幻創決戦・〖國終りて、甦生しは勇ある者〗No.10 アスクレナルの集中
数年前〖首都テトリクス・ガリア軍部科学班の室長〗
「失礼するぞ。アスクレナル‥‥‥‥ゴリラ聖女に殴られた顔、大丈夫か?済まんな。うちのパーティーの奴が、怪我をさせてしまってな」
「‥‥‥‥何ですかな?勇者・カミナリ殿。失恋した。私を笑いに来たのですかな?‥‥‥‥貴方は悪魔族ですか?」
「いや、悪魔族じゃねえよ‥‥‥‥てっ!すげぇ腫れてるじゃん‥‥‥待ってろ。今、薬をぶっかけて治してやるからな」
「お待ちを何ですか?その虹色のポーションは‥‥‥‥てっ!止めなさい!!此処は軍部科学班の建物の中です!!や、止め、止めろおおぉぉ!!!」
「五月蝿い奴だな。大丈夫だ。痛いのは最初だけでジワジワと頭が可笑しくなっていくだけだからな。そして、最後には完璧に治る俺、特製のポーションだぞ。アスクレナル」
数分後‥‥‥‥。
「‥‥‥わ、私の顔が治っている?」
「‥‥‥マジか。ちゃんと効くんだな。この失敗作のポーション‥‥‥」
「お待ちをっ!貴殿は今、何と言ったのです?!」
「‥‥‥‥治って良かったな。アスクレナル!てっ!言ったんだ」
「絶体、嘘ですな」
「いやー、本当、本当。あー、やっぱり。アスクレナルをからかうのは楽しいな‥‥‥なぁ、前にも言ったけど。一緒に魔王領に行かないか?〖六騎士〗の仕事はランスロットみたいに臨時の誰かに頼んでさぁ」
「御断りさせて頂きます。副室長のリスナルではまだ荷が重すぎます。それに私にしか務まらない仕事も多々ありますのでね‥‥‥‥」
「相変わらず。お堅い奴だな‥‥‥‥まぁ、仕事に熱心で真面目で良識があるお前だから、俺は慣れ慣れしくできるんだけどな。友よ」
「‥‥‥‥褒めて頂いたとしておきます。私の顔を治してくれたのにはとても感謝しますが‥‥‥‥それで?世間話と私を使った実験に来たわけではないのでしょう?本当の要件は何なのです?」
「ん?あぁ‥‥‥‥アルウェルニとマテリナルには気を付けろ」
「元帥と銃騎隊長を?‥‥‥何故です?あの二人は私と同じ〖六騎士〗です。ガリア帝国でも最高戦力と言われる‥‥‥」
「‥‥‥‥外側じゃなくて、中身だよ‥‥‥‥それと昔から頼まれてた自動魔道具理論の書類と魔武器の複製法を纏めた資料は‥‥‥アスクレナルだけ持ってる様にしろ。良いか。他の奴等にこの二つの機密情報を持ってる事を悟られるなよ。消されるからな、開示していくにしても一気に発表するな、小出しで出せ‥‥‥‥良いな」
「‥‥‥何ですかその脅しは‥‥‥まぁ、貴方はガリア帝国の色々な闇を垣間見てきたのでしょう。分かりました。これは私だけが見れる様に保管しておきますよ‥‥‥‥こんな貴重な情報をただで寄越すなんて良いんですか?」
「お前がずっと、俺に魔力自動化のやり方と魔武器の複製法を教えろ。教えろ。五月蝿かったから用意してやったんだろうっ!まぁ、それも俺の知識でもない別世界の知識だから、どうでも良いんだけどな」
「は、はぁー、では、ありがたく頂いておきますよ。友・カミナリ殿‥‥‥」
「‥‥‥‥アスクレナル。お前、やっぱり良い奴だよな‥‥‥冷たそうに見えて世話好き出し」
「はぁ?何を言っているのです。私は他の方の事など考えるわけが‥‥‥‥」
「そんな。良識があり、ゴリラ聖女にフラれたお前に朗報だ。何とお前の為に新しい出会いを用意した‥‥‥‥後、少しで現れるぞ‥‥‥」
「はい?さっきから何を変な冗談を言って‥‥‥‥」
ドガアアアアンン!!!
