〖生贄〗は御茶会の後で
『シュガーグリーン・お菓子の家』
「凄い。家、全体が食べられるお菓子だなんて‥‥‥ビックリです」
「〖魔女〗の遺産です。お客様。もう居なくなってしまった〖魔女〗様の」
「〖魔女〗の遺産ですか?それっていったい?」
「遥か昔、この〖異界〗を造り出した張本人だよ。今はもう何処に居るのかすら分からないけど」
「〖異界〗を造ったですか?〖異界〗とは!!」
「何を興奮しているだよ。片眼鏡のオッサン。造ったと言っても神話時代の話だよ。今はそんな古の技術失われてるに決まってるさ」
「オッサン?‥‥‥‥二十代前半のこの私がオッサンですと?」
「アクスレナルさんがフリーズしています」
「オッサン呼びがショックだったんだでしょうね‥‥‥〖魔女〗は外界だと〖色〗で分けるのでしょう? 」
「へ?は、はい。〖魔術院〗のマーリンと言う方は確か〖白〗の魔術師で有名ですが。〖異界〗では違うんですか?」
「そうですね。〖異界〗での魔女は畏怖の象徴ですから‥‥‥」
「〖畏怖の象徴〗ですか?まぁ、外界の魔女様達も恐ろしく強いとは聴きますが。〖畏怖の象徴〗と言うのは聴いた事はありませんね。むしろ魔法大陸の平和と秩序の象徴なのです」
「‥‥‥‥そう。外界の魔女達はそんな感じなんですか。羨ましい‥‥‥です」
「魔法大陸の魔法組織・〖魔女の夜会〗は魔法大陸に存在するあらゆる国家が大金を積んででも獲得したい人材です。我がガリア帝国でも現在、何処の国にも属していない〖赤〗の方を勧誘中との事ですが。幾分、その方は戦時中の南の地に居る為に接触が余りできないのですよ。姫騎士様」
「そうなのですか?そんな話、始めて聞きました」
「ガリア暗部の機密事項でしたので、姫騎士様やエマ達。表の軍部には開示されていなかったのでしょう。しかし、ヘンゼ君とグレーテ嬢のお二人と話しているだけで有益な情報が得られます」
「僕達は君達にかける事に決めたからね‥‥‥‥それに急がないと取り返しがつかなくなる。〖異界〗も君達が住むガリア帝国も無くなってしまうからね」
「ガリア帝国が‥‥‥‥無くなる‥‥‥?」
「だから言ったでしょう。〖異界〗の魔女は畏怖の象徴‥‥‥‥自分の事しか頭にないイカれた存在です。私達や外の人達の事なんて〖生贄〗としか考えていない愚か者なんですよ。この異界・不死議の〗の〖魔女の女王〗は‥‥‥‥」
「外の人達が‥‥‥」
「生贄‥‥‥?」
「‥‥‥‥詳しい事は〖ブラックハート〗までの道中で色々と教えよう。どのみち〖異界〗から〖外界〗に出るには〖ブラックハート〗の解放門を通らないと帰れない‥‥‥‥他の場所からも援軍が来る。〖シュガーグリーン〗に散らばっていた〖ロビン〗の部隊も集まって来る。皆であの〖女王〗達の企みを‥‥‥‥〖異外融合〗を阻止しなくてはならないからね」
◇◇◇◇◇
〖ブラックハート〗
〖薔薇の広大迷路〗
大軍が創られていた。ありとあらゆる〖不思議の国〗に住んでいた住人達の〖外皮〗を被るモノ。絵柄の身体に無理矢理詰められ狂わされたモノ。元から狂った〖外皮〗も与えられなかった黒い形のモノ。あらゆる〖不死議の國〗の狂ったモノ達のが創られ、集められ、その時が来るのを待っている。
「ホホホホホホ!!!!〖女王〗様。外出の準備も着々と進んでおりますぞ。ホホホホ!!!!」
〖狂卵男爵・ハンプティダンプティ〗
「「「「「おおおおおおお!!!!!!!!」」」」」
