アグラヴェイン領・占領戦 No.4 王との約束
数年前、キャメロット城
(やぁ、アグラヴェイン!元気かい?)
(ア、アーサー様!は、はい!私は元気です!)
(ハハハ、緊張してるね!まぁ、それは、仕方ないか!なんたって今日は君の就任式だもんね)
(こ、こんな、私がランスロット卿やメリュジーヌ卿の様な名誉ある。円卓の騎士の1人に名を連ねていいのでしょうか?)
( 何を今さら言うんだい!アグラヴェイン!君を新しい円卓の騎士に決めたのは、このボクだよ!君なら間違いなく『妖精国』の南側を任せられると思っているんだ)
(そんな、勿体なき、お言葉。ありがとうございます。アーサー様)
(あぁ、もし、ボクに何かあって、この国にからいなくなることが合った時はよろしく頼むよ。アグラヴェイン。ボクの右腕アグラヴェイン卿!期待している)
そうして、アーサー様は、私の肩を優しく叩き『キャメロット城』王座でアーサー様自ら。就任の儀の剣を私に託して下さった。
あぁ、アーサー様!『エクスカリバー』の捜索に旅立たれ。
はや、数ヶ月。ランスロット卿とモードレッド卿の暴走も止められず。反逆者の道を歩むことになった私めをお許しください。
『ペリエの城』
「‥‥‥‥‥動けません」
ランスロット卿の暴力で服従し。その次は侵入者さんとの闘いに負け。床に這いつくばっています。
「俺の勝ちですね。‥‥‥すみませんがこの魔道具を首に付けさせてもらいます」
「‥‥あぁ、それは」
確か、昔、キャメロット城で見たことがある。『契約の輪』だ。
付ければ相手に魔力を吸われ。強制的に契約者関係になる。神代の魔道具。
何故、こんな貴重な魔道具をこんな、少年が持っているのか凄く気になりますが。
「‥‥‥気になりますが本当に動けません。何かの不思議な力で身体の一部を破壊された様な感覚」
「『神気』は妖精やハーフにも効くのか‥‥‥」
侵入者さんはそう言うと。ブツブツと独り言を発しました。
「アグラヴェイン卿!だ、大丈夫ですか?さっきは凄い悲鳴をあげていて‥‥‥」
「‥‥はい、身体中、痛いです。起こして下さい。パーシヴァル卿‥パーシヴァル」
「は、はい‥‥‥あぁ、もういいよね。アグラ!いつも通りの話し方で」
「‥‥うん!いいよ。私も騎士口調疲れた」
私とパーシヴァルはそう言うと。いつも通りのフランクな話し方で話し始めた。
「‥‥‥私の負けです。‥‥‥えっと侵入者さん」
「はい!アグラヴェイン卿。俺の名前はナルカミと言います。よろしくお願いします!」
「ナルカミさんですか、変わったお名前で‥えっと私の事もアグラヴェイン卿ではなく。これからは、アグラとお呼び下さい。ナルカミさん」
私は、ナルカミさんの目を見ながらそう伝える。
「えぇ、よろしく!アグラ」
「‥‥‥よっこいせと!」
私はズキズキする身体をゆっくり起こす。
「えーと!あぁ、あった!あった!連絡用の魔道具。ナルカミさん。これを使って『ペリエの城』の兵士に降伏の報せをしてもいいでしょうか?」
「ねぇ、セツナ!」
凛とした金髪エルフの方がナルカミさんに何か言おうとする。
「あぁ、大丈夫ですよ。私にはもう、『契約の輪』が付けられてますので。変な事をしようものなら」
「電撃の雨が降る」
「みたいです」
「あぁ、いつも、セシリアとヒスイ君がやってるやっか‥‥‥‥」
「ふぅ、では、ナルカミさん!よろしいですか?」
「はい!お願いします」
「‥‥‥あー!あー!あー!連絡しまーす!上位隊長達は速やかに私の執務室まで来てください。重大なお知らせがあります」
私がそう言うと。『ペリエの城』中に私の声が木霊した。
