幻創決戦・〖國終りて、甦生しは勇ある者〗No.33 力と首飾り
過去の転移魔法の使い手は自らの〖命〗を炉にマザーグースの肉体を飛ばした。
ガリア帝国の最強の元帥は自らの〖色〗を炉にマザーグースの命の殆どを狩りつくした。
そして、残ったモノは‥‥‥‥魔女自身の腐りかけの肉体と、腐り落ちた心だけとなった。
‥‥‥‥俺の目の前に現れたのは赤いフードを被った老婆だった。皮膚は赤黒変色し、爛れていた。
「‥‥‥‥フフフフフフフフフ‥‥‥やってくれたねぇ。アンタ達。私の全てを削ぎ落としやがった。私の命も、美しさも、私の男も、全て破壊してくれたね‥‥‥許さないよ。迷いの子供!!」
「真の姿を現したか、〖マザーグース〗‥‥‥あらゆる御伽話の魔女。白き姫が色々と教えてくれなければ、答えに行き着けなかった‥‥‥だが、長かったこの闘いも終りにする。アンタを倒してな」
「フフフフフフフフフ‥‥‥誰がやらせるかい。お前は私のアトスを殺しただけでなく、私まで殺すって?‥‥‥‥調子に載るなよ!!ガキッ!お前、若返っているんだろう?呪いかなんかかい?‥‥‥‥お前は昔の様な絶体的な強さはない。それは確信していたよ‥‥‥‥ガキの姿がその証拠さね。〖黒のドレス〗は奪い返されたが、私にはまだ、大アルカナ〖力〗があるんだよ‥‥‥‥小僧!!」
「そうか。なら、こっちには‥‥」
俺がそう告げかけた瞬間だった。俺の手にあった〖白梟の歪剣〗が光出し、白梟‥‥セクウィへと変わった。
「ホーホー‥‥‥主。ゴメン。もう神煌具化できないや‥‥‥本来の天鳥の姿でなら暴れられるけど」
「セクウィ‥‥‥」
「フフフフフフフフフフフフ‥‥‥なら、こっちは、が何だって?小僧!!武器が鳥に変わっただけじゃないかい?‥‥‥フフフフフフフフフ。馬鹿にしてんのかねぇ?お前は?」
赤の女王‥‥‥いや〖マザーグース〗は面白い可笑しく俺達を笑っている。
「‥‥‥‥そうか。今回は良くやってくれた。セクウィ。ありがとう‥‥‥ならベヒーモスと交代してやってくれ、君が叫べば来てくれるだろう?」
「ホーホー、ボク、頑張ってた?偉い?‥‥‥そうか。主が褒めてくれるなんて思わなかったよー‥‥‥‥嬉しいなぁ‥‥‥それにあのお婆ムカつくね。ベヒーモスを呼んで凝らしめてもらおう‥‥‥‥〖天梟鳥の呼声〗‥‥‥‥ピュルアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「フフフフフフフフフフフフ‥‥なんだい?なんだい?鳥になったと思ったら、急に叫び出すなんて躾がなってないんじゃないかい?小僧。その馬鹿な鳥の躾‥‥」
〖マザーグース〗が再び可笑しく笑い出そうとした瞬間だった。
暗雲蠢くガリア帝国の上空から落ちてくる巨獣が首都・テトクリスに飛来した。
「‥‥‥‥は?」
「‥‥‥‥グルルル‥‥‥‥ゴルアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「七聖―女神―フレイヤ神の秘宝が一つ。〖炎の首飾り〗だ。〖マザーグース〗、それに俺に昔の様な絶対的な強さは無いだって?あるだろう一つだけ‥‥‥アンタから取り返した事により、全盛期を上回る〖魔力〗が‥‥‥‥この力で七つの秘宝〖炎の首飾り〗の真なる力を解放する」
「解放するだって?‥‥‥フフフフフフフフフ‥‥‥そんな事をしても私には勝てないよ。小僧‥‥‥私は〖神々の黄昏〗No.8の上位No.‥‥‥今の姿のお前が勝てるわけがない格上なんだよ!!大アルカナ・起動‥‥‥〖勇気〗を起動‥‥‥喰らいな!!〖赤の暴虐〗」
〖マザーグース〗の腐りかけの右腕が太く肥大化し、俺に襲いかかって来る。
「老婆がマッチョとか、どんな組み合わせだよ‥‥‥‥ベヒーモス!!〖猪凛の蹴大〗」
「ゴルアアアアアアアアアアア!!!!」
ベヒーモスが動き出し瞬間。ガリア帝国の全土が揺れる‥‥‥最早、首都・テトクリスの面影は何処にもない。建物の瓦礫、魔獣達の屍、異界の兵士達の死体が散乱する混沌の戦場と化していた。
「フフフフフフフフフフフフ‥‥‥そんな程度の攻撃。効かないよ!!デカイだけの怪物!!」
「ゴルアアアアアアアアアアア!!!!!!!!」
化物と巨獣が激突し、再び大地を揺らす。
「‥‥‥‥俺も入るのを忘れるなよ。〖マザーグース〗!黑・天雷魔法〖天雷〗」
「がぁアアい?!!小僧!!!お前!!またこんな雷撃を私に浴びせて楽しいのかい?えぇ?こんな老いぼれを苦しめて愉快なのかい?ガキィィ!!」
「そんな事をされる様な事を積み重ねて来たのはお前だろう。〖マザーグース〗‥‥‥全ての悪意の元凶の魔女よ。踏み潰せ。ベヒーモス!!〖断崖の踏潰〗」
「ルアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「ぎがぁあ?この‥‥‥クソ獅子がぁ!!!何しやがる?!!」
「‥‥‥‥〖炎の首飾り〗よ。赤き鎖鎌へと変化せよ」
「ゴルアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」シュンッ!
「がはぁ?‥‥‥ハァ、ハァ、ハァ‥‥‥‥なんだい?化物が消えた?‥‥‥グギィ?‥‥‥なんだい?この赤い鎖は?いつの間に?」
「それは天罰の赤き鎖‥‥‥お前の罪を量る為の天秤の赤き鎖。そして、これから始まるのは〖マザーグース〗。お前の審判だ」
「‥‥‥フフフフフフフフフフフフ。随分と上から物言いだねぇ!そんな事させる分けないだろうに‥‥‥‥お前が私を裁くだって?‥‥‥フフフフフフフフフフフフ。怒りもここまで来たら笑うしかないね。殺してやろう。ガキィィ!!」
「違う。逝くのはアンタさ。〖マザーグース〗‥‥‥御伽話の化物よ‥‥‥」