幻創決戦・〖國終りて、甦生しは勇ある者〗No.36 甦生と再生の卵
ガリア帝国 特務特区〖ラティニウス〗
「‥‥‥‥ようやく終わったな。これで‥‥‥」
シュンッ!
「終わったじゃないですよ。ナルカミ旦那さん。急いで!急いで!あの卵をアチキに返して下さい。あの魔女の頭が宙に浮いている間に終わらせないと全てが台無しになりますから」
〖白兎のヘンリー〗
「ヘンリー‥‥何だよ。慌てて〖最果ての孤島〗からで出てきて‥‥‥」
「彼だけではありませんよ。私達も皆、出てきました」
「オーロラ様まで?‥‥‥何で?」
「それよりも、その慌ただし白兎に例の卵を渡して下さい。そして、私にはこの紙を返して貰います‥‥‥」
赤の嬢王はそう言うと俺の方へと近づいて来た。
「なっ?!ちょっ‥‥‥何、勝手にフードの中に手を突っ込んでんですか?」
「‥‥‥紙に全ての反応は‥‥‥ありますね」
〖木の人形〗=ジュゼッペ〖緑の水晶〗
〖神代の騎士〗=マルクス〖白の意志〗
〖ガリアの希望〗=姫騎士セレナ〖皇族の血〗
〖真実の黒の嬢王〗=ティターニア〖黒の水晶〗
〖海の歌姫〗=アリエル〖青の水晶〗
〖赤狼の雌〗=メアリー〖赤の水晶〗
〖勇敢な兄妹〗=ヘンゼとグレーテ〖黄の水晶〗
〖白き偽りの姫〗=オーロラ〖白の水晶〗
白き姫〖オーロラ〗様から受け取った時には書いていなかった文字が書かれている。
「何ですか?それ?‥‥‥俺が受け取った時の紙には、そんなびっしりと文字が書いていなかったような」
「‥‥‥‥条件は厳しかったですが、この全員が場所は違いますが、首都・テトクリスに揃っています。黄の方、あれが空に舞っている間に〖卵〗を白兎にお渡し下さい」
「そうです!そうです!早く渡して下さい!!じゃないと間に合わなくなりますよっ!ナルカミの旦那さん!!」
どうやら、本当にヘンリーの慌て方はただ事ではないようだ。こっちは〖マザーグース〗をやっと倒して少し落ち着きたかったが、そうもいかないらしい。
「分かったよ。ヘンリー‥‥‥いや、●●●●‥‥‥君に還そう預かっていたモノを‥‥‥〖ラプラスの卵〗を‥‥‥それと少しの魔力もな‥‥‥‥」
金色の輝きを放つ卵。それを俺しか取り出せない、収納魔道具から取り出し、ヘンリーへと手渡した。
「オォォ!!これでアチキも元の姿に‥‥‥何か以前よりも質が良くなってますね。それにこれ程の魔力を頂けるなんて?!」
「喜ぶのは全てが終わってからにして下さい。白兎‥‥‥割りなさい」
「‥‥‥‥はい。オーロラ様‥‥‥‥〖異界〗の再構成の儀を始めます。〖●●●●●〗」
パリンッ‥‥‥‥!!
ヘンリー‥‥‥‥いや、ラプラスが何かを唱えたと同時に〖ラプラスの卵〗が割れる。
そして、ガリア帝国の国土全域の空が金色に輝きを出した。
「‥‥‥‥これは?」
「しっ!少しの間。静かにしていて下さい‥‥‥‥」
オーロラ姫様はそう告げると空を見つめる。
『‥‥‥‥何を望むか?』
重苦しい重圧を感じる声が首都・テトクリスに響く。
「〖異界〗の再生とガリアに害をもたらした方々と物質の再生を」
『〖生贄〗はどれか?』
「現在、宙を舞う。〖赤の装束〗とその身体、その部下の魔力残滓を差し上げます」
『‥‥‥‥少し足りぬが‥‥‥そこの少年の魔力を少し渡せ。さすれば条件は満ちる』
「はい。喜んで!!」
コイツ?!‥‥何、即答してんだ?オーロラ姫様!!!
