輪廻決戦・〖この魔力を以て、その運命を屠る〗No.4 ナナシの零
五百年前以上の『剣技大陸』
(美しい剣技の持ち主‥‥お名前を聞いてもよろしいか)
(誰が美しい顔ですって? 何? またナンパ?)
(ナンパ? 何だそれは?‥‥それに美しいの君の剣技であって、別に顔には興味が‥‥)
(持ちなさいよ! バカタレ!!)
ガキンッ!
(つっ! いきなり何をする? ワシはただ、君の美しい剣技の舞いに見惚れていただけだ。それを何故、攻撃してきた?)
(だから、何で絶世の美少女のこの私じゃなくて、私の剣技が美しいとか言ってるのよ。私はそれに怒ってわけ! 良い! 私は地球じゃあ、トップアイドルだったわけ。それが変な緑の龍に何かされちゃってら帰ってる最中、邪魔しないでくれる? お馬鹿さん!)
(‥‥この力。何んだ? この女は)
〖白い館・二階〗
「どこまで逃げるつもりだ? ナナシの‥‥いや、零の偽物! 〖桜斬〗」
「キヒィ! 御姉様の邪魔にならない所までですよ。カンナギ・アルベルト。零剣術〖無刀〗」
パキンッ!
「零の技まで使えるのか?」
「キヒィ! 私と二人っきりになった途端に、彼女の新名を呼びますか? それ程までに魔法世界の契約が怖いとは、剣技大陸の覇者がそんな弱腰とは、驚きましたよ」
「‥‥まだ、そのなっておらん。それに零は次元の旅人。こんな世界で止まらせ、縛るわけにはいかないだけだ。」
「成る程。歴史通り、妻想いのお優しい夫の様ですねぇ?」
「まだ、結婚もしておらんわ。さっきいったい何の話をしている? 貴様は?!」
ガキンッ!
「カンナギ・アルベルトの未來の結果を教えても微動だにしない? 奴は先程の黒ローブの男から、謎のリングを受け取っていた。まさか、あれは認識阻害の効果もある魔道具?‥‥だとすれば私の戯れ言が耳に届かないのも頷ける」
「‥‥お前、考えている事が全て言葉に出ているぞ。成る程、今のワシが自身の未来に何の興味が湧かないのは、カミのおかげだったか‥‥未来に興味を持ち、未来を自ら知ろうと動けば〖天上の理〗からの罰を受ける」
「なんだ。ちゃんと知っているんじゃないですか。それでは私の戯れ言を‥‥貴方に起こる未来の話をちゃんと今度から聞いて‥‥バギャア?」
「済まないが、ワシは口煩い奴は好まないんだ。ワシにちゃんと話を聞いて欲しければ、ちゃんとした教養と力を俺に見せろ、カミの様にな。さすれば、短時間の仲であろうとお前の話をちゃんと聞いてやる」
スパンッ!
「ギャアアア!! わ、私の顔を、口を斬った?」
「先程は急ぎ帰ろうとも思ったが、考えを変えよう‥‥お前達は何故、カミからワシ達を遠ざける? 何が目的だ? 何故、我々をこの歪みに落とした? 本当の目的は何だ?」
「キヒィ、そんな一気に質問それても答えられないですねぇ、まあ、あの黒いフードの男が御姉様に殺られれば、この世界が終わるのは確実になるんじゃないですかねぇ?」
「‥‥喋りを続けろ」
「えぇ、良いですよ。私は感動とお喋りが大好きですからね。キヒィ! 愚かな神々が別世界から呼び寄せた希望。それがあんな年端もいかない様な男に縋るとはねぇ、あの男も可哀想ですよ。ですが、ですが、その神々の狂った選択は正しかった。あの男は御姉様が所属する組織、〖神々(ラグナログ)の黄昏〗に気付かれず力を付け、一年も経たずに〖神々の黄昏〗の約半分を討伐、制約、交渉により、半分にまで減らすとは‥‥んー、凄いですねぇ」
「そうか」
‥‥コイツの話を真剣に聞いてはいるが、頭の中でコイツから得た情報が整理しようとしても、上手く纏まらなく、理解が出来ない‥‥出来ないが、カミが今後、未来に必要な存在だという事をは十分伝わった。
ならばワシが取る行動は‥‥孤高の王と自負していたワシが最善を尽くすべきは‥‥この敵をなるべく早く殲滅し、カミの元へと再び向かい。共にこの歪な世界から脱出する事。
「‥‥立て、ナナシの偽物。真剣に斬り結ぶぞ。先程のまでの様なふざけた、逃走はもうするな‥‥腹が立つからな」
「おや? お話はもう宜しいので? キヒィ」
「あぁ、知りたい事は分かった。カミは殺させん‥‥ワシの友だからな」
「キヒィ! おぉ、友情! 素晴らしく! それは感動! 私は感動が大好きよぉ! ヨシヨシしてあげましょう」
「いらん。気持ち悪い」
「何と私のヨシヨシがいらないですか。ではでは、自分で自分をヨシヨシしましょう‥‥ヨシヨシヨシヨシヨシヨシヨシヨシヨシヨシヨシヨシヨシヨシヨシヨシヨシヨシヨシ‥‥ゴキッ! あら?」
このナナシ‥‥いや、セブンは自身の頭を擦「こす」り過ぎて、自分の首を自分で折った。
「あら? あら? 私の首が変な方向に?」
「‥‥それ以上、零の顔で可笑しな行動は止めろ。腹が立つ」
「おっと! これは失礼‥‥」
ゴキッ‥‥カチャッ!
セブンは自分の顔を勢い良く回した。すると折れた筈の首がすっかり治った。
「はいっ!元通りです」
「‥‥アンクルの道化師か。お前は‥‥まぁ、良い、斬り倒す」