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終幕・終れ終りて交ざり合い破れり No.3 初代ガリア騎士


魔法世界(アリーナ)アテナ地方・不思議の森付近』


「白劍の騎士・ウェルキン・ゲトリクス・アルウェルニ様。ほ、本当に禁則地〖不思議の森〗付近で待機なのでしょうか?」


「‥‥‥‥あぁ、問題ない」


「ウェルキン様。な、何故、貴方程の方がこんなガリア帝国の辺境に?ちゅ、中央はガ、ガリア帝国の首都テトリクスの守りはいったい何方が務めているのでしょうか?ガリア皇帝陛下は無事なのですか?」


「スリア領のハルバダジ辺境伯か。皇帝陛下の許可は取ってある。今後は私が〖不思議の国〗の遠征軍、全軍の指揮を取る。貴殿は今後、私の副将として側に入るように‥‥‥‥そして、時を待つとする」


「い、いえ。恐れながら申しあげます。ウェルキン様程の方がこのような危険な〖禁則地〗に来れられるとガリア帝国全体として不味いのです。貴方はガリア帝国最強の騎士して皇帝陛下を護る最後の砦の筈。その様な方が、こんな辺境にいるというのが非常に危うい状況なのです。貴方、不在の際にもし、首都・テトリクスで上位貴族達の反乱などが起こった時には‥‥‥‥」


「‥‥‥‥心配は入らない。首都・テトリクスの民はガリア皇帝陛下、皇族方、上位貴族を含めたすべての者達は眠りについてもらった。時が終わるまでは何もできまいよ」


「はい?眠りについてもらったですと?‥‥‥‥貴方は何を言っておられるのですかな?ウェルキン様っ!」


「‥‥‥‥流石、魔神共の蛮行によ荒廃したスリア地域を住める肥沃の大地にまで変化させたハルバダジ家。皇帝陛下より辺境の地を任されるだけの事はある‥‥‥‥鋭いな」


「ウェルキン様。失礼ながら質問させて頂きます。首都・テトリクスで今、何が起きているのですか?」


「ハルバダジ辺境伯。君には是非、生き残ってほしくなった。だから全てが終わるまでは、静かに私に従っていてくれ‥‥‥‥ガリア奇術〖睡蓮眠(ユレ・ソレイユ)〗」


「ぐっ?‥‥‥‥ウェルキン様‥‥‥我に‥‥‥いや我に何を‥‥‥何をしたのです?‥‥‥‥これは魔の‥‥‥‥おっと。我は今まで何をしていたのだ?」


「やっと起きたか?ハルバダジ辺境伯」


「おぉ!ウェルキン将軍。〖不思議の森〗周辺に住人達は避難させ始めましょう。それと予備戦力として」


「あぁ、細かい事は任せる‥‥‥それからガリア帝国各国境の国々〖魔王領〗〖テレシア〗〖ヘルデア〗〖ガルクドウルク〗には首都・テトリクスから警備軍への増援を送る。貴殿等の軍からも数千人を募り向かわせよ」


「はっ!ウェルキン将軍の仰せの通りに‥‥‥‥」


「‥‥‥‥‥始まる。ガリア帝国の内側からの侵食‥‥‥‥そして、それは徐々に魔法大陸(エウロペ)の外側に侵食していく‥‥‥呪われたガリア皇族の血脈の様に‥‥‥ゆっくりと‥‥‥ゆっくりと‥‥‥」



〖ガリア帝国・首都テトリクス〗


眠る。その世界最大規模の首都が眠る。剣技大陸(アルトネ)の〖王都アルベルト〗。天空大陸の〖聖天都市・ラグエル〗。列島大陸の〖帝都〗等の魔法世界(アリーナ)を代表する主要都市の一つとして数えられるガリア帝国〖首都テトリクス〗が眠りに堕ちる。


赤色の鱗粉が首都に降る。いやガリア帝国の国土全土に振り、黒色の痛みが全てのガリア人に襲いかかる‥‥‥‥終わりの時間が始まって行く。



〖ガリア帝国軍総本部・トレウェロルム〗


ガリア帝国の上位貴族、上位軍人、大臣達が集まりこの異常事態についての会議が開かれていた。


「アァァ!!眠気が襲い来るっ!!副首都『ブルーグラス』に入るランスロット軍団長に救援の使者をっ!!」


「それだけでは足りぬ‥‥‥同盟国である『魔法中央国』の魔法使い達にも、この異常事態を報せ。この可笑しな赤き粉の正体を暴かせねばなら‥‥‥‥ん」ドサッ!