『‥‥‥‥〖異界再生〗の厳しき条件の完遂。ラプラスの卵の育成じつに見事であった‥‥‥‥その願い引き受ける。〖異界・不思議の国〗及び、ガリア帝国の修復‥‥‥‥完了した。外界に来た〖異界〗の者達は返してやる‥‥‥去らばだ』ズズズ‥‥‥‥
ガリア帝国の空から金色の光が無くなり始め、重苦しい重圧の声も消えた瞬間だった。瓦礫と更地と化したガリア帝国の首都・テトクリスが金色に輝き、崩壊した建物が元の姿へと修復されていく、それだけではない、〖マザーグース〗によって殺された魔獣達が再生し、消えていく。
「ありがとうございます。〖始祖の龍・○○○」様」
「は?始祖の龍‥‥‥オーロラ姫様。それって‥‥‥つうかアンタ。アテナ様だろ?ポンコツ女神の」
「誰がポンコツよ!‥‥‥おっと‥‥‥失礼。私達は〖異界〗に帰ります‥‥‥勇ある者よ‥‥‥貴方の力と魔力と尽力で〖魔の者〗達は滅び消えました、全てが元に戻ったとは言えませんが、本当にありがとう。セツナ‥‥‥」シュンッ!
「ナルカミの旦那さん。〖卵〗をちゃんと育て、管理ありがとうございました。また、何処かでお会いしましょう‥‥‥」シュンッ!
「‥‥‥‥別れが急過ぎだろう。アホヘンリー‥‥‥ありがとう」
〖ガリア帝国・磔のルルイア〗
「全部、終わった様だね‥‥‥新しい〖異界〗に帰ろうかね。メアリー」シュンッ!
〖イエルブラン・サイロー〗
「‥‥‥無事かったか、マルクス‥‥‥ティアマト地方か‥‥‥先に行って待っておるかのう。我が義息子を‥‥‥」
〖ラ・テール地区〗
「‥‥‥‥ぐっ!此処は?テトクリス?何で?俺はこんな所に?」
「‥‥‥‥お爺ちゃん。ちゃんと来た。良かった‥‥」
「サーシャ?何故、俺の孫がこんな所に?」
「私もおりますよ。義お爺様」
「ランスロット?!お前、何を言っている?馬鹿にしてるのか?」
「ニャー、空が金色ニャア!綺麗だニャア」
「いえいえ、一番美しいのは、セシリア様です」
「ニャー、ありがとうニャア。アホセニャル」
「いえいえ、ならば挙式を」
「‥‥‥‥話が飛びすぎだ。バカセニャル」
「アルケル!!貴様!!誰がバカセニャルだっ!私はアホセニャルだっ!」
「‥‥‥どっちも変わらないぞ。アクスレナル」
「やりましたね。兄様。これで私達は‥‥」シュンッ!
「あぁ、本当の自由だ。ありがとう。外界の人達。永久に感謝を‥‥‥」シュンッ!
〖ガリア・キテリクス工業区〗
「ホホウ!買ったな!」
「終わりだ!」
「凱旋だ!」
「帰るぞ!帰るぞ!」
「皆のモノ!」
「外界の者達に祝福を!」
「イザッ!新たなる〖異界〗へと!」シュンッ!!!!!!!
「「「「「オオォオオ!!!去らば!!!外界の世界!!!!」」」」」シュンッ!
〖ゴール城〗
「アリス御姉様。ゴール城が‥‥‥」
「うん‥‥‥元に戻っていくわね。これも勇者様の力なのかしらね?不思議ーっ!」
「キシャアアアアア!!!!」
「おーい!!アリス姉様セレナ御姉様!!ご無事でしたか?」
「ユナさんどうか私の側室に」
「そうね。貴女は可愛いし認めるわ」
「いえ、結構です。それに私はガリア帝国とはそもそも」
「‥‥‥‥いやだからのう。ユナ殿は魔王領の‥‥‥」
「アリス御姉様‥‥お父様達が緑の龍に乗って‥‥‥」
「うん。飛んで来たわね‥‥‥ていうか、あの金髪のメイド服の女の子は誰なの?」
少し離れた場所〖ゴールの泉〗
「‥‥‥身体が動かないわ。クソッ!あの魔王‥‥‥覚えていなさい」
ザッ!
「エマ・マテリナルだな‥‥‥ガリア帝国に対する反逆者として捕まえる様にセレナ姫様が要請があった」
「はぁー?何よ、それ?そんな事よりも直ぐ近くに入る魔王の討伐を‥‥‥」
「反逆者の話など誰が聴く?‥‥‥貴様には色々な疑いがかけられているり魔王領との関係の悪化に、ユグドラシル地方への無意味な挑発行為‥‥‥最高軍法会議が開かれるまで〖ライロ大監獄〗での収容する事になるだろうから覚悟しろ」
「な?そんな馬鹿じゃないの?私はガリア帝国が誇る〖六騎士〗の一‥‥‥ガァ?!」
「‥‥‥例外は無い。全てはアテナ地方の秩序の為だ」
〖執行者・┃┳┳┓━┃〗
〖ゴール城周囲の街〗
「ガルルル!!!!どうやら全て、終わった様だ。では、また何処かでお会いしよう!エスフィール嬢っ!」シュンッ!
