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カンナギ・アルベルト


「‥‥カンナギ・アルベルトだと?」


「おうよ。よろしくな!魔法使いの少年」


《カンナギ・アルベルト》


魔法世界(アリーナ)の歴史に名を残した偉人の名前だ。


遥か昔、魔法大陸(エウロペ)の東隣の大陸。剣技大陸(アルトネ)は大国通しでの争い尽きない戦乱の大陸だったと魔術院の文献史料には載っていた。


そして、その群雄割拠の戦乱の世の中を、自身の剣術一つで制覇し、剣技大陸(アルトネ)の中央に、お乗りの名の一部である〖カンナギ〗の名前を関した大陸統一国家を造り上げたのが、カンナギ・アルベルトだ。


文献の最後の方にはカンナギの姫君との父娘の今生の別れを書いた詩〖カンナギの姫は父を想う〗は、他大陸でも絵物語になる程の名作として有名だ。


ガリア帝国やアダマス国などの大都市では大衆演劇や人形劇などの演目として人気らしい。


「何でそんな大人物がこんな可笑しな草原に現れるんだ?」


「何だ?ワシの事を知ってるのか?魔法使いの少年。まぁ、ワシは強くて顔が良いからな!知らない方が可笑しいか。ハハハ!」


カンナギ・アルベルトは大声で笑い始めた。何なんだろうな?こう、掴み所が無く淡々としている様に見えて全くと言って良い程に隙が無い。


そして、もしもこちら側から攻撃しようものなら、間違いなく俺の身体は一刀両断される未来が待っているだろう。


「何だ?ワシを見定め中か?少年」


カンナギ・アルベルトの眼に一瞬、俺に対して殺意を向けて来た。


「ヒィ‥‥‥な、何ですか?その圧は‥‥」


アイリスはそれを見て俺のフードの中に隠れてしまった。


「おい‥‥カンナギ。初対面の相手にその威圧は何なんだ?アンタがもしも本当にカンナギ・アルベルト本人だったとして、もしも戦闘になる様なら、俺は容赦しないぞ。俺は今、使える全てを使って、俺はお前に勝つからな」


「ほう‥‥ワシの威圧を喰らってそんな啖呵を切るとはな‥‥ワシも舐められたものだな!〖楼閣の太刀〗」


カンナギは銀色の刀鞘から抜くと、俺にいきなり斬りかかって来た。


「血の気が多い奴だな。〖黑雷・歪白梟〗」


バリバリバリバリバリバリ!!!!!!


桜色の剣技と黑と黄色の雷撃が草原中を駆け巡った。


「ほう。謎の黒い糸に雷と‥‥何だ?その白く枝の様な剣は‥‥なる程な。魔法使いは見た目だけで、剣技、魔法、使役、全てが一級品という事か?そうと分かれば、剣技しかないワシが不利なのも理解できたわ」


「油断‥‥次、動いたら身体を串刺しにするわ。カンナギ君」


さっきまで静かだった、スカサハがカンナギの喉元に魔法結晶の短剣を当てていた。


「‥‥オマケに仲間のこの子も強いとわね。それにフードの中に隠れた子供も、未知の力を秘めているか。これは合格だな」


「は?いきなり攻撃してきて何が互角だ?カンナギ・アルベルト!」


「おいおい。そりゃあ、この歪んだ世界から出る為の仲間にするかの力試しだぞ。本気でやらないと意味がないだろう?」


「疑問‥‥歪んだ世界から出る?貴方はいったい何を言っているのかしら?‥‥いえ、何を知っているの?」


「教えてほしいなら、先ずはこの紫の短剣を下げてくれないか?こんな物を喉元に密着させられてたら、話せるものも話せなくなるんだが」


「拒否‥‥私達は貴方の思想も考え方も何一つ分かっていないわ」


「慎重な夢魔さんだな‥‥確かに何も知らない世界で、、突然、俺の様な男が現れたら警戒もするか」


カンナギ・アルベルト‥‥〖カンナギ〗‥‥神話、神代、現代に至る色々な場所で時たま現れる人物達がその名を背負い名乗ると言う。


そして、エスフィールが連れてきた友達。レイカさんもカンナギの名前だった。


〖カンナギ・レイカ〗‥‥五百年前、剣技大陸(アルトネ)を支配しようと、戦乱を巻き起こした〖アルゴン〗を討伐した剣技大陸(アルトネ)の古き勇者。


彼女も赤髪だった。そして、目の前に居るカンナギ・アルベルトも赤髪だ。

何かしらの関係性があるのは間違いないと思われる。


〖呪われたカンナギの姫君〗‥‥剣技大陸(アルトネ)で〖カンナギの姫は父を想う〗と共に有名な童話。


戦乱を制した後、不老不死の少女があらゆる場所を無意識にさ迷い、悪を裁く(うた)


そして、レイカさんの隣にはエドワードがいつも居た‥‥〖エドワード・ユグドラ〗。元〖神ノ使徒〗にして、世界最高峰の治癒。アイツはどんな病でも治せる。それがどんな呪い、病、精神の衰弱だろうと必ず治せる。そんな権能をエドワードは契約神から授かっている。


五百年前、勇者〖カンナギ・レイカ〗がアルゴンから不老不死の呪いを受け、五百年さ迷い、エドワード・ユグドラシ‥‥世界最高の治癒師が治し、何か大事が起こる前に〖神ノ使徒〗の座に戻したのか?


エドワードが造る薬はとある場所では万能薬とも呼ばれ、魔獣化した幻獣や死をもたらす程の呪いを受けたものが飲めば、たちどころに元の姿や傷が治ると言われている。


いや、実際そうなんだ。俺はエドワードの数々の無茶振りを効く代わりに、アイツに大量の薬を発注し、造らせ大量にストックしてあるのだ。ティアマト地方の戦いでは、傷だらけになっていたアナスタシアに戦い後、何本かかけてやったのを覚えている。


(エドワード!!穀潰しなんだから!どんどんその緑の変な液体を作れ!!)


(ヒイイ!カミナリ氏!僕が造るこれは以外に高いんですぞ!)


(黙れ!穀潰し!問題ばっかり持ってきやがって!お前は昔もだな!)


バシッ!


(ガハッ?ほ、本気でぶちましたな?カミナリ氏!!!)


アイツがロウトルの迷宮に行く前の話だ。謎の緑の液体を、アイツがぶっ倒れるまでひたすら作らせたんだよな‥‥


「その顔。魔法使いの少年は色々と知っているんだな‥‥ならば警戒を解かせる為にも教えてやろう。この歪んだ世界に何故、ワシ等が招かれたのかを‥‥」


そして、カンナギ・アルベルトは俺が聞いてもいないのに、何を勘違いしたのか。この世界について語りだした。

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