「凄い響く魔道具だね」
「『妖精国』製の特注品で紛争が盛んやガザード砂漠では良く使われるそうです」
「ガザード砂漠で?砂漠?何で?」
凛としたエルフの方はそう言うと不思議そうな顔をしています。
「ヘファイストス地方の砂漠地帯は色んな部族がいるんだ。そして、周りは見渡す限りの砂、砂、砂ときて広大。それで周囲の状況や場所を的確に伝える為の『セルビア』産の音調拡声魔道具があっちでは重宝されているんだよ」
ナルカミさんがそう言って凛エルフに教える。
「えぇ、だいたい。その説明で合っていますが、もっと詳しく言うなら『セルビア』産ではなく、『妖精国』産です。『ペレアスの湖』に生息する。ランス巻き貝の貝を原料に作られています。ちなみにランス貝のランスの部分はランスロット卿のランスから取っています」
「何故に?」
「アーサー様の趣味です。あの方は言葉遊びが好きのなので」
「‥‥‥そのアーサー王って。『エクスカリバー』を探しに行方不明になったり。その言葉遊びの趣味だったり。結構変わってるな」
「えぇ、まぁ、変わってはいますが、あの方が王座に着いてからは、『妖精国』の国力は年々増し。現在の『セルビア』がエウロペ大陸でもガリア帝国や西地方にある連邦国に並ぶ大国に伸し上がっているのもアーサー様、合っての事です」
「そんな、凄い王様なのか?いや、実際、あっちの世界でも凄い人だし。当たり前か!九偉人の1人だしな。そうだよなりアーサー王は王の中の王だもんな」
「おぉ、我々の王をそこまで誉めて頂けるとは。ナルカミさんは分かっていらっしゃる」
「いや、実際凄いぞ。キャスターなんかは高難易度で持ってないと積むくらいだしな。茄子とキノコ先生は本当に尊敬するよ。凄い先生なんだ」
「‥‥‥ちょっと、何を言っているのか理解できませんが。アーサー様を誉めて頂き感謝します」
そんな、会話をしていると。
「アグラヴェイン卿!我々、上位隊長揃いました」
「あ、はい、はい!1人ずつ入って下さい。ご迷惑おかけしてすみません」
「いえ!大丈夫です。我々、アグラ様親衛隊はいつでもなん時でも待ちますので」
「「「‥‥‥‥‥アグラ様親衛隊?」」」
「‥‥‥では、会員番号1番の方から静かに入って来てください」
「はい!俺が!」「いや、俺が会員番号1」「うるさい!俺だ!」「黙れ!私だ!」
どうやら、ドアの向こう側では殺し合いが始まったみたい。
「あー!めんどうなので、最後まで立ってた人が最初に入ってきて下さい」
「「「「「「了解です。アグラ様!!!おらッおらッおらッおらッ死ね!!!!」」」」」」
「ふぅ!少し待ちましょうか!皆さん。‥‥‥あぁ、安心して下さい。いつもの事なので」
「アグラヴェイン卿って兵士にメチャクチャ人気何ですか?」
凛エルフがまた質問してくる。なんだか、馴れ馴れしい。
「えぇ、そこの全裸パーシヴァルや私達は『妖精国』の六侯美女なんて呼ばれてますから。これもアーサー様の戦略で」
「アイドルみたいにライブでもさせて踊らせてるとかか?そんな訳無いよな?!ハハハ」
ナルカミさんが大声で笑うと。
「おや、良く分かりましたね。そこの全裸変態と私、他4名で定期的にキャメロット城の王都で躍りと歌を披露して‥‥‥」
「スゲーな。こっちのアーサー王!マジでなにもんだよ」
「だから、変わっていますが政策はどれを取っても国益を出していて。后であるモルガン様も呆れ反面でも潤う国益に納得していて」
「なのにアーサー王不在を狙った反乱が起きるのか?」
「‥‥‥なんとも言えませんが。確かにランスロット卿やモードレッド卿等の強硬派の騎士はアーサー様の政策に疑問をお持ちの方もいらっしゃいますが、近年の政策で『妖精国』各領地も潤っていますので文句のつけようもなく」
