幻創決戦・〖國終りて、甦生しは勇ある者〗No.16 アテナの眷属
「貴方の魔力気配は独特過ぎるんです。ですから近くで転移魔法を使っても、私の反応速度で対応できるんです!ガリア皇剣術〖走刃嵐〗」
「そして、私はセレナの補助して闘えば転移魔法なんて怖くないんだから、幻獣拳〖黒狼〗」
「‥‥‥‥生意気なガリアの血筋。汚れた血筋。呪われた血筋。、ホホホホ、本当に忌まわしい血筋だよ。ガリア皇族は‥‥‥神代魔法(白)〖白蘭の怨み〗」
そうお前達。ガリアはいつも私を‥‥‥俺を苛立たせる奴等だった。
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神代中期〖ガリア帝国・アテナ神殿〗
「は?‥‥‥‥俺が七聖―女神―アテナの、貴女の眷属?たかだか一神官の人にすぎない俺が?」
「そうよ。アンタで決まり。アンタが良いの。誰に対しても平等で、家族を大切にしているアンタに私は〖転移〗の権能を与えたいのよ」
「断る。俺は平凡な神官だぞ。そんな異能の力などいらん。俺は家族の妻のニナと娘のメアと一緒と共に平穏に暮らせればそれだけで良い」
「そんな事を言っても、ガリア帝国の異能の弾圧は日増しに苛烈になってきているわ。貴方は〖シグア〗の血を色濃く受け継いだ子供。そんな事がガリア帝国に知られでもしたら、首都に連れて行かれて、家族共々、魔法実験の対象にされるのよ」
「そんな事は分かっている。だからこうして身分を偽り、アテナ神殿の神官としてひっそりと暮らしているんだ」
「そうね。でも、そんな暮らし、いつまでもできるわけないわ。そのうち、ガリア帝国の暗部が貴方を怪しんで此処に来る。そんな時に私が授ける〖転移〗の権能があれば逃げ切れるのよ。そして、魔力が薄いこのアテナ地方でも安定して転移魔法が使え、その転移を貴方は決して悪用しないと信じられる」
「アンタが信じているのは俺の祖父。初代〖シグア〗だろうが‥‥‥まぁ、良い。そこまで言うなら権能を頂こう。それで家族が守られる力となるのなら、遠慮なく護る為に使わせてもらう」
「そう。それは良かったわ。でも本当にガリアの兵隊には気をつけなさい。最近、ガリア人意外の人族に対して弾圧行動が過激になってきているのよ‥‥‥」
ガリア帝国西の街〖ハンプ〗
「彼処に居たぞっ!ロウトル・シグアだ!希少種〖ナイア〗の血を引く人族だ。ガリア帝国の発展の為、生け捕りにしろ!!」
「「「「「ハッ!!!!!」」」」」
「‥‥‥‥まさか。アテナ神殿の神官として身分を偽り働いてるとは、思いもしませんでしたね。ジル・ガリア王子」
「全くだ。火天の騎士〖アルダイン〗‥‥‥‥希少種の血は一人でも多く集めなくてはならん。誇り高きガリアが魔法を行使する為にもな。そして、だな。アルダイン」
「‥‥‥‥えぇ、混血の実験が実を結べはジル・ガリア王子の皇帝就任は間違いないものになりましょう‥‥‥‥(その就任でどれだけの犠牲が出るとも考えるわけもないだろうがな)」
「ハハハ。そうか、そうか、間違いないないか‥‥‥‥それは良い事だ。優れた皇帝がこの強国ガリア帝国の頂点ではならないよな。そして、俺は他の兄妹共よりも優れた皇帝になる男だよな?」
「‥‥‥‥はっ!その通りかと (馬鹿を言うな。初代皇帝ガリア様は貴様などに皇帝の座に座らせるか、時期、皇帝は穏健で大臣達から信頼厚いあの方に決まっているだろう)」
「あ?どうした?アルダイン。いきなり黙りこくるなんて、どうかしたのか?」
「い、いえ、何でもありません‥‥‥ジル・ガリア王‥‥‥」
「嫌だあぁ!!!お父さん!!助けてえぇぇ!」
「メア!!!クソッ!メアを離せ、貴様等っ!」
「何だ?うるせぇな。何処の家族だ?」
「‥‥‥ロウトル・シグアと‥‥‥の娘ですね。まさかこんな都市の市場に本当に隠れ住んでいたと‥‥‥」
「ロウトル・シグアの娘‥‥‥‥へー、あれが‥‥‥‥五月蝿くて元気なガキだな。腹が立つぜ‥‥‥‥アルダイン。お前の剣少し借りるぜ」
「はい?何故、私の剣など‥‥‥何にお使いに?」
「あん?‥‥‥‥五月蝿いガキを静かにさせんだよ。こんな風になっ!」
「ジル・ガリア王子っ!何をされるのです?」
「‥‥‥ヒクッ‥‥お父さ‥‥」
ドスッ!
