外界の様子
『不死議の國・スノーホワイト』
〖枯れた大樹の家〗
俺とソフィアさんは数時間雪道を歩いた後。雪山へと足を踏み入れ、特殊な道順でしか来る事ができない建物へと着いた。ここは以前、〖不思議の国〗へと迷った時にも来たことがある思い出の場所なのだ。
そして、建物の中の住人達に挨拶する為に、ドアをノックし、久しぶりに会うやいなや大歓迎出迎えてくれ。現在は暖房が効いた室内でソフィアさんは
と同じソファーでゆっくりさせてもらっている。
「馬鹿野郎。何でまた落ちてきた?」
「此処がどれ程、危険な場所かさんざん経験しただろう」
「まさか。また狂った猫にやられたのか?」
「いやいや。また会えて嬉しいぞ。ナルカミ」
「以前とは違う女の子だね。」
「今回の子も可愛いな。ナルカミ」
「少し若返ったか?もしや伝説の若返りの薬か?!」
「はわわ‥‥‥‥同じお顔のドワーフさん達がいっぱいです~!セツナ様」
「‥‥‥‥うん。五月蝿い人達だろう。だけど凄く頼りになるんだ。昔、此処に迷い込んだ時も、不気味猫に追いかけられてた時も助けて匿ってくれてさぁ。凄い助けられた恩人なんだ」
「「「「「「「誰が凄く頼りになるだ。照れさせるなよ。このやろうっ!ワハハハ!!!!!!!」」」」」」」
「凄い明るい方達ですね」
「それに賢いし、強いんだ。何せこのスノーホワイトの〖守護者〗の補佐役を担っているからな」
「守護者」ですか?それはいったい?」
「白き姫のお守りだ。嬢ちゃん」
「手間がかかるわがまま娘さ」
「だが憎めない娘でな」
「いつも無理ばかりしてるんだぞ」
「‥‥‥‥それもこれもあの馬鹿な〖女王〗が現れたせいだがな」
「奴等はメチャクチャよな」
「俺達を餌か道具としか思っちゃおらん」
七人のドワーフ達はそう言い終えると悲壮感に満ちた顔で
「‥‥‥‥昔、来た時と何も変わって無いみたいだな‥‥‥‥あの時はアリス王女も一緒だったから脱出する事を最優先していた‥‥‥‥だが今回はあの〖女王〗を倒おして此処から出て行くつもりだよ‥‥‥ドック、グランピー、ハッピー、バッシュフル、スリーピー、スニージー、ドーピー」
「‥‥‥‥それは少々」
「難しいかもしれん」
「今の女王は赤と黒の」
「ドレスがある」
「以前の赤だけなら白き姫でも何とかできたかもしれんがね」
「黒が増えて、勝てなくなった」
「‥‥‥‥今は各守護地に隠れ住み。見つからない様にするしかできんよ」
「赤と黒のドレス?‥‥‥黒のドレスだって?‥‥‥それってもしかして?」
俺はふと昔の事を思い出した‥‥‥‥一度だけ会った〖女王〗との思い出の時を。
「セツナ様?‥‥‥どうかなさいました?」
「あの〖女王〗‥‥‥‥赤と黒、同時に纏うのか?‥‥‥‥いや、そんなの無理だろう生きた身体で持つわけない‥‥‥‥いや、できる方法なら幾つかあるが、そんなの普通はやらんだろう」
「‥‥‥‥大丈夫ですか~?セツナ様。悩みがあるのでしたら、私が抱き締めてあげます!!どうぞっ!私の胸に飛び込んで来て下さい~!」
「いや、今は少し考え中なんだ。ソフィアさん‥‥‥‥」
‥‥‥と言いつつ。俺はソフィアさんの胸へと顔を埋めた。何でそんな事をするかだって?そこに母性と爆乳と言う天国が待ち構えているからだよ。
