色々考え眠りに落ちる
色々考え眠りに落ちる
魔王エスフィールとの最終決戦後。なぜかこちらの世界(地球)に帰ってきてから長い1日が終わろうとしていた。
次元の間に吸い込まれ元の世界に戻り。今は自室のベットに横たわりながら今日1日起こったことを1つ1つ思い出しながら整理しよう。
まず大きな出来事はアリーナで過ごした時間は4年~5年ほど経っていたはずなのにこちらの世界で戻った時の年齢が、アリーナに飛ばされた時の外見と変わっていなかった。
これはいわば精神年齢的なヤツが肉体年齢よりも歳を取ってしまったということだろう。
なぜ、そんなことになったのかというと俺の勝手な憶測だが、これはアリーナの女神のギフトだと思われる。アリーナ(その世界)での驚異、つまり、アリーナでいうならば現況の魔王エスフィールを、こちらの世界に連れてきてしまった影響では無かろうか?
驚異といっても強い力を指すわけではなく。魔力総量、周りへ影響力、財力等々、エスフィールの場合は、魔法族である為の魔法総量が一つの原因なのでは無いだろうか。
エスフィールと1日過ごして分かった事だがあの子は別にアリーナの世界を征服するというよりも。魔族の生活や地位の保障等、魔族を保護するために動いていた気がする。
それにアリーナの女神というのも気まぐれであり、余り関わりに会いたくない存在でもある。
アリーナにとっては当たり前の存在なのだが。別世界からやってきた俺からしたら少し異質に感じる出来事がアリーナを冒険中に多々あった。
こちらの世界で俺とエスフィールが魔法が一切使えなくなったのも女神が絡んでいると俺は勝手に推測する。
「その対価が若がえりか?―女神―様よ」
そう、呟いているうちに眠気に襲われ、深い眠りに落ちていった。
?
???
ここは?どこだ?
意識が、ボーッとする。そうか、色々考えている間に寝落ちしたんだった。
「やーやー!!やっと会えたね!我が、最愛の弟子よ!大魔術師マーリン先生だよぅ!」
頭が混乱していたが目の前から懐かしいような。胡散臭いような声が聞こえてきた。
「もしもーし?聞こえているかな?我が弟子?感極まって言葉も出ないかな?泣いちゃった?」
人をおちょくる様なこの言い方。間違いないあちらの世界アリーナで、師として魔法や剣術等を叩き込まれた魔術師マーリンだ。
「どちら様で?」
「よーし!覚えの悪いバカ弟子には、後で呪いをプレゼント!!」
「お久しぶりですね。先生。今日もとてもお美しい!」
「やっと思い出してくれたかい!いやー良かった!良かった!」
そう言うとうんうんと首を大袈裟に振りながら。にんまりこちらを見てきた。
この魔術師マーリン。こちらの世界ではブリテンのアーサー王伝説で有名な宮廷魔術師マーリンが有名だろう。
確かあちらの方はかなり歳をとっていたとネットで調べた記憶があるが。同じ名前でもアリーナのマーリンの見た目は髪はブラチナブロンドで顔つきは16~18才位の可愛らしいお姉さんという感じで俺が、お姉さん好きになったのもアリーナで色々世話になったマーリン先生の影響がモロである。
「それで?何で先生が地球にいるのですか?」
「地球?あー!君が以前、飛ばされる前に住んでいた所だよね?でもここは、地球では無いんだ!!」
「地球ではない?」
「そうそう!」
「ではここはどこなんです?」
「夢の中だよ!我が弟子!」
「では今すぐ起きます!さようなら!」
「あー!無理無理!私の話が終わるまで起きれなくしてあるから!」
「なんだと?」
「下手なことは考えず素直に私の話を聞いてた方がお利口だよ」
そう言われ近くまで来るように手招きされた。
「くっ!では早く用件を行ってください。それとなぜ、先生が夢に現れたのですか?」
「夢もまた1つの世界なのさ!アリーナと地球の次元が違っていても私、程の力があれば夢渡りやなんて事も出来るのだよ」
さすが、アリーナの世界でも最強クラスと言われてるだけあり。規格外すぎる。次、寝るときちゃんと対策しておこう。
「そうなんですね~!いや~さすが、先生!では早くご用件をどうぞ!」
「そんな慌てない慌てない!師と弟子の久しぶりの再会なんだからゆっくり話そうじゃないか!」
いやなこった!やっと地球に帰ってきて地球でのマイライフを静かに過ごすと決めているのだ。
今さら、剣と魔法の異世界ファンタジー等に関わりたくないのだ。(戦利品である魔法アイテムは、生活向上に遠慮なく今後も使わせもらうがな!ハッハッハ!)
