幻創決戦・〖國終りて、甦生しは勇ある者〗No.30 怨みの連鎖
数多の魔獣の屍が高く聳える。
無事だったのは知性あるイグニッションの火竜や知能が高い魔獣達のみだった。
「フフフフフフフフフフフフ‥‥‥‥私の命が‥‥‥‥ここまで削られるなんて‥‥‥なんてえぇぇ!!!!」
「化物か?‥‥‥‥あれだけの魔獣の大群の殆どを殺し尽くすなんて思いもしなかったぞ。赤の女王」
「‥‥‥お前‥‥‥お前のせいで、私が長い年月をかけて集めた数万もの私の命が無くなったのよおおぉぉ!!!!あり得ない!あり得ないわぁ!!!」
「そうか‥‥‥ならばそれはじゃないのか?魔女よ」
「フフフフフフフフフ‥‥‥‥お前は私の忠実な騎士、ウェルキン。良い所に来たわ!!さぁ、私に味方しなさい!! 目の前の‥‥‥あのムカつく子供を殺しなさい!!!」
「あぁ、赤の女王。了承した貴殿を殺す。母と父の敵である貴殿を‥‥‥貴殿に怨みを持つ者が続々と来る‥‥‥覚悟しろ。ガリア剱術・斂〖白の伴奏〗」
「ガアアァァ?!!何で主人である私を攻撃するの?私に逆らって、痛い目に合ってきた事を忘れたのか?ウェルキン!!!」
白の鎧を纏った男が現れた。絶体に相対したくはなかったガリア帝国の現元帥であり、〖六騎士〗のウェルキン・ゲトリクス・アルウェルニが突然、現れた。
「‥‥‥ウェルキン元帥が赤の女王に攻撃した?」
シュンッ!
「勇者・カミナリ。私はもう大丈夫だ。この呪いを受けていない正常な状態で会うのは久しぶりとなるな」
〖ウェルキン元帥。アンタ、正気に戻ったのか?精神の中の呪いも無くなってるし〗
「あぁ、全ては彼女のお陰だ‥‥‥だが、私もそれ程長くは此処に居られん。時期に身体は崩壊するだろう」
「‥‥‥‥みたいだな。魔力回路も神気脈導もボロボロだ」
「 だから最後にガリア陛下の為に、ガリア帝国の為に、あの脅威を‥‥‥赤の女王に復讐しよう。無き母と父が浮かばれる様に」
「フフフフフフフフフ‥‥‥裏切りったわね。ウェルキン!!!許さない!!許さないわぁあぁ!!」
「何だか分からないが、ウェルキン元帥が味方になってくれたのなら畳み掛ける‥‥‥〖黒衣外格・黒梟〗」
◇◇◇◇◇
赤の女王との死闘が続く最中、魔王・ユナ・エスフィールは一人、崩壊するゴール城の中を歩いていた。
首都・テトクリス〖ゴール城〗
エマ・マテリナルとの闘いの後、私はゴール城へと向かった、そして、崩壊し始めたゴール城の通路を歩いていた。
「‥‥‥機能性を重視した魔王城とは随分と違う造りじゃな。通路だけでも随分と細かな装飾が施され、緻密に造られておるのう。流石は魔法大陸一の大国‥‥‥ん?」
「父上!!母上!!何処ですか?今、お助けに行きます!!クソッ!瓦礫が邪魔で上手く進めな‥‥うわあぁぁ!!!」
崩壊する城の中を慌てて進むうとする皇族専用の服を纏った者が、天井から落ちてきた瓦礫に押し潰されそうになっていた。
「闇魔法〖闇の雨漏り〗」
「僕もここまでか‥‥‥‥てっ?あれ?生きている?」
「大丈夫か?お主‥‥‥此処はもう崩壊する。さっさと外へと逃げよ」
「‥‥城のメイド‥‥ではない?君が助けてくれたのか?ありがとう‥‥‥」
〖ガリア帝国第一王子クルス〗
「ウム。怪我が無くて良かったのう。ほれ、私の手を掴んでおれ、此処から脱出しようぞ」
「あ、あぁ、ありがとう‥‥‥き、君の名前を教えて頂けるかな?命を救ってもらったお礼をしたい」
「ム?名前か?私はユナじゃあ。よろしくのう。ガリアの王子殿」
「ユナさんか。そうか‥‥‥ユナさん。美しい名前だ‥‥‥そして、美しい顔立ちに綺麗な金髪をお持ちだな」
「そうか?それは嬉しい事を言ってくれるのう‥‥‥ん?」
「お母様。こちらです!早く此処から逃げないと」
「ルルネ、もう間に合わないは‥‥‥ゴール城はもう、持たないわ!見てみなさい。目の前の瓦礫が崩れて‥‥‥」
「お母様!!」
「闇魔法〖闇の屠り〗」
ズズズ‥‥‥‥‥
「‥‥‥生きている?」
〖ガリア帝国后妃レイム〗
「お母様!大丈夫ですか?」
〖ガリア帝国第三王子ルルネ〗
「おぉ、無事で良かったのう。、さぁ、もう大丈夫じゃあ。共に逃げようぞ」
「‥‥‥‥助けてくれてありがとう。(可愛い娘ね)」
「あ、ありがとうございます‥‥‥メイドさん」
「いや、無事ならばなによりじゃあ。良かった。良かっ‥‥‥ん?」
「お、お父様。こちらですわ。まだあちらの道なら逃げられます」
〖ガリア帝国第三王女リシア〗
「リシア。もういいワシを置いてお前だけでも逃げよ。先に避難する様に行った腹心達と合流し、ガリアの再建に務めよ‥‥この城は‥‥このゴール城はもう持たない‥‥‥あと数分で瓦礫の山と化すだろう」
〖ガリア帝国皇帝ガリア〗
「そ、そんな。歴史あるゴール城が‥‥‥お父様!危ない!逃げて下さい!!」
「緑魔法〖種子の籠〗‥‥‥おぉ、やはりまだ逃げて遅れておったのう。ガリア皇帝陛下」
「‥‥‥‥誰?」
「‥‥‥‥ユナ嬢か?‥‥何故、エヴァンジェリン殿の孫娘が此処に何故おる?」
「謎の転移魔法使いに頼まれてのう。自分達の命を最優先に考え逃げた馬鹿な貴族達はこちらで始末する。だからガリア皇族の方々を救ってほしいとのう。こっちじゃ。深緑龍‥‥‥迎えに来てくれ」
私がそう呟くとゴール城の壁が破壊され、外から深緑龍が現れた。
「うわぁ?!大きい緑の龍?!」
「凄い大きい?!」
「父上!母上!ご無事で良かった!!そして、この方こそ、俺の妃に相応しいお方。ユナさんです。どうかこの方を俺の妻に」
「‥‥‥‥良いわよ。私達の命の恩人だし、可愛い娘ですもの‥‥‥ねぇ?貴方」
「いや、ユナ嬢は魔王領の王にして、〖魔法族の里〗のだな‥‥リシア」
「良いわね?!」
「‥‥‥‥検討しよう」
「‥‥‥何やら騒がしいが、深緑龍の背中に乗ってくれ。ゴール城から脱出するのでな」
そうして、私はガリア皇族達と共に崩壊するゴール城から脱出するのだった。