幻創決戦・〖國終りて、甦生しは勇ある者〗No.5 我輩は神豹なり
「役立たずの〖妖精屍〗共があぁぁ!!何の為にお前達を焼いて屍を〖不死議の國〗持って帰って来てやったと思っている?!僕の手足となってこき使われる為だろうが!!役立たずの屍共。トランプ兵やせっかく身体を乗っ取らせた新スリア人共もだっ!起きろっ!起きやがれ!起きて僕の手足となって戦え!!!クズ共!!!!」
「ガルルル!!!!聞くに耐えん。罵声なり。アテナ地方〖ガリア〗を汚した罪、受けよ。〖異界〗での臨界突破には一定の条件が入るのだ。まず一つは身体を神代魔法から回帰させ、神話魔法に慣らさせる。テレシアでは〖大龍脈〗があった故、神代魔法のまま〖臨界突破〗が使えたが此処は魔力薄きガリア帝国。二つ目の条件は〖異界〗から〖外界〗での魔力残滓の変化の適応。それが今、全て完了した‥‥‥‥〖神豹臨界・神話突破〗」
神話の神猫・ケット・シーが‥‥‥‥いや、○○の神豹レオパードが金色に輝く。
神豹・レオパードの〖神秘〗〖魔力〗の力が強く結び付き発露する。今、真の神話の力が此処、現代に回帰する。
「‥‥‥‥何だその姿は?お前のそんな姿〖不思議の国〗の奴等を拷問した時、一度も聴いていないぞ?お前は何なんだ?」
「ガルルル!!!!貴殿を屠る者。それだ覚えて消えるが良い。神話魔法(豹)〖裁きの豹狩〗」
神速。まさに神速だった。魔竜との距離を一瞬で零にし、レオパードの金色の剣筋が魔竜の左翼を無慈悲に切り裂く。
「‥‥‥‥‥ガアアァァ?!!!あああああああああああ!!!!!!僕の左翼がぁあああ?!!クソ猫!!!!魔竜闘技〖邪竜嘔吐〗」
「ガルルル!!!!その程度の〖魔〗受け付けぬわ!!!神話魔法(豹)〖金色たる豹剱〗」
レオパードは右手に持つレイピアを魔竜が放った技へと切り付ける。
切り付ける。〖邪竜嘔吐〗が霧散する。
切り付ける。魔竜の腹部が切り裂かれる。
切り付ける。魔竜の胴体、尻尾が引きちぎれる。
切り付ける。魔竜の巨体が黄金輝きと共に消滅していく。
「こんな‥‥‥‥力があってたまるか。こんな無慈悲な力。圧倒的な個の力。ふ‥‥‥ける‥‥ふざける‥‥ふざけるふざけるふざけるふざけるふざけるふざけるふざける。聞いていない。お前にこれ程の力があるなんて聞いていない!!〖魔女(M)〗からも、〖赤の女王(G)〗からも、〖妖精屍体〗からも、お前の事など聴いていない!!!卑怯者がっ!クソ猫。卑怯者がっ!卑怯者がっ!卑怯者がっ!お前ら全て、卑怯者だっ!僕の自由な未来を奪うな。僕は外界で今度こそ‥‥‥‥」
「ガルルル!!!!語りは終わりか?嘘付き者‥‥‥‥貴殿が起こした魔法大陸に対しての破壊行為を忘れ何を言うか‥‥‥‥終わりにする。邪竜災害・ジャヴァウォック‥‥‥‥去らばっ!!」
「‥‥‥‥‥お、お、お前等はいつもそうだっ!!自由に生きたい僕をいつも邪魔をするっ!〖異界〗に閉じ込めたアテナもそう。お前等は卑怯者で卑劣なアリーナの‥‥‥」
「〖七聖の豹裁〗」
スパンッ!!!