「は~い。良い子。良い子です~!セツナ様」
「何か懐かしいな」
「白き姫が小さい時は良くやったな」
「随分。昔の話だぞ」
「そう思うと白き姫も成長したよな」
「俺達もだいぶ、歳を取ったな」
「白き姫にも、そろそろ。相手を見つけてもらわにゃあならんぞ」
「だな。いつまでもこんな老いぼれ達と一緒に居させるのも可哀想だ」
七人のドワーフ達が和気あいあいと楽しそうに白き姫の将来の話をし始めた。
「‥‥‥‥ドワーフのおっさん達もなんか楽しそうだな。そして、暖かい‥‥‥な」
「ですです~!私もこのまま眠っちゃいそうで‥‥‥」
俺とソフィアさんがソファーで横になり眠ろうとした瞬間だった。ドワーフの家の扉を勢い良く開け、その娘は現れた。
「ちょっとっ!何、そんな可愛い子に抱き付かれながら、寝落ちしようとしているのよっ!それとおトイレ貸して下さい。ドワーフさん達。漏れ‥‥‥‥いえ、お久しぶりです‥‥‥‥じゃなくておトイレ」
支離滅裂な事を言ってる金髪の少年がいきなり、俺とソフィアさんが寝ているソファーの前まで走ってきた。
「何だ?君‥‥‥‥男の子なのに何でメイド服なんか?‥‥‥いや、その服装‥‥‥水色にエプロンてっ‥‥‥まるでアリスみたいだな」
「そうよっ!アリスよっ!お久しぶりね。勇者っ!‥‥‥てっ!誰が男の子よっ!私はれっきとした女の子で王女様よっ!ていうか、おトイレ何処?!そろそろ限界なのよっ!」
「‥‥‥‥嘘つけ。谷間が全然ないじゃないか。ソフィアさんを見ろヤバイぞ」
「‥‥‥はい~‥‥‥ヤバイです‥‥‥スゥー、スゥースゥー」
いつの間にかソフィアは寝てしまった様だ。では俺もそろそろ眠るとするか‥‥‥‥
「じゃあ、俺もそろそろ眠るか‥‥‥‥」
「だ、だ、誰が貧乳じゃああ!!!この節操なし勇者あぁぁ!!!」
「‥‥‥‥ん?うおおぉぉ!!」
金髪少年はそう言って、寝入りそうになっていた俺をいきなり掴み。羽交い締めにした。
「フンッ!これで私が男の子じゃないと理解したかしら?分かったんなら、私はそろそろおトイレに‥‥‥‥にゃあああ?!何?」
「痛たた‥‥‥何だ?いきなり‥‥‥‥何だ?視界が暗いし顔に変な感触が?‥‥‥‥んぐ?‥‥‥何だ?これ生暖かい何かが?」
「ちょ、ちょっと待って。動かないでっ!だ、駄目っ!そこはや、止めてっ!それ以上、動かれたら○れ‥‥‥‥」
「‥‥‥‥とにかく動かないと。よっとっ!むぐ?!」
「駄目‥‥‥‥駄目って言ったのにいぃ!!!にゃあああ!!!!」
‥‥‥‥‥‥それから数時間後。俺はその金髪男の子がガリア帝国の第一王女アリス様だったと気づいた。そして、そんな高貴過ぎる彼女に一生傷に残る様なトラウマと屈辱的を植え付け落ち込ませてしまったたのだった。
〖枯れた大樹の家・客間〗
「‥‥‥‥‥とりあえず。ごめん」
「‥‥‥‥‥一生許さないわ‥‥‥お父様やエリスに報告する」
「‥‥‥‥マジで?あのゴリラ聖女にも‥‥‥それは止めて‥‥‥」
「マジよっ!全部、包み隠さず報告するんだからっ!ていうか、私、着替えるから出て行ってっ!勇者っ!」
バンッ!