「ルキジア将軍?!‥‥‥あぁ。くそ、また一人眠り堕ちてしまったか‥‥‥‥こ、このままでは首都の機能が崩壊する」


「いや。それだけでは収まらんぞ‥‥‥‥ガリア帝国の各都市‥‥‥‥いや全域が同じ現象になっていると俺は思う。その結果、国内外問わず不味い事になる」


「ガリア国境付近の他国の軍の軍事介入。ガリア帝国へ偽りの忠誠を誓う属国の謀反。ガリア帝国に恨みを持つ者達の略奪行為の始まりと心配の種が多すぎるな」


「他国の軍事介入か地方貴族の反乱があった場合は皇帝陛下に謁見し、〖六騎士(シス・シュバリエ)〗を派遣して頂こう。ガリア帝国が誇る最高峰の六人の騎士をっ!」 


「ウェルキン様、アクスレナル様、セレナ王女の三人の〖六騎士(シス・シュバリエ)〗は現在、行方不明だと報告にあっただろう。他、三名もガリア帝国の主要の地を守っている為、用意には動かせんよ‥‥‥‥全く。こんな時に使い捨ての〖勇者〗殿が健在なら、全てを押し付けられるというのにな」


「おいおい。その名前を今、出すか?あれは〖魔王領〗の〖魔王〗と共に何処かへ消え、行方不明になったのだろう?最早、居ない者にすがってもいかん。それにあれはガリア帝国で功績を上げすぎた‥‥‥今更、ノコノコとガリア帝国に帰って来られても暗殺の対象になるだけだろう」


「ハハハッ!!だな。確かにあれは強く。ガリア皇族からも信頼が厚かった‥‥‥‥何れは我々に陰謀か暗殺で狩られ、哀れな死体に変わり果てたいただろうな」


「確かになっ!ハハハハハハッ!!魔王討伐が成功し、もしも奴がこの首都テトリクスに足を踏み入れた瞬間。何かしらの罪人に仕立て上げ、民衆の目前で辱しめを受けさせてから罪人として首都テトリクス中を歩かせる予定だったんだがな。それも行方不明となっては叶わぬ事だ」


「ハハハッ!!考える事は皆同じか。軍部でも奴を捕え、アルバルガ監獄へ幽閉する予定だったのだ。あれは強すぎる。入るだけで邪魔なんのだよ。ハハハッ!!」


「「「ハハハッ!」ハハハッ!!」」」


ガリア帝国が滅びかかろうとしていても愚かな彼等は笑う。自分達の権力と欲望しか考えない陰湿な彼等は後に後悔する事になる。魔王討伐の後に行方不明になった勇者を捜索しなかった事を。その結果。自分達が悲惨な最後を迎える事になるというのに。



〖不死議の国・ブラックハート 西・迷いの迷路〗


「遥か昔より。一部のガリア人とは狡猾で残忍な者達が存在したのだ‥‥‥‥ガリア○術〖白撃〗」


ブランシス・シュバリエの純白の剣撃がギャラハットの首筋目掛けて飛ぶ。


「知っています‥‥‥‥ガリア帝国の歴史に時たま現れる悪人達‥‥‥神現魔法(黄橙)〖白盾よ我と共に〗」


ブランシス・シュバリエの技の中でもっとも弱い技〖白撃〗を、ギャラハットは自身最大の防御技の一つで防ぎきる。


「‥‥‥‥そうだ。そ奴等はガリアを汚す者達‥‥‥神代にも居た‥‥‥恐らくは現在の外界にも必ず入るだろう〖魔〗がな‥‥‥そして、防ぐか。我が最弱の〖白撃〗を‥‥‥‥」


「この技が最弱だって?‥‥‥それにさっきから気になる発言ばかりしている様だけだ。そんなに話したいのなら、伝記にでもして残してほしいものだね」


「‥‥‥‥我がもし負けた時は〖記憶の追球〗として残してやろう。我がもし負けた時は‥‥‥だがな‥‥‥」


「凄い無茶振りだね‥‥‥貴方程の相手は父様以来なんだけどね」


「ならば。このマルクス・サイローが加勢しよう。ギャラハット青年」


「マルクスさん?先に〖ハートの城〗へ行ったんじゃないんですか?」


「行った‥‥‥‥行ったがその先に黒衣の少年に会ってな。君の元へ戻って加勢してやってくれと懇願された」


「黒衣の少年に懇願?‥‥‥いやいや。貴方は親友のジュゼッペさんを救う為に来たんでしょう?何で戻って来るなんて事したんですか?」


「先程。会って来た‥‥‥‥‥ジュゼッペはもう大丈夫だ。アイツは手足が自由なら何処へでも逃げられる。今頃は嬢王を救い出している頃だろう‥‥‥‥それよりも今は目の前の強者に集中せよ。ギャラハット青年。死にたくなければな」


「‥‥‥‥マルクスか‥‥‥‥」


「お久しぶりです。ブランシス師匠」


「‥‥‥は?師匠?ブランシス・シュバリエが‥‥‥マルクスさんの師匠なんですか?」


「‥‥‥‥遥か昔の話だ‥‥‥今の我とお前は相対する者同士‥‥‥だ」


「ならば。彼と協力して倒します」


「‥‥‥‥やれるものならやってみろ‥‥‥‥マルクス‥‥‥‥そして、我を解放しろ‥‥‥」


「然りっ!」

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