幻創決戦・〖國終りて、甦生しは勇ある者〗No.15 《新皇の騎士・セレナ・ガリア・リストリア》
セレナ・ガリア・リストリア幼少期
「フフン!また私の勝ちね。セレナ。それじゃあ、このお菓子は私が貰うわね」
「ズ、ズルいです。アリス御姉様。私、まだ負けてません。御姉様はズルをしていました。そうですよね?ライア御母様」
「うーん‥‥‥ごめんなさい。セレナ、私、貴女達の闘いの最後を見ていなかったから分からないの。まぁ、セレナには別のお菓子をあげるからこれで我慢してね」
「モグモグ‥‥‥そうそう我慢しなさいよ。セレナ」
「うぅー、嫌です。私もアリス御姉様と同じお菓子が食べたいです。御姉様!!」
▽▽▽▽▽
数年後‥‥‥〖ガリア帝国・ゴール城〗
「お、遅れてしまいます‥‥‥‥大切な式典が‥‥‥てっ!キャアッ!」
私、セレナがゴール城の通路の角を曲がろうとした時、黒いフードに身を包んだ魔法使いの方とぶつかってしまいました。
「おっと。これは失礼‥‥‥‥セレナ王女。お怪我はありませんか?」
「へ?あっはい。だ、大丈夫です。‥‥‥‥こ、こちらこそ慌てていてぶつかりそうになり、申し訳ありません‥‥‥‥えっと。貴方は‥‥‥‥」
「それは良かった。俺は〖魔術院〗から来た。カミナリと申します‥‥‥‥お怪我がなさそうで良かった‥‥‥では失礼致します。皇族の方‥‥‥‥」
「あ、あの‥‥‥‥何で私の名前‥‥‥知っているんですか?私、まだ自己紹介もしてませんのに」
「努力の姫君〖セレナ姫〗のご噂は魔術院にも届いてますからね‥‥‥魔法大陸の次世代を担う才ある方々の情報はなるべく調べているんですよ‥‥‥では、これで失礼します」
「‥‥‥‥魔術院のカミナリ様‥‥‥」
‥‥‥とても凛々しいお姿に私の心は撃ち抜かれました。
数時間。
「あれがフレイヤ地方の有名ギルドだった落雷の‥‥‥」
「今年度の〖魔術院〗の首席だそうだが‥‥まだ若僧ではないか‥‥‥」
「あれが新たな勇者ですか‥‥‥‥何ぜ黒いフードを被っている?」
「まぁ、女性の様な顔立ちですね。本当は女の子ではないのですか?」
「ガリア軍部にも姿を現していると聴くが、目的はなんだ‥‥‥‥‥使えそうか?」
皇族関係者が居る。上級貴族も。ガリア軍部の名だたる将校も。現代の〖勇者〗の資格を持つ人物に注目していました。
「勇者・カミナリには我が娘たるガリア帝国第一王女アリスとの婚約の認める」
「‥‥‥‥いや、あの‥‥‥今日はそれを断ろうと‥‥‥」
勇者・カミナリと言う方は困り顔になりながら、御父様(ガリア皇帝)に何か言おうとした瞬間でした。
「ありがとうございます。御父様!謹んで承りました。」
「いや、俺はまだ納得してないんですが?」
カミナリ様の顔が困惑した顔でアリス御姉様を見ていました。
‥‥‥‥‥私の初恋もこのアリス御姉様とカミナリ様の婚約発表会で終わってしまいました。
また、アリス御姉様に私の本当に欲しいモノが、渡ってしまった‥‥‥‥アリス御姉様は昔から簡単に欲しいモノを手に入れます。だから私は努力してきたんです。そして、アリス御姉様が手に入れたモノよりも、良いモノを手に入れたんです。
地位も、力も‥‥‥カミナリ様の新たな婚約者という立場も。
私は純粋な自分の努力で今の自分を確立したんです。アリス御姉様に負けたくない為の努力を‥‥‥‥
〖ガリア・キテリオル〗
「ホホホホ‥‥‥ガリア皇族の血脈‥‥‥憎たらしい血脈‥‥‥殺してやろう。転移・神代魔法(白)〖瞬・殼挫〗」
目の前の卵姿の方‥‥‥アリス御姉様はあの方を卵男爵と呼んでましたね。
そんな卵男爵は一瞬で姿を消し、私の目の前に現れ、黒のステッキ方の仕込み刀の様な物で私に斬りかかってきました。
「ホホホホホホホホ!!!!先ずは一人!!!その鎧ごと真っ二つにしてあげますよぉ!!」
「‥‥‥遅いですね。ガリア皇剣術〖走真刀〗」
私は愛刀〖白百合の剣〗を握り締め、卵男爵の攻撃を受け止め、反撃の攻撃を行いました。数秒間に幾千も剣激‥‥‥〖六騎士〗の中でも、最速の剣を持つ私の剣技が卵男爵のあらゆる部位に切り傷を負わせたのです。
「がああぁぁ?!!何だ?高速の剣舞?!!私の身体が一瞬でボロボロに?!!くそっ!転移魔法〖入替え(シャッフル)〗」シュンッ!
