幻創決戦・〖國終りて、甦生しは勇ある者〗No.26 最強の思い出
「魔術師が私の顔を全力で殴るか‥‥‥‥面白い」
殴られるなど久しぶりの事だった。そして、私にはここで一つの疑問を抱くことになる。
それは‥‥‥私は今までの人生でいったい誰に殴られた?ということだ。
いや、自分でも何故、そんな可笑しな事を考えているのかと思うよ。
だが、考えてももらいたい。ガリア帝国の全ての軍人の頂点である〖元帥〗が。
この混沌と混乱が続くガリア全土を〖六騎士〗達に命を出し、直ぐにでも沈静化しなければいけない第一席が。
ガリア皇帝陛下の一番の側近として、最後までいなければいけない右手腕が。
人生で一度しかあった事がない老婆に対しての絶対的な服従を誓っている。
可笑しな事だ。私もそう思うが、抗えないのだ。
私の中に半分流れるスリアの血がそう従わせる。
あぁ、何故、こんな状況になってしまったのか、私、自身が驚いているよ。私の人生とは何なんだろうか?私はあの魔女に何をされたのだろう‥‥‥‥
▼▼▼▼▼
《ウェルキン・ゲトリクス・アルウェルニ》幼少期
〖不思議の森の不思議な家〗
「母さん。父さん。見てよ!すごく大きな果物だよ。沢山取れたんだ!」
「まぁ、凄いじゃない!ウェルキン」
「おぉ!それは滅多に取れないミルーツアの実じゃないか!凄いぞ。ウェル」
「えぇ、ウェルキン様は将来大物になりますね。ご夫婦」
そう私は〖禁則地〗とされる〖不思議の森〗で母と父の三人と白い兎の●●●●とで穏やかに暮らしていたんのだ。あの魔女が現れるまでは‥‥‥‥
「イヒヒヒ!!!マザー!彼処の下が〖異界〗の入り口みたいだよ。イヒヒヒ!!!」
「とても小さい家だねぇ!マザー」
「あぁ、良くやったよ。お前達。そして、私は彼処から〖異界〗に入り私は義姉さんを上回る‥‥‥‥」
「‥‥‥‥貴方。あれ、霊王様が言っていた」
「あぁ、私達‥‥‥いや、いつか来るアテナ地方に混乱を与える者達か‥‥‥ウェル。これを持って●●●●と遠くに逃げなさい。●●●●。テトクリスに向かいなさい。後は任せた」
「父さん?何?どうしたんだよ?あの人達は誰?何でそんな怖い顔をしているの?」
「‥‥‥‥えぇ、ご主人方。さぁ、行きましょう、坊っちゃん。テトクリスを経由して、アテナ様の神殿へと行けばまだ勝機は必ずありま‥‥‥」
ザシュン!
「ギャアアア!!!」
「●●●●!!何で?●●●●が攻撃されたの?ねぇ?何で?」
「フフフフフフフフフフフフ‥‥‥ウルサイ兎だからだよ。ウルサイのは嫌いでね。ゴホゴホ‥‥‥そうかい。そうかい。なら不気味猫はこの森に魔力瘴気を撒いて支配しな。そして魔竜は目の前の子供と白兎以外を始末しな。用があるのはその二匹だけだからね」
「ハーイ!マザー!」スゥー‥‥‥
「了解だよ。マザー」スンッ!
「そんな事はさせないわ」スパンッ!
「スリナ?!貴様っ!良くも私の妻をっ!このっ!」ズパンッ!
それが私の母と父の最後だった。巨体な黒い竜の爪と尻尾の一閃で母の首は宙に飛び、父の身体は数個の肉片へと一種で変わったのだ。
「‥‥‥‥母さん?父さん?‥‥‥何で?何が起こって?‥‥‥何で?こんな姿に?‥‥‥‥‥アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
「フフフフフフフフフフフフ‥‥‥素敵な叫び声だ事」
「そうかい?僕は五月蝿くてしょうがないよ。マザー」
「子供には分からないだろうねぇ。さぁ、殺されたくなければ下を開きな白兎‥‥‥拒否すればその混血だろうと容赦なく殺す事になるよ。フフフフフフフフフフフフ‥‥‥」
「では、ウェルキン様だけでもお救いを‥‥‥これ以上の悲劇は‥‥‥‥」
「何を言っているんだい?そいつは一緒に〖異界〗に連れていく。そして、私の側近の騎士としてガリア帝国の最強になってもらうのさ。さぁ、穴を開けな‥‥‥●●●●。これは女王になる私の命令だよ」
「‥‥‥‥すみません。ウェルキン様‥‥‥貴方の命を優先します。何れは誰かがこの魔女を倒してくれる事を信じましょう」
「アアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!暗い?!母さん!父さん!!!」
そして、私は魔女に連れられ、〖異界〗へと堕ち。
▼▼▼
〖ブラックハート〗
「フフフフフフフフフフフフ‥‥‥‥‥私に従い、ガリア帝国の一番になりなさい。貴方には呪いを与えた。それがあるうちは、貴方は私の忠実な騎士なのよ」
「‥‥‥‥はい。エレイン様。必ずややり遂げてみせます」
▼▼
〖ガリア帝国国立学校〗
「ほう。君がガリアの歴史でも最高の才能があると言われた。ウェルキンか?どうだ俺の側近として仕えてみないか?」
「‥‥‥‥はい!光栄でございます。ガリアの王子様」
▼
〖ガリア帝国・ゴール城〗
「ウェルキン・ゲトリクス・アルウェルニを〖元帥〗に命ずる。以降、我が剣となり。我を支えよ!」
「‥‥‥ハッ!全てはガリア帝国とガリア皇帝陛下の為に‥‥‥」
そして、私は魔女に、エレイン様に言われた通り。この魔法大陸でも最大の国の最強の座に登り、ガリア帝国が滅びる時を静かに待ったのだ。
「本来なら魔女が主敵な筈なのに、これ程までに従順に闘い、ガリア皇帝陛下が造り上げた首都を此処まで破壊するとはな」
「ならば抗いなさい。ウェルキン君」
「‥‥‥何?」
「そんな馬鹿な呪いなんてはね除けて、抗えって言ったんだよ。ウェルキン」
「‥‥‥‥魔術師。貴殿は私の心を‥‥‥」
「夢渡りは他人の夢に干渉できる。死に際だったかい?見えずぎていたよ。良いよ。来なさい‥‥‥全力でね。受け止めて破壊してあげよう。君の呪いも過ちも、歪みもね」
「‥‥‥‥笑止。私の心のどこまで見たかは知らないがな。魔術師ごときに負ける私ではないぞ。魔術師‥‥‥‥良いだろう。そろそろ終わらせ先に行く‥‥‥ガリア‥‥‥いや、スリアの國の最強の劒をもって終わらせてやろう。マーリン」
「それはこっちの台詞だね。泣き虫君。君の全部を取っ払って、正気を取り戻させてあげるよ。ウェルキン」