第二幕・嘘つきが消えた村 No.1 煙吸芋虫
〖イエローリング〗
私はギャラハット。〖魔術院〗では教鞭に立ち。エルフの国〖セルビア国〗では騎士として席を置き。〖幻獣の楽園〗では強制労働を強いられている。その強制労働から逃れる為に。昔、魔法を教えていた神成 刹那と言う生徒が持つ特殊な魔道具の中に隠れていたのだけど‥‥‥‥
ポンッ!
「あれ?何で外の世界に?強制的に出された?」
「‥‥‥‥モグモグ‥‥‥‥ガラ先生。ご飯お代わり‥‥‥あれ?ここ‥‥‥何処?」
「色とりどりの森林‥‥‥かい?」
私とサーシャが不可思議な景色広がる場所を見渡していると一人の白髪の男性が茂みの奥から突然、現れた。
「何だ?あんた等‥‥‥何処から来たんだ?此処らじゃ見ない顔だな」
「こんな場所に‥‥‥人が?」
「‥‥‥‥しかもガリア人‥‥‥それに此処は昔、夢で来たことがある‥‥‥‥」
そんな感じで私達はセツナと離れ離れになり、〖イエローリング〗の村に隠れ住んでいると言うマルクスさんに助けられて〖喫茶店マルク〗で匿っていたんだ。
「スウゥー‥‥‥プハアァ‥‥‥‥外界の連中が持ってた水煙草と言うのは実に素晴らしいと思わんか?迷い人達よ‥‥‥‥高貴な身分たる。俺に大変マッチしている‥‥‥‥スウゥー‥‥‥プハアァ‥‥‥」
「しかし〖幻魔獣〗何て種族。始めて見たよ。まさか虫の怪物だなんてね」
「‥‥‥‥この〖異界〗には居るの。でも普通は虫達は〖幻魔獣〗には成れない。なったら反旗を翻されるからティターニアがそんな風に契約で決めたって言ってた」
「ティターニア?サーシャのお友達って言う人かい?」
「‥‥‥‥そう。彼女なら〖危険種〗に意思を与えない」
「スウゥー‥‥‥プハアァー‥‥‥何か誤解している様で済まないがな。俺はこの身体を借りているだけなんでね。全く。外界の‥‥‥‥いや、ガリア人の若き兵士共の肉体や子孫共を手中に納めたのなら乗り移らせれば良いものを‥‥‥‥外界に出た時の人質にするとはな」
「何?君、今、人質と言ったのかな?‥‥‥‥君達。何か企んでいるのかい?」
「スウゥー‥‥ハアァー‥‥‥だが、俺達の憎しみが反応しねえって事は‥‥お前らはガリア人では無いみたいだな。なら、〖女王〗様との契約外の連中って事だな。なら寄越しな‥‥‥お前らの新鮮な皮をな‥‥‥神代魔法(緑)〖虫の睡鱗粉〗」
「この煙は‥‥‥吸ったら不味いね。サーシャッ!外へ避難しようっ!」
「‥‥‥‥ガラ先生。判断が少し遅かった‥‥‥マルクスさんが来る‥‥‥‥」
「ルオオオオ!!!!ガリア剣術〖刃巣楽〗」
「プハアァー‥‥‥‥皮が使えないのなら働けよ。ガリア人‥‥‥俺達の奴隷としてな‥‥‥ククク‥‥‥〖女王〗様も酷い事をするとも。神代時代の怨みを現代のガリア人に返そうだなんてな。消えぬ怨みとはこれ程までに恐ろしいかね」
「‥‥‥‥間に合わない?!」
「サーシャッ!!クッ!聖魔法〖流転の光盾〗」
ドガアアアンン!!!
「サーシャ。外へ脱出しようっ!」
「‥‥‥‥ガラ先生。でも多分、外は‥‥‥‥」
私はマルクスさんの攻撃を防ぐと同時にサーシャの身体を抱えて外へと飛び出した。
「ハァハァハァ‥‥‥‥何て一太刀だ。私の聖魔法の盾が割られてしまうなんてね」
「‥‥‥‥ガラ先生。あのマルクスって人‥‥‥‥思い出した」
「思い出した?‥‥‥‥何がだい?サーシャ」
「‥‥‥‥あの人。マルクス‥‥‥サイロー‥‥‥神代末期のガリア帝国の副元帥だった人。昔、ガリアの歴史書で見たのを思い出した」
「マルクス・サイロー?‥‥‥‥神代時代、ガリア帝国の北西部を数万の兵士で平定し、ガリア帝国に広大な国土をもたらしたの大英雄かい?」
「‥‥‥‥そう。それで現代時代に代わってから忽然とガリアの歴史から姿を消した人」
「そんな人が‥‥‥何でこんな〖異界〗の村にいるんだい?それに神代時代って‥‥‥数百年前の話じゃないか?何でそんな昔の人が未だに生きているんだい?」
「‥‥‥‥〖不思議の国〗には歪みの洞窟があるから、多分、そこに迷い込まされてた‥‥‥‥ティターニアに危害を加えた〖女王〗って人に‥‥‥」
「スウゥー‥‥‥‥プハアァー、小娘‥‥‥お前はだいぶ、知識も感も鋭いのだな。そして、良い魔力肉体を持っているな。決めたぞ。お前には俺のこの素晴らしい虫の身体をやろう。その代わりお前の身体は俺が新たな〖皮〗として使ってやろう。スウゥー‥‥‥プハアァー、感謝しろ」
「‥‥‥‥そんなの要らないし、あげない‥‥‥ガラ先生はマルクスさんを助けて‥‥‥私はあの煙吸芋虫を倒すから」
「プハアァー‥‥‥‥いやいや。させんよ‥‥‥俺は此処の新たな〖守護者〗になったのでな。こんなこともできる。ガリア人の堕ち人共。仕事の時間だ。動き始めろ」
「アアアア‥‥‥‥」「か、身体が勝手に‥‥‥‥」「マルクス様!!!」「た、助けて‥‥‥‥」
「ガリア帝国の兵士かい?」
「‥‥‥‥そう。この村に居る住民のだいたいの人がガリア人‥‥‥ティターニアは保護する為に匿ってた」
「スウゥー‥‥‥プハアァー、だが、俺達の〖女王〗様は違うさ。コイツらは融合の為の〖生贄〗さ‥‥‥‥魔法大陸の最大の国を手に入れる為のな‥‥‥そして、俺達は新たな身体と時を得られるんだよ。世界最大の国の貴族階級でこの魔法大陸をガリア帝国の内側から支配する為にな‥‥‥‥」