「順調過ぎる為の不満か?内乱でも起こせば、自分達の領地も増え。上にも行けると思ったか」
「‥‥‥‥いえ、それは無いと思います。ランスロット家もモードレッド家もペンドラゴン家にアーサー王に長く仕えておりますので。‥‥‥‥何か変化があったとすれば。数ヶ月前から現れたという女王様位か‥‥‥‥」
「パーシヴァル卿に続いて。ここでも女王様か」
「セツナ!もしかして、ヴォーディガンや魔竜に地上の『セルビア』を攻めさせたのも‥‥‥」
「その、女王様だと?」
「うん!」
「‥‥‥‥あり得ない話でもないか‥‥‥‥アモンにヴォーディガン‥‥バジリスク‥‥ジャバウォック‥‥‥ギガイアス‥‥‥北欧、ギリシャ、イギリス、神話‥‥伝承‥‥‥‥魔女か?‥‥‥いや、流石に」
ナルカミさんはブツブツとまた、独り言を話す。
「アーサー王物語‥‥‥‥ヴォーディガン‥‥アモン‥邪竜は交ざってた。‥‥今回も?‥‥‥ランスロットはブツブツ‥‥ギネヴィアと不義を結び。‥‥‥中央には世界樹の根‥‥‥湖の大妖精‥‥‥交ざる?ブツブツ」
「ちょっと!セツナ!大丈夫?‥‥‥」
バタン!!
「失礼いたします。アグラヴェイン卿アグラ様会員番号1!テトラ入ります」
上位隊長の中では最も強いテトラ隊長が扉を凄い勢いで開けて入ってきた。
その後は、今までの私の経緯を隠す事なく、全てテトラ隊長伝え。今後は、『キャメロット』側に着くことを話した。
「な、なんと!アグラヴェイン卿の右腕に切り傷を‥‥‥‥ランスロット卿!殺す!!」
メチャクチャ切れた。
「ありがとう!テトラ隊長!こんな、私の為に怒ってくれて」
「なんと!勿体なきお言葉!ですが、アグラヴェイン卿、暫くの間は」
「うん!とりあえず。女王様に従ってるふりを貫こう。中央の『ペレアスの湖』に駐屯している。ランスロット卿とモードレッド卿の軍には合流しないけどね」
「はい!それが宜しいかと!アグラヴェイン卿とパーシヴァル卿の話を聞いていると。どうやら一方的な話し合いしかできぬ相手の用ですな。」
「うん!‥‥右腕に切り傷付けられるし」
「黒い狼にもされましたしね。はぁ!」
それからは上位隊長1人1人に部屋に入ってきてもらい。テトラ隊長同様に反乱の経緯とナルカミさんに下った事を伝えた。
「アグラ様の右腕があぁぁ!!」
「戦争です!もはやこれは戦争てずぞ!!」
「わ、私達の希望の光になんて事を」
「ちょっと、反乱軍の奴らぶっ殺してきます!」
アーサー様の政策。踊り子の六侯美女。6人で『キャメロット城』王都で踊ったり、歌たりしてしいたせいなのか、私やパーシヴァルが傷物にされた事に激昂する上位隊長ばかりだった。
「皆、ぶちギレてたね。パーシヴァル」
「まぁ、私が言うのもなんだけど。六侯美女は『妖精国』でも結構人気の踊り子だから」
「それを傷物にされたら」
「戦争が起きるな。いや、今は内乱だが」
ナルカミさんがそう言うと苦笑いしていた。
「でも、どうしよう。もし、私がナルカミさんに下った事がランスロット卿にバレたら‥‥‥私、殺され‥‥」
「そんな、事はご心配なく。これを使ってくれ!」
ナルカミさんはそう言うと掌サイズの水晶玉を謎の袋から出した。
「それは?」
「写し水晶って言って。この水晶に魔力を込めればもう1人の人物が水晶の中から現れるんだ。そして、本物のアグラヴェイン卿は」
「その袋の中に避難すれば良いってこと?」
「あぁ、この魔法の袋は契約者である。俺、以外。絶体に触れることを赦されない。―女神―アテナの魔道具。この中に入れば」