魔竜の頭部が都市〖レッド・グラン〗の宙に舞い‥‥‥‥そして、金色に輝き粒子となって消滅した。
「‥‥‥‥‥それ以上、この世界に対しての 暴言は許さぬ。そして、貴殿の魂は〖天界〗〖冥界〗等に行かせぬ。我輩の一刀をもって消滅で終わらせた‥‥‥といっても、もう存在しておらぬか。魔竜」
「す、凄い。ケット・シーちゃんがあの魔竜をあんなに一方的に倒しちゃうなんて‥‥‥‥」
「ガルルル!!!!メイジー殿も助力感謝する‥‥‥これからは掃討戦に入る。〖異界〗から来た者達を片付けよう」
「了解~!!全部終わったら。ユナさんに外界を案内してもらわなくちゃーっ!」
私はケット・シー殿とメイジーから少し離れた場所で神豹・レオパードの闘いを思い返していた。
「‥‥‥‥あれが〖臨界突破〗者の力‥‥‥‥己の限界を突破した者。魔法世界から認められし者の力なのじゃ」
「へー、なら、その〖臨界突破〗の事、詳しく教えなさいよ。魔王領の〖魔王〗様」
「は?‥‥‥‥‥いつの間に私達の後ろに?誰じゃ貴様は?」
「ガリア帝国〖六騎士〗が〖第三席《優麗の騎士・エマ・マテリナル》〗よ。宜しくね。アナタの顔は覚えてるわ。昔、魔王領に大使として行った時にチラッと見たもの‥‥‥‥へー、綺麗な美少女に育ったわね。魔王領の魔王様は」
「〖六騎士〗じゃと?ガリア帝国最高戦力の六人の内の一人が貴様じゃと?‥‥‥‥しかしケット・シー殿いわく、ガリア人は皆、〖魔の者〗に身体を乗っ取られている筈ではないのか?」
「質の違いね。同じガリア人でも地域個体さや身体に帯びられる魔力の量が極端に低いと〖魔〗に対しても耐性を得るのよ。この私の様にね。しかし、ガリア帝国の宿敵たる魔王領の魔王様が単身でこんな所にウロウロと‥‥‥‥貴女、行方不明じゃなかったかしら?」
「だから。何じゃ?今はそんな事を言っている場合ではなかろう。目の前の〖異界〗から来た敵を倒し、ガリア人達を救わねばならん」
「‥‥‥‥‥現代の〖魔王〗は民を思い最良なる魔王と良く聴くけど。まさか長年の宿敵たるガリア帝国の国民を救わねばならん。なんて言うなんて思わなかったわ‥‥‥‥うん。貴女、良いね。凄く良いわ」
「何じゃ?私をジロジロ見て、今は貴様と争っている暇など無いのだ」
「いやいや、私は大ありよ。何せ、アンタを倒せば〖六騎士〗の第一席になるのも夢じゃないもの。それにアンタが生きていたって事は〖勇者〗君も本当は生きてるでしょう?‥‥‥‥教えなさいよ。アンタが知っている色んな事。この騒動が終わった後、私が新たなガリア帝国の頂点に立つ為の情報を」
「戯れ言を申すな。下郎‥‥‥‥貴様程度でこの私に勝てると思うなよ。それに今、此処には貴様よりも確実に勝るものが一‥‥‥‥」
「ガルルル!!!!その通りだっ!エスフィール殿!!〖豹狩の捕縛〗」
「チッ!〖幻月〗」
「ガルルル!!!!?すり抜けただと?!」
「‥‥‥‥いきなり何よ、もう。今は魔王様と情報交換してるんだから。邪魔しないでほしいのだけど?‥‥‥‥場所を変えましょうか。魔王様。〖歩月〗」シュンッ!
「なっ?!これはセツナの転移魔法?!」シュンッ!
「‥‥‥‥ユナさんが女の騎士の人と一緒に消えちゃった?」
「ガルルル!!!!‥‥‥‥油断してしまった‥‥‥‥が我輩の眷属も共に向かわせた。〖赤の女王〗の力により。エスフィール殿はガリア帝国内の何処かにしか行けぬ筈、それにあれは弱い転移だった。恐らくはそう遠くない場所にしか転移できないとみた。それにエスフィール殿はとても強い。暫くは持ち堪えよう‥‥‥‥なので今はこの場の制圧を優先し、制圧後、直ぐにエスフィール殿の捜索隊を組むとしよ‥‥‥」
バシンッ!
その時だった。朱色の鞭を操る。ルディール・ヴァイオールが現れたのは‥‥‥‥
「何を言ってんだいっ!こんな残党は私達に任せて、アンタとメイジーはガリアの中央に行っておいで!ケット・シー、アンタならあの娘のだいたいの居場所は分かるだろうに」
「ガルルル!!!!ルディ殿‥‥‥しかし、これ程の数の異界の兵士の相手は‥‥‥‥」
「魔竜が居なくなって。兵の質はこっちが上になったさねぇ‥‥‥メイジー、良いね。あの〖魔王〗ちゃんを助けてやりな!ホラッ!ケット・シーもさっさと行くんだよ」
「グゥゥ!!飼い主には逆らえぬ。了解した。我輩達はエスフィール殿を捜索しに向かおう」
「わ、分かった。お婆ちゃん。ケット・シーちゃん‥‥‥‥それにユナさんは私の初めての友達だし。助けてあげなきゃね。行ってきます。お婆ちゃん」
「あぁ‥‥‥‥そうだよ。友達はちゃんと大事にしたやりな。それに孫娘に私の闇の部分を見せたくないしねぇ‥‥‥‥さぁ、ここからが本当の戦いだよ‥‥‥今までの同胞立ちの怨み晴らさせてもらうよ。魔竜の兵隊共!!!!」
‥‥‥‥こうして魔竜は神豹の裁きにより消滅した。そして、ガリア帝国の宿敵たる現〖魔王〗ユナ・エスフィールは〖六騎士〗エマ・マテリナルと共に渾沌と混乱広がるガリア帝国の首都テトリクスへと飛ばされたのだった。