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幻創決戦・〖國終りて、甦生しは勇ある者〗No.13 アルケル・サイロー


数週間前の〖黄金の宝物庫〗内


「おしおし、傷は完全に癒えてる。癒えてる。良かったね。アルケル‥‥‥‥もう此処から出てって良いよ。さようなら」


「ま、待って頂きたい。ガブリエル殿。お、俺は現在、外に居るアダマス王に殺されかけたんです。彼はガリア帝国やガリア軍人を心底怨んでいます。そんな人物とあったらどうなると思います?」


「ん~?半殺し位にはされるんじゃないの?アルケルの両腕もなんの躊躇なく切ってたしねえ。まぁ、君は主君のご友人だし。君が襲われても主君が止めには入るだろうけど‥‥‥‥また怪我をされて此処に戻って来られてもこ困るしなぁ」


「そうです。そうです。ですからまだ此処に居させてほしいのです。そして、願わくば俺に天使族の闘い方を教えて頂きたい。放心状態になり、貴女の言うことを聞かず暴れ始めた俺を沈めたあの力をお教え頂けないだろうか?ガブリエル殿」


「天使族の闘い方~?‥‥‥‥つ、つうか。顔、近いわ‥‥‥‥は、放せ。バカ野郎」


「おぉ、すみません。ガブリエル殿。つい興奮してしまって‥‥‥‥」


「こ、興奮?!何を言ってんだ君はバカなのかい?‥‥‥‥たくっ!恥ずかしいこと言いやがってさぁ。本当に全く‥‥‥まぁ、いいや暇だしね‥‥‥」


「ほ、本当ですか?ガブリエル殿。感謝しますっ!」


「わわわ、だから顔が近いんだよ。このバカイケメンはあぁぁ!!‥‥‥‥もう‥‥‥‥とは言っても。今のガリア人は〖死の大地〗のあの方の呪いで魔力が上手く使えないんだよなぁ。あー、ちょっと待ってろい。調べるからさぁ。う~んと確か主君の書斎に記録があった筈。〖○○○〗」ズズズ‥‥‥ポンッ!


「〖死の大地〗のあの方?それはガリア帝国に何か‥‥‥その本には何か書いてあるのですか?ガブリエル殿」


「‥‥‥‥あー、内緒。内緒と後はサイロー家の記録はと‥‥‥‥成る程。別に魔力が無くなったわけじゃなくて、魔力回路の中に〖魔力〗は普通にあって、それが肉体強化に使われているだけなんだぁ。だから、魔武器を通してなら五属性の魔法や他の魔法も使えると‥‥‥フムフム。そして、サイロー家は〖神殺しの力〗が自然と流れる優秀な肉体を持つとされるねぇ‥‥‥うわぁ、アルケル。君、あれ持ってるの?嫌な奴に~、ボク達〖天界〗人の天敵じゃんよぉー(七天語)」


「いや、何語ですか?ガブリエル殿。何を言われているのか分かりません」


「面倒な奴~てっ言っただけだよ‥‥‥‥まぁ、君は主君に心酔しているし危害は与えて来なそうだから良いかな。〖神殺しの力〗が自然流れるなら‥‥‥‥あのガラクタ置き場からあれを持ってきて。少し待ってて、アルケル。直ぐに戻って来るからさぁ」


「は、はい。ガブリエル殿‥‥‥‥ガラクタ置き場とは?」



数分後。


「あー、あった。あったよ。じゃあ、このガラク‥‥‥‥魔武器にボクの〖緑〗の魔力を付与させて‥‥‥おしおし、上手くいったね。ほれ、アルケル。これを握って先ずは魔力回路と魔武器を馴染ませて、それから神殺し‥‥‥ゲフンゲフン。君が持つ才能をその剣だけに纏わせて、自由に使える様に特訓するよ。後は‥‥‥ボクの一刀の技を一つ教えてあげるかな。時間があればね(七天語)」