「へ?私、まだ外界を満喫してないんだけと?買い物はあぁあ?!お婆ちゃんも心配何だけど?」シュンッ!
「んぁ?!もう帰るだへかぁ?!何だよぉ!せっかくマルクスにまた、会えたのによぉ!」
「ハハハ‥‥‥悪態を付けるなら。元気な証拠だな。ジュゼッペ‥‥‥また、会えるとはな、本当に無事で良かった。親友よ」
「んだなぁ‥‥‥マルクス‥‥‥オメェ、〖新・異界〗には行かねんだよな?」
「‥‥‥あぁ、こっちでやる事ができた。済まん。あっちではお前に色々と‥‥‥」
「そういう湿っぽいのは寄せ、オメエらしくねえど!おーい!王!そろそろ帰るべよう」
「いや、待ちなさい。この絵を描いたらもう帰るから‥‥‥」シュンッ!
「‥‥‥先に帰らされたな。じゃあなぁ!マルクス!!また、いつか会うべぇよ!!オメエと過ごした日々はオラの一生もんの宝にする!!長生きしろよ!親友!!」シュンッ!
「‥‥‥あぁ、お前もな。また、会おう。ジュゼッペ‥‥‥」
〖リグ地区〗
「貴女も帰るんですか?エレインさん」
「‥‥‥うーん。その気配が無いの。どうしよう?」
「‥‥‥では、もう少し私と一生に居て下さい。お願いします」
「ギャラハット君‥‥‥ええ、こんな母で良かったら、いつまでも‥‥‥」
〖ガリア帝国上空〗
「急がなくちゃっ!急いであの愛弟子を抑えないと、また、逃げられる!!エヴァンジェリン!!責任取りなよ!」
「えー、私は孫娘の為に来ただけでしょう?‥‥‥何をそんなに怒ってんの?マーリンは」
その時だった、マーリンが持つ、〖孤島〗シリーズの魔道具が光出したのは。
「マーリン‥‥‥貴女の勇姿に見惚れたわ。私、変わるから‥‥‥強くなる」
「アリエル?‥‥‥ゴメン。すっかり居たことを忘れていたよ」
「‥‥‥‥おい。何やってのよ。アンタは」
「ううん。良いの。そんな些細な事‥‥‥私、強くなる‥‥‥強くなるから、貴女みたいに強くて、カッコいい女の子になる。だからまた会いましょう。私の新たな目標の人」シュンッ!
「消えた?」
「‥‥‥うん。消えたね。〖異界〗に‥‥‥」
再び〖ラティニウス〗
〖異界〗から来た人達は消えて行く。首都の瓦礫は消え元通りに、〖白梟と獣達の狩遊場〗内に居た魔獣達は幻想から戻り、蘇生して元の場所に戻って行く。
残った知性ある魔獣達もいつの間に居なくなっていた。
「セクウィ、ブリーシンガメン達、お疲れ様。〖黄金の宝物庫〗はまだ使え無いから〖最果ての孤島に入って居てくれ〗」
「ピュルアアア‥‥‥了解だよー、主」シュンッ!
「ニャー、ニャー」「ニャオーン!!」シュンッ!!
「フゴフゴ!!」シュンッ!
「‥‥‥‥何とかの全て上手くいった。今回はさすがにヤバイと思ったが‥‥‥‥」
俺はそう言いかけて倒れそうになる。
「ふわぁ?!だ、大丈夫ですか~?セツナ様~」
「‥‥‥‥ソフィアさん。〖最果て孤島〗の中に居たのかい?」
「はい‥‥‥‥何のお役にたてなくてごめんなさいです~」
「‥‥‥いや、近くで見守ってくれるだけでも力になってくれていたよ。沢山の幸運をありがとう。知恵の姫、君に感謝を‥‥‥そして、ガリア帝国の為に散ったウェルキン元帥と神代の転移使い〖ロウトル・シグア〗に永久の感謝を‥‥‥本当に感謝します。ありがとう‥‥‥‥」
國終りて、甦生しは勇ある者
終