アリス王女は涙目になりながら、ドワーフ達が用意してくれた新しい着替え片手に客間の扉を閉めるのだった。
「‥‥‥‥これは色々と不味い事になったな‥‥‥‥どうしよう」
◇◇◇◇◇
〖ガリア帝国・六騎士の館〗
「〖不思議の森〗に向かわせた。アクスレナル・ベルギスアとセレナ・ガリア・リストリア様と連絡が付かなくなっただと?」
「はい。アルウェルニ様。その他にもアクスレナル様の直属の先遣隊も行方知らずとの事です」
〖ガリア帝国・作戦部隊隊長レインバレル〗
「それは少々、不味いな。南西はランスロット、北東はバルバッハとエマ、ガリアの中央は私の軍がが守っているが、北西側の軍の要はアクスレナル様よとセレナ様が主力だ。その二人が不在と他国に知られたら、ヘファイストス地方かヘスティア地方の国々が戦争を仕掛けて来るかもしれないな」
「‥‥‥‥どういたしますか?軍部に要請し、〖不思議の森〗の調査隊の出兵依頼か。国境付近に軍の待機を‥‥‥」
「いや、それは無理だ。数ヶ月前に起きたフレイヤ地方での三列大戦で次代を担う若き将校達の多くは捕虜、戦死、行方不明になり。ガリア帝国の南側の軍は弱りきっている。それにこれ以上、軍の将校達を失うと、ガリア帝国内部の治安が維持できなくなるだろう」
「‥‥‥ですが。それではアクスレナル様とセレナ姫様が担っていた北西側は〖ヘファイスの部族軍〗や〖ロマの残党〗に進行される事になりますが」
「‥‥‥‥あぁ、だから。その問題には同盟関係にある『魔法中央国』と『ソラリス・ラウス聖国』に赴いてもらう事にしよう」
「〖魔術院〗と〖七聖教会〗ですか‥‥‥‥それはそれで後から多額の報酬を寄越せと言われそうですが」
「なに、要請と言っても、軍を興させるわけじゃない。同じ国境沿いの他国が攻め行って来たら同盟国同士で協力しようと言う有無だけ、伝えておけば良い。もし本当に戦争段階に入った時には、ガリア軍の盾として存分に働いてもらうがね」
「‥‥‥‥成る程。それならば我がガリア帝国側の被害を最小限に抑える事ができますな」
「あぁ‥‥‥じゃあ。私はガリア皇帝陛下に今の事を伝えに行くが‥‥‥もし、陛下が〖不思議の森〗へ軍を派遣しろと言えば私が行く事にしよう」
「は?アルウェルニ様。自らですか?それはいくらなんでも無理なのでは?」
「‥‥‥‥セレナ姫も行方知らずなのだ。陛下は自身が産んだ王子、王女様方全てを愛し、心配なさるのだ。そして、全てにおいて最後の決断は、我が主君であるガリア陛下の為だ。あのお方に何を命じられ様と、私はそれを全て遂行する。‥‥‥‥陛下が私の全てだ」
「‥‥‥‥‥了解したしました。(‥‥‥‥こいつは狂っている。他国との戦争よりも皇帝の私情の方を優先するだと?このガリア帝国に住む国民の事などどうでも良いと言うのか?)‥‥‥では、私はこれで失礼したします」
カツン‥‥‥カツン‥‥カツン‥‥‥ガチャッ!
「‥‥‥‥あんな不気味な場所に‥‥‥‥〖不思議の森〗に何があると言うのだろうか?‥‥‥‥何故、遥か昔から人が消え、時たま帰って来ては可笑しくなるのだろうか?‥‥‥‥この私の様に‥‥‥」
数日後『魔法中央国・首都〖白銀の花〗』
「‥‥‥‥いちを受諾しよう。ガリア帝国には古よりの同盟者ゆえ」
「ありがとうございます。〖魔術帝〗様」
『ソラリス・ラウス聖国』
「‥‥‥‥魔法大陸の平和の為に承諾します。ですがそれには色々と条件を付け加えて頂きたく‥‥‥」
「‥‥‥‥ガリア皇帝陛下に早急に連絡を‥‥‥司祭様」
アテナ地方に不穏な陰謀が渦巻き始める。