幕間 お嬢様と元委員長は脱獄したい ② 乙女達に大人気だわ
〖ケレス女学院〗歴史ある学院で男子禁制、お嬢様の中のお嬢様達が通うと言われる。日本最高峰の乙女の花園で、別名は百合の花園。
何でこんな場所に私が半年間も編入生として過ごさないといけないのよ。偏差値なら聖豊中学校の方が上じゃなかったかしら?
それにここは噂だと、お金持ちで問題あるお嬢様達を去勢する為の更生施設の役割もあるとか聴いた事が‥‥‥‥
ん?問題ある、お嬢様?‥‥‥もしかして、それって私も含まれてる?
そういえば神成君を振って直ぐにこんな事になったんだわ。神成家の将来有望な人を振ってしまった。
‥‥‥もしかして、神無月家の人達がそれに怒って私を、ケレス女学院に編入させたって事?
いやいや、まさかそんなわけ、それに彼とはちゃんと話し合ったし、彼が私との関係を周りに話すわけないもの。
ここは早くこのケレス女学院から脱け出して、調べなくちゃいけないわね。うん。私は問題ある、お嬢様ではないもの。
〖ケレス女学院・談話室〗
「しかし、参ったな。神成家の人間を振るとは、馬鹿な事をしたな。ケイ‥‥‥‥フゥー」
「カオル!ここは禁煙よ!煙草を吸うなら‥‥‥」
「心配するな。これはただの電子タバコだ。問題ない」
「そう。ただの電子タバコなの。なら問題は‥‥‥大有りよ」
どうやら家のママと、アヤネのママは友達同士だったみたい、初めて知ったわ。
ガチャッ!
「あっ!音を立ててしまいましたわ。不味いですわ。逃げますわ」
「コラッ!アヤネ!何を逃げようとしてるのよ。待ちなさい‥‥‥」
「おや?何処に行くつもりですか?編入生さん」
ポコンッ!
「キャイッ!!痛いですわ!!」
アッ!捕まった。
「お久しぶりです。天王洲様。神無月様。ご依頼は御二人の娘方の教育で宜しいので?」
「あぁ、好きな様に教育して良い。じゃあな、ケイ。外と神成家とのほとぼりが覚めるまでの試練とする。せいぜい自分を鍛え直せよ。行くぞ。アヤ」
「あっ!ちょっと!まってよ!カオル。もうっ!相変わらずの仕事人間ね。じゃあ、アヤネ。半年後に貴女が生きてたら迎えに来るから、頑張ってねー、バイバイ~!」
家のママはそう告げるとアヤさんと共に談話室から出ていってしまった。
「お母様!私、こんな百合百合の学院何て嫌ですわ。私はセツ君と共に!!」
ポコンッ!
「何が百合百合だ。我が学院を馬鹿にしているのか?相変わらず。お馬鹿な発言が多いな。アヤネ」
「九条先生?!九条先生が何でここに居りますの?」
「カオルさんに頼まれて、お前ら二人のメンタルが壊れた時のケアーと監視の仕事をだな」
「メンタルクラッシュの間違いですわ」
「何だと?アヤネ!もう一度言ってみろ?」
「ひふぁああ!!ほ、頬っぺたを掴まないで下さい!!九条先生!!ケイ!!タシュケなさい!!」
「‥‥‥‥アヤネはどこに居ても元気ね。私はもうこれから始まる地獄に阿鼻叫喚よ‥‥‥」
そんなやり取りから次の日の朝
「聖豊中学校から編入して参りました。天王洲 アヤネと申します。これから半年間だけですが、皆様と楽しい日々を過ごせる事、嬉しく思います」
「「「「「キャアアアアアア!!!!!!天王洲家のご令嬢ヨオオオォ!!!!」」」」」「本物のお嬢様よ!」「綺麗な黒髪!!」「あの綺麗な肌、舐めたいわ」「お人形さんみたい!!!ゴクリッ!」
「誰?」
「誰だ貴様は?」
こ、この娘。昨日はあれだけ泣き叫んでたのに、何て代わり様。演技?何?演技なの?それと何で九条先生がこのクラスの担任やってんのよ!
イヤ、それよりも私も皆に自己紹介しなくちゃ。
「神無月 恵です。色々あってケレス女学院に編入生として来ました。宜しくお願いします」
「キャアアアアアア!!カッコいいわ!」「こっち向いて!!」「ケイ様って言うの?素敵よおおぉ!!」「付き合ってえぇえ!!」
男子禁制が影響してるのかしら?私に向けられる視線に変な感じがするんだけど。
「‥‥‥殿方が‥‥‥セツ君が居ませんわ。地獄ですわ。地獄の始まりですわ (ボソッ)」
アヤネは満面の営業スマイルのまま。そんな事を小声で言った。
それからは確かに地獄だったわ。
〖ケレス女学院の寮〗では
「ケイ御姉様様。お着替えお手伝い致します!!」
「い、良いわよ!一人で着替えられるわ!‥‥‥てっ!どこに手を突っ込んでいるのよ!!」
ルームメイトの湊 ルーシーさんからの過剰なスキンシップ!
