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違う名前のエスフィール


「あっちの方から聴こえてきたよな?あの叫び方はただ事じゃない。急いで助けに行こう」


「了解‥‥でもそんな心配しなくても大丈夫だと思うわ」


「大丈夫?‥‥‥何で今から行く場所の現状を見てもいないのにそんな事が分かるんだ?」


「〖感〗かしら?私、霊王の娘だから色々な事が視れるのよ」


「感?‥‥霊王‥‥霊王?の娘?!スカサハさんが?」


「明答‥‥‥カミ君も一度会っていると思うのだけど?もしかして、忘れてしまっている?‥‥‥それから私の事はスーさんと」


「いや、会ったばっかりの人にそんな親しげな呼び方と変だと思うんだけどな‥‥」


「間違い‥‥‥私は貴方に二回も会って、命まで救われている。セルビアの時と、オアシスの時に‥‥‥まぁ、遭遇した事はあやふやになっているているけれど」


「俺とスカサハさんが‥‥‥」


「さんはいらないわ。私をスーさんと呼ぶのが恥ずかしいなら、スカサハと呼び捨てで構わないわ」


「いや、余り親しくもない年上に向かって呼び捨ては流石に‥‥‥」


「不愉快!‥‥‥良いから。スーさんか。スカさん。スカサハと呼びなさい!神君。これは命令!」


「いや。何で呼び名が増えてんの?」


そんな変なやり取りを繰り返しながら、俺とスカサハは悲鳴が聴こえた方へと向かって行った。


「本気!‥‥‥私は君にならこの力を‥‥‥」


「見えてきた!あそこだ!」


スカサハが何か言いかけていたが、俺はそれを(さえぎ)る様に声を上げた。その理由は、叫び声のした場所へと辿り着いたからだ。


そして、俺達が着いて見た光景はというと‥‥‥


「キキィイイ!!」「ギャリキ?」「ゲヘヘヘ!!」「ヒヒヒ!!」「ゴキゴキ?!」


「は、離しなさい!この汚いゴブリンのクセに!!」


服は所々破けた少女に、無数のゴブリンが群がり、手足を拘束されている光景だった。


「‥‥‥何だあれ?何でゴブリンが人を襲っているんだ?確かゴブリンって、〖亜人種〗だよな?」


「正解‥‥でも産まれて知性レベルが低いと魔獣化する子もいると言われているわ。あの言葉を喋らないのが証拠。それと助けないと不味いわ」


「‥‥そうだな。このままだと、あれが始まりそうだしな」


「あれ?」


スカサハは不思議そうな顔で俺をジーッと見つめる。どうやら、俺が言った事の意味が分からなかったようだ。あれとはあれだ。ゴブ●レの様な展開だ。



「キシャアァア!!」


「や、止めない!や、止めてぇぇ!!」


ビリビリ!!!


服が破ける音が聴こえる。


「ヒヒヒ!!」「ギギギ!!!」


「や、止めてぇ‥‥‥‥何処に触れる気?!」


二体のゴブリンが少女の身体の内側を触ろうと、近寄った瞬間。


「黑装束〖黑飮(こくいん)〗」


「ギャリア?!」「ガァ?!」「ギゲェ?!」「ガャリ?!」「がベラぃ?!」


無数のゴブリン達の身体が黑色の針で貫かれた。


「‥‥良し。やっと重ねがけの〖黒衣〗が馴染んできたな。これで前よりも格上相手にまともに闘えるようになりそうだな」


「驚愕‥‥‥何て精密で高威力の攻撃。現代魔法じゃないそれは何?‥‥‥教えなさい。このスカサハ御姉さんに教えなさい。神君」


「てっ!何?近い!近いっての!」


スカサハは俺が使った〖黑衣〗に興味を抱いたらしく、ズズいと俺に近付いてきた。


「疑問‥‥貴方は他に何ができるの?何を隠しているの?その魔法ではない力は何?何故、セルビアやオアシスで会った時よりも強くなっているのかしら?」


「質問が多い。多いって!それよりも今は助けた女の子に何があったか事情を聞かないと駄目だろう」


俺はそう告げるとゴブリン達に襲われていた。少女の顔を見た。そして、その少女の顔を見て驚愕した。


「‥‥‥エスフィール?エスフィールなのか?‥‥‥まさか君も、この変な場所に飛ばされていたのか?それに何でゴブリン何かに襲われていたんだ?君、位に強かったら拘束なんてされずに、普通に倒せていただろう?」