「では、なぜ?先生が夢渡りまでして俺なんかに会いに来たのでしょうか?」
「いや~!君と魔王さんがいなくなってから色々大変なんだよ。だから私としては早めに戻って来てもらわはないと困るんだよね!」
「戻って来てもわないと困る?」
「うん!」
「なぜです?」
「キミ!アリーナ世界いや。エウロペ大陸にあった貴重な魔道具や神器や財宝やらどっかに隠したでしょ?エウロペ大陸の国々ではそのせいで今、大パニックさぁ!」
「さっぱり分かりません!」
「えっ?そうなの?」
嘘である。エウロペ大陸にいた時、少しでも暇があれば自分の転移魔法で色々な国に行っていた。
勇者パーティーメンバーには転移魔法というスーパー便利な魔法を使えることは黙っていたが。
その時である国々に散らばる金銀財宝。レジェンドアイテム等をせっせと集め回ったのだった。変わりの物は複製魔法で土から作ったオブジェに差し替えた。
なぜ、そうするかって?勝手に平和な地球から危険極まるアリーナなんかに勝手に呼んでお前が勇者だ!魔王を倒せ!いきなり言われ。魔王討伐後は抹殺、投獄の話を姫様から聞いたからだ。
複製魔法には俺が死ぬかいなくなった後に土に戻るように細工してある。
そうか、俺が地球に戻ったせいで複製魔法が切れたのか。
ちなみにそれらの今の所在はこちらの世界に一緒にやってきた相棒の魔法の袋に入っている。
袋の奥底に封印魔法で俺、以外に取り出せないので一緒見ることや使う事は無いだろう。
話を戻そう。
「はい。何も分かりません!」
真剣な眼差しで世界を見る
「こっちをまじまじと見ないでくれないかい!恥ずかし!!」
マーリン先生が顔を赤らめて視線を外した。
修行時代もこんなことが度々あった。なぜ恥ずかしがるのだろ?未だにわからない。
「ここまで真剣にわからないと言われたのならこの件に関しては君は、なにも関係無いみたいだね!良かった!良かった!先生もひと安心だよ!」
嬉しそうに俺の頭に手を置いて髪の毛をワシャワシャしてくる。
「そっ!そうですね!(汗)」
先生は結構、大事な事でポカをする。今がそれだろうか?
久しぶりに弟子に会えて深く疑わないからか?
俺が去った後のエウロペ大陸では色々と起きていて疲れているのだろうか?分からないがバレないならまぁ、いいか。
「では、話はもう終わりですね!今回は夢の中で会えてとても嬉しかったです。またどこかでお会いできる事を心から思います。今までありがとうございました。さようなら」
THE テンプレを早口で言い終え俺は後ろを向いた。
「いやいや!まだまだ話す沢山あるよ!なに逃げようとしてるんだい?我が弟子よ!」
この悪夢はまだ、覚めないらしい。
フムフム、俺がいなくなった後。みんな偉くなったり。ぶちのめしたい相手がいたり大変らしいなぁ!
地球に戻って魔法が使えなくなった俺には関係ないが一緒に苦楽を共にし。魔王討伐の旅をした仲間の事を少しだけでも聞けて少し安心した。
その他にも色々聞いたがまた後でエスフィールにでも説明してあげよう。
「セツナ君!長々と話に付き合ってくれてありがとう。突然いなくなった時は、びっくりしたけどこうやって会えて良かったよ!」
マーリン先生は、太陽の様な笑顔でそう言ってくれた。
「俺も最後に先生とお話できて良かったです。アリーナにいた時は本当にありがとうございました。このご恩は一生わずれません(3時風)!」
そう言うと先生は少し泣き出していた。
「うん!うん!………!あっそろそろ時間だね!セツナ君!もうこれで会うことは無いと思うけど!元気でね!私、もセツナ君と出会えてとても、……とても楽しかったよ!」
先生はポロポロと涙を流しながらぼそぼそと言った。
「では、先生またどこかで会えたらその時は先生の好きなケーキ屋でも行きましょう。」
「うん!約束だよ!我が弟子セツナ!今までアリーナ為に色々ありがとう!さようなら!」
先生が泣きながら精一杯ブンブンと手を振る。
徐々に意識が霞む夢の中で眠るってどうなんだろうと思いながら俺は、夢の中での意識が無くなった。
夢を夢を見ました。アリーナの時に師事していたマーリンという大人のお姉さんだっかな?
