アテナ地方の地理
〖七聖―女神―アテナ〗が守護する地を知恵と魔術と戦術が渦巻く大地と言われている。
魔法大陸で最大の生物が住む中での地理面積を誇り。東側をスパイング山脈に、北側をソロモン山脈、西側をヘスティア地方から連なる剣山が道を閉ざしている。
北はソロモン山脈中腹に〖七聖教会〗の総本山〖ソラリス・ラウス聖国〗が存在し。魔王が治める軍事国家〖魔王領〗があり、魔王領の南西中央に魔術院や魔法貴族が治める〖魔法中央国〗が人族側と魔人族側の中立国として中央に国を構え。その東側には傭兵と観光の国〖ソルム〗が独立国家として数年前に建国された。
そして、魔法中央国の南には禁則地〖不思議の森〗が広がり。更に南には魔法大陸の中で最大の国力を誇るガリア帝国があり。ガリア帝国の周辺には属国となる〖アルセ〗〖マルサ〗〖ムムア〗等の小国が帝国に滅ぼされず、各地方の敵国に対する緩衝材として生かされている‥‥‥‥‥。
〖アテナ地方・不思議の森〗
シュンッ!
「‥‥‥‥おぉ!!海からいきなり森ですかな?‥‥‥これが転移魔法ですか‥‥‥素晴らしい」
「何?此処‥‥‥‥木造の家?」
「何じゃ此処は?初めて来たのう」
「‥‥‥‥凄まじい悪意が集まって来てないか?神な‥‥‥‥」
「何をボーッとしてるんだっ!君達っ!!この中間地点に飛んだら、一斉に俺が渡した転移魔法陣を使えと言っただろうっ!!クソッ!気づかれるぞっ!!」
チクタクチクタク‥‥‥‥チクタクチクタク‥‥‥‥
「イヒヒヒヒッ!!キタノネ?キタノネ!来たんだね?少年!!お久しぶり!!さぁ、行こうね?お久しぶりにイコウネ?!イヒヒヒヒッ!!」
「何じゃ?木の上に大型の猫魔獣か?」
「‥‥‥‥いや、少しの差で俺達の勝ちだ。〖不気味猫〗。じゃあな」シュンッ!
「セツナ。あの猫はいったい何じゃ?」シュンッ!
「‥‥‥‥成る程。この家が〖異界〗への誘いを唯一の逃れられる場所ですか」シュンッ!
「何か‥‥‥‥頭がボーッとしてたわね」シュンッ!
「剣技大陸には無い〖異界〗か‥‥‥」シュンッ!
とある隠しの谷〖ロウトルの転移迷宮〗付近
シュバーンッ!!!
「間一髪だったな‥‥‥‥カグラさん。もう出てきて良いよ。〖姫を此処に〗」
シュンッ!
「あ、ありがとうございます‥‥‥か、神成君。あ、あの何で私はあの謎の空間で安全でいてもらう為に待機だったのでしょうか?それに何故、あれ程のご馳走を用意して頂いたり、天使族の皆さんの待遇はいったい?」
「‥‥‥‥君‥‥‥いや貴女は和国の名家〖ヨル〗一族の御令嬢。俺は和国の〖ヨル〗一族の人達には返しきれない借りがあるんだ。その一族の大切な御令嬢を転移して危険な目に合わせられないんだ」
「神成君。貴方は‥‥‥本家の〖ヨル〗一族にお知り合いがいるのですか‥‥‥ではお爺様とも面識があるのですか?」
「お爺様?‥‥‥あぁ、〖ガクライ〗さんの事か‥‥‥」
「‥‥‥‥あの。お爺様はお元気でしたでしょうか?私、一年前に和国を出て以来、お会いできていなくて‥‥‥」
「そうなのか?‥‥‥俺もガクライさんと最後に会ったのは一年前以上の前だが。元気そうにしてると思うよ。お互い最後は笑顔で別れたし‥‥‥‥貰った〖知人の絆の吸い盆〗には色があるしな」
「そうですか‥‥‥‥ありがとうございます。神成君」
「おいっ!セツナ。何が起こったか説明しろっ!ナンパをするな。フラグを建てるな。そんなに色々な女達と重婚したいなら何処ぞの国の王になってからにしろ。何なら魔王領かセルビア国のどちらかの王になるか?お主」
エスフィールが何故か切れて意味の分からん事を言い始めたぞ。
「別にフラグなんて建ててないぞ。エスフィール。カグラさんは昔、和国で世話になった人の親族なんだ‥‥‥‥それにさっきのいきなり起きた二回目の転移は遅延詠唱を使っただけだぞ。あの〖不気味猫〗きら逃げる為にな」
「〖不気味猫〗?‥‥‥そんな者あの家に居ったか?レイカ」
「‥‥‥‥ボーッとしてたから分からないわ。それよりも何か気分悪くなってきたわ」
「俺もだレイカ姫‥‥‥」
「神成氏‥‥‥‥これはいったい?姫君、エスフィール嬢、アマルダ氏の魔力回路がおかしな事になっておりますな」
「君の治癒魔法で治してやってくれ。エドワード。落ち着いたら〖ロウトルの転移迷宮〗へ入り、剣技大陸の転移魔法部屋に向かおう」
「‥‥了解です。僕も少しボーッとしますがね。この位ならなんとか自分で治せますな」
「〖魔眠〗‥‥‥それがあの〖不気味猫〗の力なんだ。アヤネや委員長の時は何とも無かったんだけどな。あの二人の場合は魔法を使い始めだったから、効かなかったのか?‥‥‥‥どうやら、魔法耐性が高い奴はアイツの魔眠にかかりやすいんだな」
「ほう。それは厄介な生き物ですな‥‥‥‥〖無闇の反転よ、〗」
エドワードはそう言って魔力回路が不安定になった皆を治し始めた。
◇◇◇◇◇
〖ロウトルの転移迷宮〗内部
「こっちですかな?」
「違う。こっちだ」
「あっちかのう?入り組んでおるな‥‥‥」
「いや、真っ直ぐだな。あともう少しで着く」
「な、何で分かるのよ?こんな入り組んでるのに凄くない?神成君」
「此処を造ったロウトルは数世代前の七聖―女神―アテナの眷属だったんだ。だから現代の―女神―アテナの眷属の俺には何処の魔法陣を踏めば何処に繋がるか分かるんだよ」
「眷属の特権というやつですな。歴代の眷属方の知識を使えるのですよとある条件を満たすとね」
「満たす?」
「そんな話をしている間に着いたな‥‥‥‥剣技大陸の〖海底遺跡〗への転移魔法陣の部屋に‥‥‥」