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異界への誘い


身体が熱く、意識も朦朧としている。しているが自分自身が何かをし、誰かが自分と何かのしているのは良く分かる。


壊れ安く脆そうな物を扱うが如く丁寧に優しく接する。


そして、あちらも嬉しそうに反応し、身を寄せてくる。


貴重で高価な物を扱う様に丁寧に。


痛めない様に優しく扱う。


それが良かったのか、彼方も積極的になり始めあらゆるモノを揺さぶる。


愛でる。撫でる。触れる。交わる。


そうすると身体の熱さも、意識の朦朧も消えていき、いつしか穏やかな気持ちへと誘われ堕ちていく。


そして、最後は全ての身のを委ねてあげると。自分の意識が遠退き、彼方も此方が優しく接した事に満足したのか、此方へと身を寄せて眠りに堕ちた。



‥‥‥‥‥‥‥‥私はそうしてアナタと交ざり合うのよ。そして、願わくば私が幸せになる事だけを考えて生きてほしいの。


▽▽▽▽▽


「‥‥‥‥どんな夢だよ‥‥‥あんな‥‥‥丁寧に扱うのか?女の子って‥‥‥‥いやリアル過ぎだろう‥‥‥‥つうか何なんだ?さっきの夢は‥‥‥‥くそ‥‥‥頭が上手く働かん‥‥‥」


数分後経つと目が覚醒し始めた。外は今、どんな状況なんだろう?確か、剣技大陸(アルトネ)組を〖ロウトルの転移迷宮〗に連れて行き。自分達の目的であるロウトル転移迷宮と魔道船の〖転移廊〗を繋げた後、ティアマト地方へと転移魔法で帰還した筈だったんだよな‥‥‥‥


「この中は確か、危機的状況になった時に発動する結界の部屋の中か?何でこんな所で横たわっているんだ俺‥‥‥ん?」


意識も本格的に覚醒し始めてようやく自分の身体の状態に気がついた。自身の左手で何かを大切そうに胸の中に抱き抱えながら、もう片方の右手で誰かと恋人繋ぎをしているという体勢で眠っていた様だ。そして、俺の胸の中にはエスフィール‥‥‥‥ではなく、朱色の髪色に、幼さが残る顔立ち、そして、豊満な胸が特徴の少女がスヤスヤと寝息を立てていた。


「‥‥‥‥ソフィアさん?が何故、此処に?‥‥‥‥まさかっ?!いや、髪や服は一切乱れて無いし、そこら辺も全く汚れて無いっ!‥‥‥‥やっぱり、あれは夢だよな。うんっ!つうか女の子はあんな感じなのか。いやいや、今はそんな事を考えている場合じゃないんだった‥‥‥今のこの状況かなりヤバイんだよな。多分、此処は昔、一度来たことがある狂った場所。つうかそれよりもこの状態は‥‥‥」


「‥‥‥‥フワァ~!おはようございます。セツナ様」


俺が狼狽しているとソフィアさんが目を覚ました。


「お、おはようございます~!ソフィア‥‥‥さん」


「はい~、エヘヘ♪」


彼女は嬉しそうに俺の身体に自身の身体を擦り寄せて来た。いや待ってくれ、出会って間もない同士の筈なのに何でこんなスキンシップを取っているんだろうか?‥‥‥‥‥まさかあれは夢ではないのか?これは直接本人に聞くしかないか?


「ソ、ソフィアさん。まさか俺達‥‥‥‥」


「ん?はいっ!昨日の夜は楽しい時間を過ごせました~!トランプでっ!」


「へ?トランプ?」


「はいっ!セツナ様が教えてくれたトランプ。とても楽しかったです~!またヤりましょう。トランプッ!」


トランプ?そんなモノをヤっていた記憶なんて一切無いんだが。まぁ、トランプで遊んでいただけというのなら何の問題もないな。うん。


「あ、あぁ、そうか。昨日はトランプをずっと一緒にヤっていたんだったな‥‥‥‥‥そして、何かまた眠気が‥‥‥‥来た‥‥‥な‥‥‥ZzzZzzZzz」


「はい~‥‥‥‥私も眠くなって来ちゃいました‥‥‥‥スゥースゥー」スリスリッ!


ソフィアさんが俺の懐でスリスリさせてく喜んでいるのが見えた。そして、俺は再び深い眠りへと堕ちてしまった。



「結界に入れぬとは驚いたよ。そして、君達が落ちた場所は魔力濃度が異常に高いのだよ、他者に幻を見せる場所〖(もてあそ)びの泉〗と呼ばれる場所でね。一度入ればとある者の願いを見るのだよ。さぁ、この人外魔境の世界へと来てしまった事を大いに喜びたまえよ。こんな狂った、無慈悲な、愚かな、腐った世界に足を踏み入れた喜びに狂いたまえ。愚かで愚鈍な魔法世界(アリーナ)の住民達。そして、感謝する‥‥‥‥この泉に落ちてくれてね。〖機匣(きこう)(私)〗を解放してくれてね‥‥‥今回はそれに免じて見逃そう。君達。去らば」シュンッ!



こうしてまた誰も気づかず知らない驚異が外の世界へと解き放たれ、最後の時へ歩みを進めていく魔法世界(アリーナ)の終末へと‥‥‥‥‥。



◇◇◇◇◇


〖アテナ地方・不思議の森〗


樹海の様な森にとある金髪王女が現れる。


スタンッ!


