輪廻決戦・〖この魔力を以て、その運命を屠る〗No.9 運命の時
〖運命廃棄炉の館・底〗
(終われ)(報いを)(消えろ)(怨みを)(同じ様に)(死んでくれ)(壊れろ)(潰れろ)(不幸になれ)(くたばれ)(痛みを)(斬られろ)(始末されろ)(裂けろ)(元凶が)(折れろ)
全ての時代の数万人にも及ぶあらゆる恨みが、怨嗟の嵐がフォルトゥナの身体と精神と運命力を削っていく。
「これは……何よ? この子達の全てが私に向けられているって事? 私はただ、可愛がってあげていただけじゃない。何が悪いのよ! 私は悪くないわ。悪いのは運命廃棄炉に落ちて来た時アンタ達じゃないのよぉ! それなのに何よ? この全てを蝕む攻撃は?……このまま此処にいたら、可笑しくなるじゃない……良いわ。生き残る為ですものねぇ……棄ててあげるわよ。コピーの神明くらいね………神明・〖運命の車輪〗を廃棄……大アルカナNo.10〖運命の輪〗を起動……〖革命〗よ」
怨念の沼に浸かった運命は自身の大切な神明を泥の中に棄てた。
模倣され創られたコピーは、〖神考創造〗の失敗作は暴走し、再び浮上する。
〖白い館・地下廊〗
ゴゴゴ…………ドバアァァンン!!!
「アハァァァンン!! 良くもあんな黒くて暗い場所に沈めてくれたわねぇ! 数万回死んじゃった気分だわぁ! 最悪よおおぉぉ!」
「そうか。それは俺に〖魔力〗を託してくれた人達も喜んで逝ってくれるな。嬉しく思うよ」
「何でこんな時に笑ってるのかしら? 貴方が殺して積み上げた〖屠人〗ちゃん達の屍。全部使わせてもらうわよ! 貴方を殺す為の道具としてねぇ! オホホホ!!」
フォルトゥナは巨大な肉塊と融合していた。身体中に数万はある眼。人の部位がそこら中に数万本生えている。身体には口が辺り一面にあり、臭い謎の液体を垂れ流していた。
「皆の怨みに当てられて、狂ったか……哀れだな。フォルトゥナ」
「挑発はもう効かないわよ。だって貴方は私の力、〖運命の輪〗の〖時代〗の力で、次元の狭間に落ちるのだもの……メチャクチャな時間に逝きなさい。担い手ちゃん! 大アルカナ〖運命の輪〗……〖時代〗を起動……逆位置へ」
俺が立つ床が歪み始め、次元の狭間へと繋がる。
そして、俺をその中へと……
(させない)(行かせるな)(我々の希望を)(使え)(我々の魔力)(叶えろ)(俺達の悲願を)(逝くな)(お前は)(私達の恩人)(不幸にさせるな)(僕達が)(手伝ってやらねば)
((((((((フォルトゥナに狂わされない様に彼の力を取り戻させる。彼の時間に奇跡を、彼の時の復活を!))))))))
大罪人達の声が〖白い館・地下廊〗に響き渡る。
そして、その響きを切っ掛けに、俺の身体がの時が少しだけ戻る。そう戻る全盛期の身体に少し戻る……それを俺は把握し、喜びに浸る。
「三年も戻してくれるのか……感謝するよ。恩人達……これでなんとかなりそうだ」
「あらぁ~? なんか少し老けちゃったんじゃなぁいい?! 弱くなっちゃったんじゃな~い?」
「セクウィ……〖白梟の歪剣〗……〖白銀梟の歪枝〗」
(ホー、ホー……やっと出番だね。主、魔力、いっぱい貰うね~)
〖白梟の歪剣〗が幾千の白枝に別れ、フォルトゥナの身体に突き刺さっていく。
「……ちょっと痛いじゃない。大アルカナ……〖報い〗の時を……」
「【復讐黑衣・白銀跋扈】」
〖白梟の歪剣〗から枝別れした場所を通じて、黑の復讐がフォルトゥナの中へと注がれていく。
「ちょっ! またこれなの?……こんな力……許されると思うんじゃないわよ。こんな数の暴力をををををを!! 〖輪〗の年輪よおぉぉお!」
「俺はまだ、今の身体で自身の魔法を放っていないんだ。フォルトゥナ……知っているか? 俺の魔法使いとしての全盛期は今の姿の時だったんだ」
「あぁぁ? 何の話よぉ!」
「だがその時は天雷の力は使えなかった……随分と矛盾した状況が生み出した奇跡に感謝する。全盛期の肉体と、全盛期の雷魔法を組み合わせての全力〖魔力〗喰らって屠てやる……神代・回帰……〖勇の天雷鳴・鳴神〗」
「させないわよ。私は運命を司るこの世界番人フォルトゥナよぉぉ! こんな簡単にやられるわけないのよぉ!! 大アルカナNo.10 〖幸運神〗のおぉぉおお!!」
一閃の落雷がフォルトゥナに墜ちる……
ズバアアアンンン!!
「おぉぉお…………私がこんな……こんな事でえぇ!」
「……まだ、終わって無いぞ。フォルトゥナ。重い一撃が二つも来るぞ」
「な………ん……で……すって?」
「終焉……喰らいなさい。〖影の晶槍〗」
「元の時代に帰らしてもらう……〖零・千華〗」
落雷が堕ちた瞬間だった。スカサハとアルベルトが加勢に来てくれたんだ。
そして、フォルトゥナの肉体は細切れに切り刻まれた。