科学班の室長室の扉が勢い良く破壊され、そこに現れたのは私の未来の妻でした。
「ニャアア!!セツニャ!!!ウニャイお菓子が此処にあるって本当なのかニャアア?!!」キャルン!!!!
「同じパーティーメンバーのセシリア・アインズだ。どうだ?お前と相性良さそうだから紹介しようと思って、旨いお菓子があるぞっ!てっ言って誘い出した」
「ニャア、ニャア、ウニャイお菓子はどこなのニャア?!セツニャ!」
「な、何と、愛らしい猫族の方だ‥‥‥‥アインズ様。懇談会では何度かお会いしておりましたが、お話するのはこれが始めてになりますね‥‥‥私はアスクレナルとも申します。お茶菓子等は、科学班の者達に勝手に食べられない様にあちらに隠してあります‥‥‥ですので少しばかり私とお話をして頂きたく」
「ニャア?アスクニャル、ニャア?‥‥‥変なニャマエだニャア。オニャエ。これから宜しくニャア。後、お菓子寄越すのニャア!!」
▽▽▽▽▽
「‥‥‥それが私の将来の妻となるセシリア・アインズ様との最初の会話であり、運命の出会いだったのです」
「ブルルル!!!!何の話だ?意味が分からん。それよりも貴様っ!俺様との闘いにそろそろ集中したらどう‥‥‥」
〖魔白馬・モノケロス〗
アスクレナルはセシリア・アインズに対する事を他者に話す事によって、全ての五感を研ぎ澄ます事ができる。それが彼の本気の闘いを行い、本気で敵対者を殲滅にかかるトリガーである。
「ガリア機術‥‥‥〖魔洸具箱〗」
「‥‥‥‥何だ?その奇怪な形の武器は‥‥‥‥可笑しな事が始める前に沈める‥‥‥神代魔法(白)〖白馬の角突き〗」
「遅いですな。言語を七幻語から七聖語に変換‥‥‥セット‥‥‥‥〖洸火〗」
洸火の火がモノケロスの攻撃をいとも容易く、燃やし尽くす。
「‥‥‥‥俺様の神代魔法が‥‥‥燃えただと?!あり得ん‥‥‥あり得んぞおおぉ!!俺様は〖異界〗の特種種族・誇り高き魔白馬種だぞっ!ガリア人ごときの攻撃で無力化されるかっ!!神代魔法(白)〖幻白の踏怒〗」
「‥‥‥‥とある友人の一人は私をお人好し、優しすぎる、良識人等と言ってからかって来るのてすがね‥‥‥‥これでも敵対者には一切容赦がありません。そして、私はこの大陸一のガリア帝国でも一握りしかなれない〖六騎士〗が一人。知世の騎士アスクレナル。貴殿方の様な侵略者に負けるわけにはいかないのですよ‥‥‥‥終わらせます。ガリア機術・極〖洸雷〗」
アスクレナルが手に持つ〖魔洸具箱〗から雷を帯びた小さな光の玉が現れ、モノケロスの方へと向かって行く。
「ブルルル!!!!何だ?その弱々しい小さい光の攻撃は?闘いをなめているのか?片目の騎士っ!!!良いだろう。このままこの光ごとお前の頭を踏みつけて‥‥‥」
ズズズ‥‥‥‥‥。
「‥‥‥触れましたな。では去らばです‥‥‥散りなさい〖洸雷爆破〗」
「これは‥‥‥光の玉の中から‥‥‥高密度の‥‥‥‥魔力残滓が溢れ‥‥‥俺様が壊される‥‥‥‥ガアアァァァ!!!赤の女王様!!!!!約束が違うじゃねえか!!アアアァァ!!!‥‥‥‥」ドサッ!
モノケロスは叫びながら、白き身体から灰へと姿を変えて地上から消滅した。
「‥‥‥‥何とか勝てましたが、不思議ですね。〖異界〗ではあれ程強かった。魔白馬の攻撃が弱わかった‥‥‥‥まさか〖異界〗の存在が外界に来ると力が弱まっていくのでしょうか?‥‥‥‥いや、それよりも今は私の未来の妻を助けに行かなければ。待っていて下さい。セシリア様。貴女のアスクレナルが今、馳せ参じますので‥‥‥」
アスクレナルはそう言うとセシリア・アインズが居る〖ブルーグラス〗のシンボル〖ガリア軍事館〗へと向かい始めた。