「な、何ですか?いきなり?何で私の名前を知っているんですか?‥‥それに初対面である私に対して何でそんなに親しげに話しかけるの?‥‥また、私を罠にかける気?」


「は?いや、だって君は俺が知っているエスフィールに‥‥‥ユナ・エスフィールにとても良く似ていてだな」


「ユナ・エスフィール?誰ですか?それ?‥‥‥私はアイリス‥‥‥魔法使い見習いのアイリス・エスフィールです!怪しい人。助けて頂いたのには凄く感謝します。でも、何で私の名前を知っていたのか、怪しいです!」


「アイリス‥‥‥エスフィール?‥‥‥アイリス?‥‥‥」


「不思議‥‥アイリス・エスフィール様は確か、魔王領の魔王代理方。何故、こんなに幼い子供になっているの?」


スカサハがそう言って、アイリス・エスフィールに自分が被っていた。黒いフードをかけた。どうやら破れてしまったアイリス・エスフィールの素肌を隠す為らしい。気が利く良い人だな‥‥‥


「あ、ありがとうございます‥‥‥えっと」


「スカサハ‥‥よろしく。アイリス」


「スカサハ‥‥お姉様ですか。はい!よろしくお願いします」


「スカサハ‥‥御姉様?‥‥どこの地球の女学院の呼び方だよ。プフ‥‥」


俺は一瞬。アヤネの事を思い出し、吹いてしまった。アヤネの奴、今頃、女の子達に追い掛けられてるんだろうな。



◇◇◇◇◇


その頃の地球〖ケレス女学院〗


「「「「「天王洲御姉様!!!!!」」」」」


「ヒイィィ!!!セツ君!!助けて下さい!!(わたくし)はノーマルですわぁぁ!!」


「‥‥‥今日も追いかけられてるな。取り巻きが日に日に増えてるか?神無月」


「えぇ、アヤネのファンクラブまで始めましたよ。九条先生」


「‥‥‥いや、お前もだろう。神無月」



◇◇◇◇◇


「‥‥‥何を一人で笑っていんですか?貴方は?」


「へ?あっ‥‥いや、ただの思い出し笑いだ。気にしないでくれ。エスフィールさん」


「‥‥‥アイリスで良いです‥‥‥えっと‥‥危ない所を助けて頂きありがとうございます。怪しい人とスカサハ御姉様。私は〖魔法族の里〗のアイリス・エスフィールと言います。聖域の森で薬草を取っていたら、変な口調の男性に声をかけられたと思ったらこ、この場所に倒れていてですね」


「変な口調の男?‥‥‥それって、もしかしてオカマ男‥‥」


俺がアイリスに聞き出そうとした時だった。スカサハがゴブリンの死体を見て、驚いた表情をしたかと思うと、突如、誰かの名前を言い始めた。


「指折りのルイル‥‥‥こっちは妖精殺しのカンガ‥‥‥ヘル・デアの執行官‥‥」


「スカサハ?」


「驚愕‥‥このゴブリン達の顔、皆、知っているわ」


「知っている?そいつら、ただのゴブリンだろう?何で魔獣達の顔なんか‥‥‥」


「静かに‥‥ここでは余り会話をしないな方が良いわ。カミ君‥‥その右の耳飾りは〖最果て〗の物ね」


「ん?あぁ、師匠から貰った(パクった)」


「了解‥‥では、ひとまずこのゴブリンの痛いとアイリスを連れてその中に逃げましょう‥‥‥この歪な歴史の空間から」


スカサハはそう告げると遠くに見える‥‥‥‥何かを見つめ、怒りの表情を浮かべていた。

ようやくこの作品も折り返し地点になりました。


いよいよ完結まで見えて来ました。このお話の最終部までのプロットはじつは、もうできています。


最後まで完走できるように頑張りたいと思います。


今回も読んで頂きありがとうございました。

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