「いや‥‥‥ガブリエル殿。何を言っているか分かりません」


「少し鍛えてあげるって言ったんだよ。ほれ先ずは魔武器にその微弱な魔力を纏わせ‥‥‥うわぁ、君、緑魔法の適正があるのか?珍しいね。アルケル」



▽▽▽▽▽


〖ブルーグラス〗曇天の中、雨が降る。悲しき魔の者達の最後を憂いて雨が降る‥‥‥‥


「ガリア剣術・天〖緑絶〗」


「イヒヒヒヒ!!!!そんな攻撃、この身体には通じないよう。ガリア妖剣術〖幻影の妖狂精〗」


無数の〖異界〗の屍達が再びアルケルの元へと群がろうとしたが、全ての屍はアルケルが放った〖色〗が乗った〖神殺しの力〗により、一撃で絶命をする。


「ギヒヒヒヒ?!何だ?何でこんなにボクチンの攻撃が簡単に防がれる?!!」


「これが攻撃だと?‥‥‥‥貴様のやっている事はただの共に戦った〖異界〗の仲間達への裏切り行為だ。戦死し者を弄ぶ様な技など俺がこの一刀をもって消し去ろう」


「イヒヒ‥‥‥‥何だ?その上から目線の発言は‥‥‥たかだか永遠の二番手の分際で‥‥‥ボクチンに説教か?アルケル?!!!‥‥‥‥がぁ?!お、おい!僕チンを内側から追い出そうとするなっ!や、ヤメロオオオ!!!‥‥‥‥(黙れ。返してもらうぞ。その身体)」


「‥‥‥‥ガラハントが不気味猫に抵抗しているのか?‥‥‥‥しかし永遠の二番手とは‥‥‥痛い事を言うものだな。この目の前に見えるガリア軍事学校でも‥‥‥」


▽▽▽▽▽


〖ガリア軍事学校・卒業式〗


(今年度の首席合格はランスロット・ガラハント。そして、次席はアルケル・サイローだ)


(凄い。またあのお二人よ)


(ランスロット家とサイロー家ですもの。当たり前よ‥‥‥そして、一位と二位ももう当たり前になってきたわね)



〖ガリア国境付近〗


(アルケル・サイローがミル反乱軍を鎮圧したらしいぞ)


(おぉ、ランスロットもフレイヤ地方で武功を上げたぞ‥‥‥そして、今回もランスロットの方は武功が上か)


(‥‥‥‥流石、永遠の二番手アルケルさんか‥‥‥‥つうか、何でアルケル・サイローはランスロットに勝てないんだ?)


ああ、また、俺は二番手と笑われている。



〖ガリア帝国ゴール城〗


(では、〖勇者〗・カミナリの〖剣〗従者はガリア軍事学校・主席のランスロット・○○○○○とする。以後、魔王討伐の旅での活躍、期待している)


(待って下さい!ガリア皇帝陛下!!確かに知略や魔法技術はランスロット殿が上です!ですが剣技では私の方が数段上の筈では?)


(アルケルか‥‥‥‥)


ガキンンンッ!


(勝負あり!勝者、ランスロット!!)


また、勝てなかった。勇者殿の従者を決める闘いでも勝てなかった。



〖副首都・ブルーグラス〗


(ガリア帝国南部のガリア帝国軍。軍団長をランスロット・ガラハント。副軍団長をアルケル・サイローと定める。ガリア南部の秩序は貴殿等の働きにかかっている。精進する様に)


((はっ!!ミステル王子様!!))


