
「まぁ、そっちがセブンちゃん」
「よろしくお願いいたします。御姉様」
「まぁ、ここに堕ちてくる塵と全然、違うわね。流石、私が選んだ。家族だわぁ、そして、あなたがカルマちゃん」
「俺は義母さんの命令は必ず聞くぜぇ。義母さんは俺の恩人だからな」
「まぁ、カルマちゃんも良い子ねぇ。私、嬉しくなっちゃうわぁ」
そう。家族何て好きに選んで良いのよ。お気に入りを選ぶの。そして、それ以外は塵の様に扱うのよ。
それが廃棄品にはお似合いなんですもの……
◆◆◆◆◆
ボスッ………!
「何? 何で床に転がり落ちないのよ……てっ! セブンちゃん? 貴方、無事だったの? 良かった。無事なら、私を置いて早く逃げなさい。何なら私が時間を稼いで……」
「御姉様。もう良いんですよ。以前、御姉様に相談した事、解決しましたから……」
「解決って! それよりも早く逃げなさい………って、セブンちゃん。貴方、認めちゃたの? 自分が無実だったって?」
「はい……」
「馬鹿ね。それじゃあ、このアグナの廃棄炉から追い出されて、消滅しちゃうじゃないのよ。それじゃあ、貴方の願い。親友に謝りたいって願いが叶えられないわよ!」
「いいえ、御姉様。私はちゃんと叶える事が出来ましたよ。御姉様‥‥いや、フォルトゥナ様が私を家族として、私を見守り、助けてくれたおかげです。ありがとうございました。フォルトゥナ様」
「セブンちゃん。貴方、その表情……そう。満足したのね……カルマちゃんも最後は笑って逝けた様だし……家族としては、バラバラになっちゃうけど、貴方達が幸せに旅立てるなら、私はそれで良いわ」
「フォルトゥナ様も……どうか、本当の願いを叶えて下さい……あの方に……ちゃんとした御礼を言いたいといつも言っていたじゃない……ですか……」
「……消える間際に何を言っているのよ……でもそうね。あの人は私にとっての初めての家族だったんだし、御礼の気持ち位は伝えるべきよね……最後の大アルカナ……起動……〖幸運神の輪〗よ……そういう訳だから、担い手ちゃん。責任を持ってこの〖手紙〗をあの人に渡しといて頂戴ね」
俺が近付いて来ていたのを察したのか、フォルトゥナは何かの魔法で便箋の手紙を俺の掌に乗せてきた。
「……いや、誰にだよ。フォルトゥナ」
「何れは分かるわよ……いやー、まさか本当の実力を出す前にヤられちゃうなんて思わなかったわ。怨みの力って恐いわね! オホホホ!」
「コイツ……本当に倒せたのか? カミにスカサハよ。ピンピンしているが?」
「終了……肉体は完全に終わってるけど、魂はまだ数時間は生きるわ」
「あら? そうなの? なら、さっさと魂も消滅させてくれないかしら? 担い手ちゃん。貴方、此処に来て、そういう技覚えちゃったんでしょう?」
「……アンタ。知ってたのかよ」
「勿論よ♡ 何たって私はこのアグナの廃棄炉の番人よ。この世界で起こった事はだいたい把握するんだけだ……もう死んじゃうから。〖神々の黄昏〗の子達には報告しないであげとくわよぉ。だから、その代わりね」
「分かった。見せてやるよ。俺なりに取得した無属性魔法をな」
「キャアア! やったわね。セブンちゃん。未知の魔法で始末されちゃうわよ! 私達!」
「お供しますよ。フォルトゥナ様……カンナギ・アルベルト様。では行きます」
「あぁ、父上に会ったら、カンナギ・アルベルトは己の端を進んでいますと伝えてくれ。セブンス」
「必ず!」
アルベルトとセブンスは、そう会話すると目を会わせ合い、頷き合った。
「オホホホ! 感動の御別れも済んだし、完璧ねぇ! 他人はどうでも良いけど。家族の感動を見れて、私は満足よぉお!」
「最後で矛盾した奴だったな……無魔法〖零〗」
「あらあぁ? 綺麗な粒子になって消えていくのねぇ! 最高の演出じゃない! それじゃあ、私のをセブンちゃんと憎悪する黒い子達共に消えるわね! さようなら。担い手ちゃんとその仲間の子達!! 貴方達強かったわよ。 バイバイ! オホホホ!オホホホホホホ!!」シュン……
「また、いつか何処かでお会いしましょう。皆さん」シュン……
「本当に最後まで五月蝿い奴だったな。フォルトゥナの奴」
「カミさん……」
「ん? どうした? アイリス」
スカサハの後から合流して来た、アイリスが俺を指差して慌てふためき始めた。
「カミさんの身体が小さくなってませんか? それにそのどす黒いフードも薄くなっている様な……」
「あぁ、これか? これはな……」
(ありがとう)(叶えてくれて)(感謝を)(これで逝ける)(貴方に感謝を)(苦労をかけた)(無理をさせて済まなかった)(安らかに行ける)(託せて良かった)
アグナの廃棄炉に捕らえられていた、大罪人達の死念だった【復讐黑衣】消えていく、フォルトゥナの粒子と共に宙を舞いながらゆっくりと……
「こちらこそ、助けられた。ありがとう。恩人達」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!
「うぉっ?! な、何だ? いきなり?」
「必然……番人だった〖運命の輪〗が消えて、この白い館を中心とした歪な世界が閉じようとしているのね」
「閉じ様と?……スカサハ。それって」
「えぇ、アイリス……とアルベルトと御別れの時が来たわね……アイリス」
「あぅ?! スカサハ御姉様?」
スカサハはアイリスの名前を呼ぶとアイリスの身体をおもいっきり抱き締めた。
「短い間だったけど、貴女と旅が出来て楽しかったわ……私が教えた事、忘れないでね」
「スカサハ……御姉様……は、はい! 私、御姉様に教えて頂いた。私の魔法が人を救える。立派な魔法という言葉。一生忘れません」
「えぇ、私も貴女の事は絶対に忘れないわ。アイリス……」
「……師弟の別れか」
「そして、ワシ等もだ。カミよ」
「アルベルト…何で戻って来たんだ? お前はあのまま……」
「……ん!」
俺が文句を言おうしたら、アルベルトは右手を俺の前に出して来た。
「別れはさっき済ませたからな……本当に最後に一言言う…カミ、いや〖西の賢者・カミナリ〗……永久の感謝を貴殿に」
「……アルベルト……あぁ、俺もだ。カンナギ・アルベルトに永遠の感謝を!」
俺とアルベルトは右手同士で固い握手を交わし、お互いに感謝の言葉を述べた。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!
「床も壁も崩壊して、次元の狭間が見え始めてる? スカサハ! 俺の手を!」
「了解……では、アイリス。未来でまた、必ず会いましょう! さようなら」
「未来?……はい!スカサハ御姉様。また未来で必ず、会いに行きます。絶対に会いに行きますから!」シュン!
「カミ! スカサハ! アイリス! 今回の旅は楽しかったぞ! また何処かで必ず再開しよう! 去らばだ!」シュン!
「……二人共、元の時代に帰って行ったな」
「えぇ、次は私達が……」
「あぁ、帰ろう。俺達の時代、神集九煌歴7006年の……俺達が生きる時代……現代へ」シュン!
「えぇ……二人で共にね」シュン!
こうして俺とスカサハの奇妙な歪な世界の旅は終わり、自分達の元時代へと帰還するのだった。
この魔力を以て、その運命を屠る編
終