そして、アヤネの方も。
「天王洲様の為の親衛隊を創りました。何なりとご命令を!」
「‥‥‥‥いえ、私の事はお構い無くですわ。そっと半年間腫れ物の様に」
「お供えものですか?皆さん!天王洲様はどうやらお腹が空いておられます!急いで食堂へと参りましょう!!」
「「「「「はい!!!!!」」」」」
「ヒイィィ!!違いますわ。腫れ物てすわ!、私の事はほっといて下さい!!あの旅で身の回りの事は出きるようになったのですか‥‥‥‥ちょっ!何をするのです?何で私の体を拘束してえぇぇ!!」
慕われ過ぎて編入日の放課後直ぐに、アヤネの親衛隊が結成され、彼女達によってアヤネは管理され始めた。
それからは更に数日後〖ケレス女学院・用具室〗
「‥‥‥もう無理ですわ。たった数日でメンタルクラッシュ寸前ですわ。逃げたい!私、ここから逃げたいですわ!!ケイ!!」
「シッ!お馬鹿。いきなり叫んだらここに隠れている事がバレるでしょう。いや、確かに私もルームメイトのルーシーの過剰なスキンシップにはもううんざりだけど‥‥‥‥そうね。脱獄しないと、身が持たないわよね」
「ですわ!ですわ!四六時中こんな扱いでは、身が持ちません!」
「よねぇ‥‥‥‥何処かに隠れる場所で私達しか入れない所があれば良いんだけど‥‥‥‥」
「私達しか入れない所‥‥‥‥?」
アヤネがそう言って、少し考え始めた。
「アヤネ?」
「‥‥‥ありますわ。ありますわよ。確か、セツ君と私が感動の別れを告げている時に‥‥‥行き詰まったら〖角笛〗を探せと言っておりましたわ」
「〖角笛〗?何?その変なアドバイスは‥‥‥そんな角笛がある場所何て、この広いケレス女学院に‥‥‥あるじゃない」
私は九条先生から借りパクした。ケレス女学院の全体地図を見てビックリした。
〖ケレス聖堂場〗歴史ある〖○○の角笛〗が保管されている。手書きで書かれていた。
「これは九条先生の字よね?‥‥‥まさかこうなる事を予測していたのかしら?」
「そ、それよりも、そこに行けば自由になれるんですよね?拘束されなくて済むんですわよね?」
「‥‥‥アンタ。この数日間何をされたのよ‥‥‥でも〖ケレス聖堂場〗に行くには一度学院の外に出ないといけないみたいよ」
「ならば脱獄ですわ。一度、学院内の外にでて、そのまま〖ケレス聖堂場〗に逃げ込むんですわ!!やりますわ!!」
「‥‥‥凄いやる気ね。アヤネ」
そんな事があった数時間。アヤネ持つ謎スキル〖ピッキング〗により。あれよこれよと頑丈そうな扉が開き、後、少しで外へと出れると喜んでいたんだけど。
「さぁ、もう包囲されているんだ!大人しく私達との中を深めようか!編入生達」
「目が狂ってますわ」
「そうね。あの人、アヤネと同じ目をしてあるわね。狂人の」
「ケイ?!何て事、言いますの?!」
「フフフ、何を呑気にお喋りしているの?良いからさっさと‥‥‥」
「‥‥‥火米良義。何、こんな夜遅くに騒ぎを起こしている?しかもこんなに生徒を連れて‥‥‥私の仕事を増やす気か?」
「へ?あれ?九条御姉様?何故、こんな所に‥‥‥てっ!痛い!痛いです!九条御姉様!!頬を引っ張らないでえぇ!!」
「「「「彩夏御姉様!!!!」」」」
酒瓶を持って酔っぱらった九条先生が突然、現れて変態生徒会長を拘束した。
「な、何だから分からないけど!」
「今のうちに逃げますわ!!」
「あっ!コラッ!お前達も此処で何をしていた?待たんかっ!!」
九条先生の声を無視して私達は外へと脱獄した。
目指すは私達の安息の地となりえる〖ケレス聖堂場〗。
ていうか、何でこの女学院は敷地全体が刑務所みたいな、壁と鉄格子で覆われているのよ。ぶっちゃけありえない!