「‥‥‥ガァ?痛い‥‥」
「ジル・ガリア王子!!何て事をされるのですっ!」
その時、目の前で行われた光景はあまりにも酷い光景だった。問題児として有名なガリアの王子が、幼き子供の身体を斬り着けたのだ。
あぁ、俺の娘が‥‥‥メアがこのままで殺されてしまう。先程のニナが俺の目の前で殺されてたように。
「ガアアァァ!!!!ガリア皇族!!!」
「おっ!すげえ顔して来やがったぞ。アルダイン。それじゃあ後の事はお前に任せ‥‥‥」
「‥‥‥‥黙れ。馬鹿王子‥‥‥」
「はぁ?お前、今なんて言った?」
「火天の騎士〖アルダイン〗。俺に‥‥‥時期ガリア皇帝たる俺を馬鹿と言ったのか?」
「‥‥‥‥そうだ。ジル・ガリア‥‥‥お前は皇族失格だ。罪も無き幼い子供を斬り着ける皇族がどこに居る」
「‥‥‥‥何、言ってんだ?お前?そのガキは優秀なガリア人じゃない、ただの希少種の血を薄く引いた実験体だ。そんな奴に何をしたって‥‥‥‥ごあぁあ?!」
ドガアアアンン!!!!
「皇族を殴った‥‥‥これで俺も終わりだな。オイッ!ロウトル‥‥‥今すぐ此処から逃げ‥‥‥」
「娘が息をしていないんだ‥‥‥切り傷から血が止まらないっ!!妻の様に死んでしまうっ!!アルダイン!!どうすれば良い?話が違う。お前は俺達。家族を逃がす為に来てくれたんじゃないのか?」
「‥‥‥‥ジル・ガリアがあんな行動に出るとは俺も予想していなかったんだ。済まん‥‥‥ガリア帝国をもう少し西に行けばヘファイストス地方にある神殿がある‥‥‥そこの七聖―女神―の神官達なら治せるかもしれんが‥‥‥彼処に行くには転移迷宮とか言う場所に行かねば‥‥‥」
「ヘファイストス地方の神殿なら娘が治せるのか?なら、今すぐ行こう。アルダイン‥‥‥アテナ様から授かった〖転移〗の権能で‥‥‥転移魔法〖臨画廊〗」
「い、いや、ロウトル。俺の説明をちゃんと聞け!ロウトル!!」
その後の結果は最悪なものだった。
転移した先はヘファイストス地方の神殿でもなく数多の暗き洞窟。
手に抱えていた娘は皇族のジル・ガリア王子から受けた傷が原因で帰らぬ人となり。
友だったアルダインも行方知らずに。
妻も俺の目の前でガリア兵に槍で付き殺された。
「あぁああああ!!!暗い。此処は暗い。このままでは可笑しくなりそうだ‥‥‥可笑しくなる事を紛らわす為にも笑わねば、変な笑い方をしなければ、ホ‥‥ホ‥‥‥ホホ‥‥‥‥ホホホホ!!!!‥‥‥‥それと転移の力が悪用されない為に記しと仕掛けを作って、自分が可笑しくなるのを防がなければ‥‥‥‥そして、正常に俺の心が戻ったら、復讐しなければガリアの皇族に‥‥‥俺の妻を、娘を、友を、奪ったガリアの血筋‥‥‥皇族を一人で残らず根絶やしにしなければ、俺は自分が許せない」
そうして、お‥‥‥‥私は狂い。身体の形を変えていった。そして、月日が流れ、あの方に出会ったのだ。
現代初期・〖ロウトルの転移迷宮〗
「フフフフフフフフフフフフ!!!!!ガリアに復讐したいの?」
「えぇ、皆殺しにし、ガリア皇族の血筋を絶やします」
「フフフフフフフフフ‥‥‥‥良いわ。その言葉。凄く良いわ‥‥‥‥なら、私の為に働きなさい。そうすればガリア帝国に復讐する機会と力をあげるから」
「はい‥‥‥女王様の意のままに‥‥‥」
こうして俺は〖赤の女王〗様に使われるようになったんだ。