此処でも二番手だった。ランスロットが軍団長で、俺が副軍団長だった‥‥‥‥結果はいつも同じだった。


それが当たり前で俺の心の中を蝕んでいた。だがつい最近、その考え方も変わる出来事が幾つも起きた。


絶対的な強者(アダマス)との死闘。


無慈悲な(アプス)の力。


別次元の能力を持つ勇者(カミナリ)殿の力。


圧倒的な天界の(ガブリエル)の指導。


これらを喰らい、そして、あの〖黄金の宝物庫〗で魅せられた俺は今までの自身の狭い価値観や世界が馬鹿らしくなったんだ。


▽▽▽▽▽


「二番手でも良いさ‥‥‥‥それで全体が良くなればな。俺はあの方の旅を間近で見て全ての考え方が変わったんだ。ランスロット・ガラハント。俺、個人の事よりも、今はこのガリア帝国の‥‥‥‥いや、この魔法世界(アリーナ)の今後について考える様になったんだ。そして、この世界の害となる貴様は此処で終わらせる‥‥‥覚悟せよ」


「ギヒヒヒヒ?!!!!何?何だって?アルゲルLU LU LU?!!今はそんな事よりも僕チンと中のコイツとのタダガイガアア!!!」


「ガリア剣術極・〖真気・滅殲〗」


建国の騎士〖ブランシス〗や神代の騎士〖マルクス・サイロー〗から脈々と受け継がれてきサイロー家の純粋な〖神殺しの力〗がスリアが産んだ呪いの猫〖チーシャ〗に殲滅の一撃を与える。


ドシャッ‥‥‥シュン!!!!


「がはぁ?!こ、此処は?!私は何をしていた?」ドサッ!


「ギヒヒヒヒ?!イヒヒヒヒ!!!!アアァァァ!!!!何だ?この力は引き剥がされた?!な、何で?何で?何で?何で?も、もう一度中身に入らなければ!!!」


小さき黒い(むし)の様な生き物がランスロットの鎧から這い出来た。


「それが貴様の本当の姿が不気味猫よ‥‥‥アスクレナル、そして、お久しぶりです。アインズ殿。どうか止めの一撃をっ!」


醜い姿の(むし)が現れたと同時に、合流するは一人の騎士と巨大な猫。


「ニュラララアァァ!!!良くわかんニャイガ。了解ニャア!!〖風牙〗!!!アホセニャル!!!合わせロニャア!!!」


「はい。我が妻っ!!ガリア機術〖洸光(ルグスラ)〗」


「「〖風洸撃〗」」



パキンッ!!

「ギヒヒヒヒ?!イヒヒヒヒ!!!!!‥‥‥‥こんな‥‥‥こんな終わり方があって良いわけがない‥‥‥僕チンは‥‥まだまだ。人を騙して‥‥不幸にするんだ‥‥‥アアァァァアアァァァアアァァァアアァァァアアァァァ消える完全にっ!此処から、全ての場所から消される!!!!アアァァァアアァァァ!!!!嫌だっ!!ヤメロオオオ!!!理共!!!!」ブチンッ!


(むし)は最後、断末魔を上げながら苦し逝った。何処でもない何も無い。無へと虚しく死んだ‥‥‥‥


「終わったか。ガラハントは‥‥‥寝ているか。良かっ‥‥‥たぁ?!!!」


「ニャアアアァァァ!!!状況は良くわかんニャアが全員、わっちの背中に乗れニャアアアァァァ!!!次の目的地は中央ニャゾオオ!!!」


「セシリア様。なんと美しい姿?!!」


「よしよし、二人は拾ったニャア‥‥‥今で寝てるニャア!!!ロリスロット!!!さっさと皆が集まる中央に行くニャゾオオ!!」


「ガバ?!‥‥‥何だこの巨大猫はあぁぁ?!!」


「ヨッシャ!!!行くニャア!!!ゴール城!!!」


「凄い、屈強そうな三人の騎士をこんな簡単に沈めて背中に乗せたぞ。グレーテ」


「えぇ、兄様。この猫様。とてもお強いです‥‥‥頼もしい」


〖ブルーグラス〗を脅かす。〖赤の女王〗軍は今後、ガリア帝国軍によって殲滅される事になる。そして、それに貢献した戦死達は次の戦場となるゴール城を目指して、移動を始めるのだった。

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