幻創決戦・〖國終りて、甦生しは勇ある者〗No.28 白梟と獣達の狩遊場
ガリア帝国 特務特区〖ラティニウス〗
空には深緑龍が〖魔の者〗を殺す鱗粉を撒く。
首都・テトクリスの建物は瓦礫と化し、首都に住まう人々は忽然と姿を消した。
東西南北の地からテトクリスを目指して、魔獣行軍が沸き起こる。
ガリア帝国‥‥‥‥新スリアの國は滅亡の危機を迎えつつあるのだった。
〖白梟と獣達の狩遊場〗内
テトクリスに着いてから、俺と赤の女王の闘いは一進一退を繰り広げている。狩遊場の中に造り出された幻獣達を操り、勝つ為の準備を整えていた。
「行け‥‥‥幻想の鳥達よ‥‥‥」
「「「「「ヒュルアアアア!!!!」」」」」
「フフフフフフフフフ‥‥‥‥邪魔よ。不愉快!!!」
「幻想獣。追随しろ‥‥‥‥」
「「「「グルルルルルル!!!!!!」」」」
「次から次へと何処から沸いてくるの? フフフフフフフフフ‥‥‥‥邪魔、邪魔、邪魔。私の邪魔をするんじゃないわよ!!」
「無駄だ。この中の鳥や獣達は全て幻想。アンタを捕えておく為の箱庭だ」
「何が箱庭よ。私はこの新たな大国である、スリアの國の女王。私の箱庭はこの旧ガリア帝国の全てなの。だから誰も私に逆らえないのよぉ!!」
「‥‥‥どうやらアンタの味方は居なくなったみたいだな。赤の女王。天雷魔法〖雷雲〗」
「フフフフフフフフフフフフ‥‥‥‥貴方が何を言っているのか分からないわ。私には数えきれない程の新た民が、兵士が居るのに‥‥‥‥嘘つくんじゃないわよ!! 赤黒纏装束 ・〖赤の布地〗」
俺は灰色の雲を展開した。そして、赤の女王に向け強力な雷撃を落とした。
赤の女王は雷撃を朱色の布の様な物を造り出し、俺が放った雷撃を包み込み、消滅させてしまった。
「フフフフフフフフフ‥‥‥‥そんな分かりやすく攻撃、幾らでも防げるわ。迷いの少年。お前がセルビアと言う国で、大アルカナの〖恋人〗を倒したとか聴いていたけど。あの報告はデタラメだったのね」
「‥‥‥‥何でお前がセルビアの事について知っているんだ?」
「気になる?何?気になるの?そう?気になっちゃうのね。あの、出来損ないの怪物について」
「何、自分は違う。みたいな風に言っているんだ?アンタだって、混ざり者なんだろう?白き姫から貰った紙にだって‥‥‥」
ドガンッ!!!
俺が喋っている途中、突然、赤の女王が自身の拳で、地面おもいっきり殴った。
「フフフフフフフフフ‥‥‥それ以上、喋らなくて良いのよ。姉は私よりも優秀で、だから大アルカナNo.6に収まった。私はNo.8だったのに、そして、重要な地とされる〖セルビア〗を姉は任されたのよ。だから少し、ちょっかいをかけてやったのよ。〖魔の者〗達を貸してあげた。でも、姉は私の手助けが無くても、〖妖精國〗を落としかけていた。でも、貴方にそれは阻止され、死んだんでしょう?なら、私が今、この場で貴方を殺せば、私は姉よりも優秀でだって事が証明されるわけよね?なら‥‥‥なら、私の為にアンタ。死んでくれない?」
長い台詞だった。そして、気持ち悪い何かかがそこには居た。感情が昂って今の身体の維持ができなくなったのだろうか?
溶けていた‥‥‥身体が溶け、少女、老婆、魔獣、その他にも色々な形態に常時、変貌し見ていて不快になってくる。そして、どの姿も悲しみと絶望の表情を浮かべていた。
「お前‥‥‥‥いったい、これまで何人犠牲にして取り込んできたんだ?そして、その姿は何なんだ?」
「新人類‥‥‥いえ、新スリア人よ。いずれは旧ガリア帝国の民も私の様に変えて言ってあげる。いいえ、魔法大陸‥‥‥いえ、魔法世界まで私のこの姿が新たな、人類になるの! フフフフフフフフフフフフフフフ。皆が私に、皆が醜い姿になって私は綺麗のままにしてあげる。そう私は赤の女王‥‥‥御伽の國の愛らしい女王なのよ」
「‥‥‥切り刻め、幻獣達よ」
「「「「ルオオオオオオオ!!!!!!!」」」」
俺の命令と同時に、狩遊場の偽りの幻獣達が一斉に赤の女王へと襲いかかる。
「ギャアアア?! フフフフフフフフフフフフ‥‥‥痛いじゃない?私が喋っている途中に何をするのよ?」
「奴の身体に風穴を開けてやれ。幻鳥達」
「「「「ヒュルアアアア!!!!」」」」
「ガアァアアアアア!!!!何なのよもう?!」
「お前との会話には少し疑問があった‥‥‥‥まるで多重人格者と話している様な感覚だな。昔、何かの動画で見た事がある。取り込んだ人達を全部吐き出させてやる。この化物」
「‥‥‥‥誰が化物だ?‥‥‥‥フフフフフフフフフフフフフフフフフフ。化物にこんな美しい攻撃はできる?ねぇ?ねぇ?ねぇ?今、見せてあげるから教えなさいよ。赤黒纏装束‥‥‥‥〖血と憎悪の世界〗‥‥‥‥さぁ、この闘いも本番といきましょう。旧ガリア人の最後の舞踏会の始まり‥‥‥貴方の力の全てもこの私のものになるのよ。フフフフフフフフフ‥‥‥‥フフフフフフフフフフフフ」