「‥‥‥また一瞬で消えた?まるで神話の神々が使っていたと言われる。転移魔法みたいですね」
「みたいじゃなくて。あの卵男が使ってるのは紛れもない転移魔法よ。セレナ」
「アリス御姉様?何でそんな事が分かるのですか?‥‥‥確か、転移魔法は現代では失われた魔法と軍事学校では習いましたが‥‥‥」
「‥‥‥いや、それは勇‥‥‥(あー、勇者様がじつは転が使えるって、周りに広めないでくれって言ってたんだわ‥‥‥危ない。危ない。思わず言いかけるところだったわ)‥‥‥昔の‥‥‥神話の頃の勇ある者が使ってたって、旅の途中、吟遊詩人に聴いたから知ってるのよ。セレナ」
「旅の途中?‥‥‥あぁ、アリス御姉様はガリア帝国の公務などから眼を反らして旅に出ていたんですね。羨ましい‥‥‥その間、私は御姉様達のですね‥‥‥」
私が行方不明になった御姉様達に代わりガリア帝国の公務をやってきた事をくどくど言おうとした時でした。
「ホホホホホホホホ!!!!皇族同士で仲良く話してんじゃねえよ!!ムカついてくるだろう!神代魔法(白)〖朽嵓〗!!」
卵方の白い塊が私達の頭上へと落ちて来ました。
「上から?!これは間に合いませ‥‥‥」
「いや、あれ位なら私がやるわっ!見てなさいよ。セレナ」
私がその場で呆然と立ち尽くしていると、アリス御姉様が上へと高く飛びました
「見てなさい。〖幻獣の楽園〗で得た修行の成果見せてあげるはセレナッ!幻獣拳〖黒嗎〗」
ピキッ!‥‥‥パリンッ!!
「ホホホホ‥‥‥私の攻撃が破壊されただと?」
「‥‥‥凄い威力。アリス御姉様はいったいどれだけの鍛練を積んで‥‥‥凄いです」
「魔には〖聖〗の力が良く通るわね‥‥‥エリスが言っていた通りだわ。さぁ、覚悟しなさい。卵男爵。粉々にしてあげるわよ」
あぁ、流石はアリス御姉様。私も努力をしてきて強くなりましたが、アリス御姉様もちゃんと努力し、成長なされているのですね‥‥‥‥私はそんな御姉様だからこそ、尊敬し、御姉様よりも優れた色々なモノを欲しくなるんですよ。
アリス御姉様は私の目標であり、絶対に越えたい方なんですもの‥‥‥‥だから、私は貴女を越える為に努力をします。アリス御姉様よりも良いモノが欲しいから‥‥‥
「フフフ、これならいけますね。アリス御姉様。畳み掛けましょう。あの目の前のガリア帝国の驚異を共に退けます」
「‥‥‥何でいきなりやる気になったのか分かんないけど。良いわ。さっさとコイツをやっつけて勇者様達と合流したいしね。やってやるわよっ!」
「‥‥‥ホホホホホホホホ‥‥‥五月蝿いガリア皇族だ‥‥‥本当に五月蝿い。罪深きガリア皇族‥‥‥お前達は許さない。俺の家族にした事を消して許さない‥‥‥絶対になぁ!!!」