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輪廻決戦・〖この魔力を以て、その運命を屠る〗No.7 罪人達に開放を


「キャアアアアア!! (アプス)ちゃんとの闘い、〖異界〗の旅に、マザーグースちゃんとの戦争までしておいて、貴方の身体はボロボロの筈じゃないのぉ? 魔力だって完全には戻ってない筈よ! 私はそれを狙って今まで貴方を放逐していたのに‥‥何で私がこんなに大きなダメージを負っちゃってるのよぉ!!」


 フォルトゥナは叫び声を上げた。


「確かに俺の魔力はこの世界に来た時は枯渇していた。だが、ある事をすれば急速に魔力の回復が可能になるんだよ」


「キイィィ! 何、自慢気に語っちゃってるのよぉ! こうなったら、どんどん行っちゃいなさい! 屠人(とびと)ちゃん達」


「シュハハ!」「キリサク、キリサク!」「ジジジジ!!」「ギリリリ!!」「ドルルル!!」


 異人、魔獣、腐塊、合成獣と様々な怪物達が地下の奥からぞろぞろと現れる。


 草原からここまでの旅で、俺やアルベルトは数万体の怪物達を倒して来た、なのに地下には‥‥


「まだまだこれだけ入るのかよ」


「オホホホ! そりゃあ、そうよぉ!何たってここはアグナの廃棄炉よぉ。極悪人や大罪人達が最後に落ちる、最悪の楽園。そして、私はここの番人にして、支配者のフォルトゥナ。だからねぇ‥‥こんな廃棄物達は私が好きに弄ってあげているのよ」


 最後の方のフォルトゥナの喋り方、まるで感情が無い人形の様に思えた。


「お前、まさか。アグナの廃棄炉に落ちて来た人達全員をあんな姿に変えてきたのか?」


「オホホホ! 当たり前じゃない。何たってこの子達は何の役にも立たない廃棄物なんですから。さぁ、暴れなさい! 貴方達!」


「「「「「ゴアアアアアア!!」」」」」


「可哀想に……今、開放する〖黑衣・装束〗……【半纏(ぼんてん)】」


 〖黑〗の衣装が地下廊に(なび)く、靡く……鋭利に靡く。


 その〖黑衣〗は鋭利な布、風呂、絨毯、弾幕、暗幕、あらゆる形と、あらゆる生地の可能性を秘めた〖黑〗の二重層が、何だを浮かべる怪物達の身体を貫き、切り、割き、斬る。


 そんな彼等、彼女等の表情は、長き苦しみから開放され、喜びの涙を浮かべていた。


ザスッ!

「あぁ……ありがとう。開放してくれて、ありがとう……どうか、俺の魔力を奴に……」


ドスッ!

「託す……どうかこれで奴に止めを」


スパンッ!

「俺達は確かにどうしようもない大罪人だか、それでも生きてた、生きて、今度は化物にされた……そして、身体を弄られた。俺達の意思など無関心に……だから、これをやるから奴に勝ってくれ」


ガスッ!

「どうかアイツを殺せ、殺して、俺達の未練を……」


 たった一人の俺に対して、数万体の屠人(とびと)達が、苦しみから開放される為に向かって来る。


 そして、俺は彼等を貫き、切り、割り、斬る。その見返りに彼等、彼女等から〖魔力〗を譲渡される。


 彼等、彼女等の魔力が〖黑衣〗を通じて伝わり、俺の満たされていなかった〖魔力〗を満たしていく。


 「オホホホ! どんどん行きなさい。数で押すのよ。圧迫するの。そうすれば、そのうち魔力も体力も底が尽きるのよ。哀れな、哀れな、アグナの廃棄炉の廃棄物ちゃん」


 フォルトゥナは気づかない。俺の変わっていく様子を、彼等、彼女等の心の底にある憎悪に気づかなかった。


 それがフォルトゥナの致命的なミスになるとは、当の本人は気づかない。 

 

 そんな状態が数万体の化物達の生が消え、死屍累累の山々が作り上げられたその時だった。怪物達復讐の〖魔力〗が折り重なり、怨念の〖黑の屍衣装〗として神成 刹那が着飾る。


「オホホホ……死体の山で先が見えないわね。で・も、あれだけの化物達に迫られたんだから、圧死しちゃったわよね。見に行っちゃいましょう!!」


「【復讐黑衣・黒羽】」


シュパンッ!


「……は? あああああぁぁぁ?!!! 何なのよおぉぉお!」


 フォルトゥナは驚愕する。自身の身体が、鋭利な黑の槍によって突き刺さっている事に。


「彼等、彼女等の怨讐は【黑衣】となりて、俺が着飾ろう。彼等、彼女等に成り代わり、貴様への復讐を達成する……貴様を処す。フォルトゥナ」

【黒衣装束・怨讐の衣】


 この日、フォルトゥナは人生最大の苦しみを味わう事になる。

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