幻創決戦・〖國終りて、甦生しは勇ある者〗No.31 万雷の喝采を
その化物は幾万もの生命を侮辱し自身の力の糧にしていた。
あらゆる御伽の物語を
あらゆる人物の人生を
あらゆる空間の理を歪め、地球側の管理者達【地聖七星】のキニチ・アハウにより処刑され、その身体は次元の狭間に棄てられた。
だが、御伽話の化物は抗った。抗って、抗って奇跡をお越し、次元を越え。新たな惨劇の物語を産み出し続けた。
〖最果ての孤島〗内
「‥‥‥地球からの廃棄物‥‥‥創造の物語が産んだ化物の名は‥‥‥〖マザー・グース〗。それを今、討伐しましょう。黄の方‥‥‥」
崩壊した特務特区〖ラティニウス〗
「追い詰めろ。セクウィ、〖白の力〗を解放しろ。白梟の歪剣・〖枝分つ歪白爪〗」
(了解だよ~、主)
白梟の歪剣が白銀の色に染まり、氷柱の様な白結晶の精製し、赤の女王へと放つ。
「フフフフフフフフフフフフ‥‥‥本当に意味の分からない不気味な武器ね。それに刺さると私の命が沢山削られるのよぉ!!邪魔よぉ!!赤黒纏装束 ・〖黒の布地〗」
「させん‥‥‥〖白〗は最早、棄てよう‥‥‥ガリア剱術・零〖無の追憶剱〗」
赤の女王が俺の攻撃を防ごうとした瞬間、ウェルキン元帥による強烈な一太刀が振り下ろされた。
「ギャガア?!‥‥‥‥この裏切り者。主人の私に刃向かうなんて‥‥‥ふざけんんじゃないわよ!!ウェルキン!!」
「無理矢理従わせていただけの魔女が何を言っている‥‥‥その身体も誰かから奪い使っているだけだろう」
「 ぐぅ!お前!!そんな事、此処で言うんじゃないわよ!!」
「‥‥‥それを今、剥がしてやる。御伽話の魔女〖マザーグース〗‥‥‥‥〖黒衣装束〗白梟の歪剣〗・〖黒白の歪雪林〗」
セクウィの世界が拡がる。アテナの眷属獣たる白梟の創造する世界が〖具現化〗する。
雪が降り木々に積もる。
静かなる森。
凍り付く川の流れる水の音。
全てがセクウィが想い描く理想郷の中に赤の女王‥‥‥‥いや、〖マザーグース〗は訪れた。
「フフフフフフフフフフフフ‥‥‥‥何よ?此処は何でも雪山の中にいるのよ?」
「これは白銀梟が想い描く自身の世界。そして、アンタはこの中では〖異物〗と認識される‥‥‥‥〖異物〗は排除される。あらゆる手を使われてな。黒衣装束・白〖歪梟の啄み〗」
「「「「「「「ホーホーホーホーホーホーホーホーホーホー!!!!!!!!!!!」」」」」」」
「何?止めろ!何をする?この‥‥‥クソ鳥共!!!」
大量の黒色と白色の梟が顕れ、〖マザーグース〗を啄み始める。
「此処での事象はお前に対してだけは現実に置き換えられる‥‥‥‥全ての痛みも記憶もな。〖黒衣〗雷魔法・〖雪雷の黒梟〗」
「フフフフフフフフフフフフ‥‥‥‥何なの?そのイカれた魔力の塊は?そんなモノ喰らえば私の‥‥‥‥‥」
「〖落雷〗」
黒い雷が梟の形となり、赤の女王〖マザーグース〗へと飛来し、直撃する。
「ギャアアアアアアア!!!!フフフ‥フフフフフフフフフフフフ‥‥‥こんな!!私にこんな攻撃を!!!喰らわせやがって!!!このままでは分離する‥‥‥何もかもがバラバラになる‥‥‥‥」
「それなら何もかも吐き出せ、〖マザーグース〗。お前が奪った全てをな‥‥‥‥白梟の歪剣‥‥‥‥神話・回帰‥‥‥〖白銀梟の天頂〗」
「ピュルアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!」
「化物が‥‥‥‥フフフフフフフフフフフフ」
(君がね‥‥‥‥魔女さん)
セクウィが元の巨大な天鳥の姿へと変わり、赤の女王〖マザーグース〗を、その大きな口先で貫いた。
「ガァア?!‥‥‥‥私の身体が‥‥‥もう持たない‥‥‥分離するうぅぅぅ!!!‥‥‥‥オエェェェ!!!!!」
「 ?!〖マザーグース〗が何か吐き出した?‥‥‥素体にしていた女の子の遺体と‥‥‥‥俺から奪った〖黒衣〗か」
女王が吐き出した黒色の光が俺へと向かって来る。
向かって来て、俺の中へと。元の主人へと帰って来た。
「ガアアァァ?!!!!わだじの身体がぁ!!力ガアアァァ?!!ぞどに逃げだアアアアアアアア!!!フフフフフフフフフフフフ!!!あり得ない!あり得ない!あり得ないいぃぁ!!!」
「‥‥‥‥とりあえず。この場所での目的は果たせた。素体の分離と〖黒衣〗の返還は完了だ。〖マザーグース〗。アリス王女と俺の関係性が戻ったのは戦闘中に感じていたんた。アンタはそれを対価に〖異界〗での闘いのダメージを棄てたんだな?」
「お前?!何でそれを?!そんな事は良い。還せ!!私の力を!!〖黒のドレス〗を還せえぇぇ!!!」
「だから元は俺の力だっつうの‥‥‥まぁ良い。とりあえず喰らってみろよ。〖黒衣〗の二重掛けの天雷魔法をな」
「ニジュウガゲ?何ニヨォゾレ?!」
「〖黑衣装束・天雷〗‥‥‥‥〖黑雷の雪落〗」
どす黒い稲妻が一瞬だけ〖マザーグース〗に走る。
「ナンダ?この弱いコウゲギバ?ゼンゼンギガナ‥‥‥イ‥‥‥‥‥」
その一瞬で〖マザーグース〗は数千回死んだ。
シュンッ!
〖ラティニウス〗
「‥‥‥‥戻ったか。勇者・カミナリ」
シュンッ!
「あぁ、あと少しだ。ウェルキン元帥」
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!?!!!身体の中に雷が焼ける!!私の身体が焼け焦げるうぅ!!!!」
「┣┳┓┣┳┓┣!!!!!(苦しみに喝采を!!!)
「┓┳┗┃━┳┳┓!!!!(魔法大陸の脅威に断罪を!!!)」
「ギャラララ!!!」「ジネェ!ジネェ!ジネェ!」「グロロルル!!!」「滅びろ!滅びろ!滅びろ!滅びろ!イブツはジャマ!!!ジャマ!!!滅びろ!!!」
それは喝采だった。魔獣行軍で集められた、生き残った知性ある魔獣達の喝采。
不快の対象物。外界の〖異物〗が滅びに対する喜びの喝采。
万雷の喝采がガリア帝国・首都テトクリスに響き渡った‥‥‥‥