「ヤってれたね。あの時は良くもヤってれた。奴等の仲間が来るんだね?ならなら、変わりに復讐対象にしてあげるよ。君達の仲間にね‥‥‥‥さぁさぁ。ボクちゃんの真の主〖女王〗様。外界に出て殺し回ろうよ。外の奴等をねぇ」
〖蛇馬魚鬼・ジャバウォック〗
「「「「「復讐をっ!復讐をっ!復讐を!ガリアの民に復讐を!!!!!」」」」」
「フフフフフフフフフ。それはもう少し待ちなさい。新しい黒いドレスもまだ届いていないの‥‥‥‥フフフフフフ。それを手に入れてから、外への外遊と行きたいわ‥‥‥‥それがあの人に向けての手向けになるのだから。フフフフフフフフフフフフ!!!!!!!ヒヒヒヒヒ!!!!!」
〖異界・不思議の国〗とガリア帝国の破滅の足跡が近づいて行く‥‥‥‥‥
◇◇◇◇◇
〖スノーホワイト・枯れた大樹の家・夜〗
「ね、眠いです~、セツナ様~」コクリ‥‥‥コクリ‥‥‥
「ほら。ソフィアさん。ちゃんと髪を乾かさないと駄目だろう。たくっ!まるで幼子みたいだぞ。火魔法+風魔法〖温風〗」
「何時もは、アレイ様にやってもらっているんです~‥‥‥‥」‥‥‥ウトウト‥‥‥
「‥‥‥‥あの人。色々と大変なんだな‥‥‥‥明日は白の塔に行って白き姫に会いに行くっていうのに、何で俺は俺は女の子の髪を魔法で乾かしているんだろう?」
「ちょ、ちょっと。何をしているのよ。何で私の前でイチャイチャしてるの?」
「‥‥‥‥何だ?チミは‥‥‥あぁ、アリス王女か‥‥‥君も早く寝ろよ。明日は早いんだからな。つうか君の部屋は隣だろう。出ていきなさい」
「はぁー?何、言ってるのよ。出ていくのはそっちでしょう?勇者。男女が夜遅くに二人きりなんて許されないんだから」
‥‥‥‥‥なんか昔とだいぶキャラ変わってないか?昔はもう少しお淑やかだった気がするんだが。これもゴリラ聖女の教育の影響なんだろか?
「‥‥‥‥だってさ、ソフィアさん。髪も乾かしておわったし。じゃあ、俺は隣の部屋で一人で寝るからまた明日な‥‥‥‥」
俺はそうソフィアさんに伝えると。ドワーフ達が用意してくれた客室から出ていこうとした。その時だった。
ガシッ!
ソフィアさんが俺の服をガシッと掴んだのだ。
「‥‥‥‥何処に行かれるですか~?セツナ様~、私、セツナ様に手を握っていてもらえないと眠れません~」
「な、な、な、何よ。この娘‥‥‥アザと過ぎない?勇者も何で満更でもないのよっ!」
アリス王女が赤面しながら狼狽している。つうかアリス王女は何で俺が勇者だと分かったんだ?俺は常に認識阻害魔法と偽造の魔道具を使って、自分の本当の姿がバレない様にしているんだがな。
それと。このソフィアさんの行動は‥‥‥‥単なる本心か、俺に対する監視の一環か‥‥‥‥どのみち油断せずに接して行くしかないか。
それに加えてアリス王女の登場。ややこしさに拍車がかかっていく。もし、この異界から無事に脱出できたら。エスフィール達と合流して一度〖地球〗に帰ろう。エリスが出ばらって来る前にな‥‥‥‥
「‥‥‥‥アリス王女がそんなに心配なら今夜は三人で同じ部屋で寝よう」
「は?三人?!!」
「俺も今日は疲れたから直ぐに寝落ちするさ‥‥‥変なイタズラはしないでくれよ。アリス王女‥‥‥じゃあ、お休みー‥‥‥」
俺はそう告げるとソフィアさんの手を握り一瞬で眠りに着いた。
「はい~、お休みなさいです~、セツナ様~」
続いてソフィアさんも。
「ちょっと。待ちなさい。そんな三人だなんて、心の準備がまだ‥‥‥‥てっ!本当にもう寝てるし?もうっ!この男は昔から本当にもうっ!!!私を振り回してっ!もううううう!」