「あっという間に着いた。日頃からエリスの地獄の特訓を受けているお陰ね‥‥‥‥此処を最後にギャラハットさんとサーシャの魔力残滓(まりょくざんし)が消えているわね‥‥‥しかし、この森。この木造の家って‥‥‥私を振ったあの女ったらしと一緒に冒険した入り口じゃない‥‥‥‥最悪。昔の嫌な思い出が甦ってきたわ。いや、今の私は盲目していた昔の私じゃないっ!〖幻獣の楽園〗で鍛えられて生まれ変わったのよ。新生アリスとしてねっ!」

〖ガリア帝国王女アリス兼《幻獣の楽園・筆頭戦力》〗


アリス王女が昔の淡い記憶に悶えていると空から二人の人物が現れた。


ストンッ!

タンッ!


「案外、早く着きましたね。アクスレナルさん」

《新皇の騎士・セレナ・ガリア・リストリア》


「えぇ、姫騎士様‥‥‥‥先遣隊の兵士を数十名送ったはずですが何処にも見当たりません。迷っているのでしょう」

《知世の騎士・アクスレナル・ベルギスア》


「そんな。それはとても心配です‥‥‥‥」


「心優しき姫騎士様‥‥‥‥なんとお優しい方。しかし心配は無用です。何せ、先遣隊に向かわせた兵士は皆。私の直属の部下ばかりですのでね」



「まぁ、それは頼もしいです。アクスレナルさん‥‥‥‥あら?こんな森深くに木の家と‥‥‥‥アリス御姉様?!」


「あっ!ヤバい‥‥‥見つかっちゃったか‥‥‥」


「‥‥‥‥はい?アリス姫ですか?姫騎士様ともあろう優秀な騎士が何をご冗談を述べていらっしゃるのです‥‥‥‥か?‥‥‥‥アリス王女様?」


「セレナ‥‥‥少し見ない間に大きくなったわね。色々と‥‥‥‥‥それとアクスレナルさん‥‥‥‥お久しぶり‥‥‥それじゃあ、また何処出会いましょうね。さようならっ!!」


アリス王女はそう告げた瞬間。二人の騎士から逃げ様と走ってはいけない〖不死議の森〗を走り始めた。


「あっ!待って下さいっ!アリス御姉様っ!!待ってっ!」


「追いかけましょう。姫騎士様‥‥‥‥逃亡したのには驚きましたが、数ヶ月行方不明になっていた姫が見つかったとなればガリア皇帝陛下もお喜びになられる筈ですっ!」


「は、はいっ!分かりました‥‥‥‥ガリア剣術・〖走破〗」ズズズ‥‥‥ズバンッ!!


「うわぁ、セレナ。早いじゃないっ!」


「何故、お逃げになられるのですか?アリス御姉様。止まって下さいっ!」


「じ、自由が欲しいからよっ!自由がねっ!セレナっ!追いかけて来ないでっ!」


「なりませんっ!捕らえさせて頂きますっ!」


「‥‥‥お覚悟をアリス王女」


「アクスレナルまで?不味い‥‥‥‥」


「イヒヒヒヒヒヒ!!!今日はやけにお客様が多いんだね~!良い事。良い事よお!!イヒヒヒヒ!!!さっきも鎧を着た人達が落ちて消えて行ったけど。今度は三人なのね~!‥‥‥ならご案内するよ。イヒヒヒヒヒヒ!!!」


「‥‥‥‥つっ!捕まった‥‥‥‥」


「捕まえましたよ。アリス王女」


「アリス御姉様。帝国へ一緒に帰りま‥‥‥木の上に猫?」


「‥‥‥‥何故、こんな森深くに猫が?」


「あれはっ?!不味いわ。逃げるわよ。二人共っ!アイツは不味いのよっ!」


「そんな事を言って逃げようとしても無駄ですよ。アリス王女」


「突然、行方不明になってお父様も悲しんでいられたのですよ。御姉様」


「いや、そうじゃなくて‥‥‥もうっ!逃げられなくなったじゃないっ!あのモテ男と旅をした場所にまた行く事にっ!」


チクタクチクタクチクタクチクタクチクタクチクタク!!!!


「イヒヒヒヒヒヒ!!!もう手遅れよ。ご案内は白兎君に頼んだからね。イヒヒヒヒヒヒ!!!」スゥー‥‥‥‥


不気味猫はそう言って姿を消した。


「あぁ、忙しいっ!忙しいっ!穴から行こうっ!忙しいっ!急がないと〖御茶会〗に遅れる。〖女王〗様に怒られる‥‥‥‥近道を使わなくては」


カチッ!


闇深い森から白兎が現れたかと思えば、近くに立っていた一本の木に手を置いた。すると底が全く見えない大穴が空き、白兎はその大穴へと何の躊躇いもなしに飛び込んだ。そして、白兎の近くに立っていたガリア人の三人も無抵抗に落ちて行く。


「な?身体が動かない?」


「アリス御姉様。私の手を掴んで下さいっ!このままでは、また。離れ離れに‥‥‥そんなっ!身体が動きません」


「無駄よ。セレナ‥‥‥‥これは彼女が私達。ガリア人に施した復讐‥‥‥〖ガリアの呪い〗だもの。絶対に逃げられないのよ‥‥‥‥」



こうしてガリア帝国の六騎士(シス・シュバリエ)の二人と行方不明中だったガリア王女は〖異界〗の国へと招かれたのだった。

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