「安心安全ってこと?そんな、都合が良い‥‥‥」
凛エルフがそう言うと。
「都合が良い魔道具が我が王が探し求める『エクスカリバー』や『黄金の宝物庫』の能力なんですよ。アルディスさん」
パーシヴァルが説明し始めた。
「『黄金の宝物庫』?なんだそれ?」
「ナルカミさん!貴方が腰に巻いている『7つの秘宝』の正式な名前の事です。それが『黄金の宝物庫』」
「魔法の袋じゃ、ないのか?」
「えぇ、私の家系は遥か、昔、『7つの秘宝』の1つ『ロンギヌス』を一時期。所有しておりましたので『7つの秘宝』の文献や知識は少し聞き及んでいます」
「君、全裸が趣味なのにそんな、凄い家系だったのか」
「はい!そのとおり!凄い家系だったんです。現在は『ロンギヌス』は行方不明で何処にあるのかすら検討がつきませんが」
『黄金の宝物庫』ガサガサガサガサガサガサガサガサ。
「おや、ナルカミさん!袋が凄い反応してますが?」
「‥‥‥‥‥気のせいだ!気のせい」
ナルカミさんは明らかに同様しながら、『黄金の宝物庫』を抑えている。
「現在、『7つ秘宝』が所在が分かっているのは1つだけ。ナルカミさんの『黄金の宝物庫』しか分かっていません。『エクスカリバー』は行方不明。魔王領の魔王様が所持していた。『武神鎧』も魔王様と共に行方不明で残りの4つは何者かに盗まれたとの噂が」
ガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサ
「‥‥‥‥ナルカミさん!袋が凄い音を立てていますが?」
「‥‥‥‥気のせいだ!気のせい!」
「そうですか、ですからアルディスさん。アグラがこの『黄金の宝物庫』へ入る事が。アグラにとって」
「‥‥‥一番安全って事なんだ。凛エルフさん」
「凛エルフ?!‥‥まぁ、そう言うと事なら安心だね。良かった。良かった」
「じゃあ、ナルカミさん。テトラ隊長や他の隊長達に引き継ぎするから暫くここで待っててもらえる?」
「あぁ、奇襲とか、心配なら。俺達も一緒にいるよ。この部屋で引き継ぎをやるといい」
「うん!ありがとう」
私はそう言うとテトラ隊長を初めとした。上位隊長達との引き継ぎ作業を無事に済ませた。
数刻後。
「それじゃあ、私の分身。これから大変だけどよろしくね」
「はい、アグラ様!この身を粉にして頑張ります」
私が水晶に魔力を込めた後。私、そっくりに形を変えたアグラ水晶はとても素直で明るかった。
「じゃあ、ナルカミさん‥‥‥いえ、マスターこれから。暫く、お世話になります」
「はい!よろしくお願いします。アグラヴェイン卿。では、どうぞ」
「‥‥‥失礼します!」
私は勇気を振り絞って。ナルカミさんの『王の宝物庫』の中へと入っていった。
『黄金の宝物庫』の中
(あら?新人さん?可愛い顔ね!)
(えっ?!天使様?は、初めまして!アグラと申します)
(まぁ、良い子ね!私はガブリエル!宜しくねアグラちゃん)
(は、はい!よろしくお願いします!ガブリエル様)
(フフフ、うん!‥‥‥よし!じゃあ、この中を案内するから一緒に行きましょう!沢山、面白い所があるから楽しみにしててね!)
ガブリエル様はそう言うと。私の右手を掴み『黄金の宝物庫』の中を案内してくれた。
(あぁ、なんて、親切な方。ガブリエル様。‥‥‥この、『黄金の宝物庫』の中もなんだか心地よいし。魔力や怪我が治っていく‥‥‥‥久しぶりにゆっくりできるかな?‥‥‥‥‥ありがとう。ナルカミさん‥‥‥)
私は心の中で感謝の言葉を吐露しランスロット卿の影に怯える事なく。久しぶりにゆっくり眠れたのだった。
アグラヴェイン領・占領戦
終