冗談はさておき。まさかあの先生が夢渡りまで使って接触してくるとは…………俺は急いで枕元に置いていた魔法の袋に手を突っ込んだ。
ゴソゴソ、ゴソゴソ!うーん!これじゃない?!これでもないぞ?!数分間。袋の中を漁ってやっと見つけた物を取り出した。
夢魔やサキュバスの誘惑対策用に作られた魔道具(赤い小さい球体の魔宝石)を手に取った。
今後はこれを身に付けて寝ることに決めたのだった。
俺の地球での安寧。マーリン先生だろうと排除するのだ。
というか毎日毎日夢の中で会いに来られたら面倒さいしな。うん。
魔宝石も首にかけ。俺は再び深い眠りに着くことにしベットに横になった。今後はアリーナとはエスフィール以外の事では極力関り合いになりたくないのだ。
一方、別世界アリーナ・魔術院・理事室では、
「うっ!うーーん!くっ!」
夢渡りを終えた私、魔術師マーリンは夢の世界から現実の世界アリーナへ意識を戻し目を覚ました。
「マーリン様?マーリン様がお目覚めになられたぞ!すぐにお飲み物と最上級の菓子を用意するのだ。」
起きたとたんこれである弟子との今生の別れに感傷に浸っているのだからもう少し静かにしてほしいものである。
「マーリン様、夢渡りお疲れさまでした!お体は大丈夫でしょうか?」
と、聖女ことエリナ・セレスが私の顔心配そうに覗き込んでいた。
その隣には我が弟子セツナと同じ我が弟子のリーナ・サーシャが仁王立ちで立っていた。
「大丈夫!大丈夫!ピンピンしてるよ!この通り!」
腕をグルグル回しながら心配そうなセレにアピールした。
「‥‥‥年増が無理するものではない‥‥‥‥お師匠」
とっサーシャが、余計な一言を言ってくる。
「誰が、年増だい!私はピチピチのギャルだよ!」
「そうですよ!サーシャ!マーリン様に失礼ですよ!あ、あの!そっそれで夢渡りで夢の中で勇者様。セツナ様とはお会いできたのでしょうか?」
私の心配は建前で本命は我が弟子であるセツナの安否である。
この反応からしてまだ諦めていないらしい。だが私の徹底した教育で大人女性にしか興味が無いように洗脳してあるので相手にされなかったのだろう。
あの天然の女誑しめ!
「安心してくれ聖女様!我が弟子セツナとはちゃんと会えたよ!今から説明する。」
「本当ですか!ぜひ、お聞かせ下さい。マーリン様!」
私は夢の中でのセツナとのやり取りを事細かに説明した。厄災の窃盗事件に関与していないこと。地球に戻れたこと。魔法の力を失い魔法が一切使えなくなったこと。仲間の安否を心配していたこと等、詳しく話した。
聖女様事、セレスは、私が話すことを1つ1つに小さく頷きポロポロと泣き始めた。
「そうですか、勇者様は魔王討伐後。元の世界に無事帰れたのですね!そうですか!無事だったのですね!良かったです!良かったです!」
そう言いなから止めどなく涙を流していた。
サーシャは天井を眺め遠くを眺めていた。この子も感情を余り表に出さないがセツナが無事であることを知り、喜んでいるのが分かる。
だが、数秒後、目を見開いて私を見てボソッと
「お師匠!」
「なんだい?可愛い!サーシャ!」
「夢渡りは‥‥お互い魔力が無いと成立しない‥‥‥」
私はハッとした確かにそうだと!弟子のセツナに会えて嬉しさの余り夢渡りの発動条件を忘れていた。
しかし、セツナは地球では魔法が一切使えなくなったと言っていたが夢の中ではどうだろうか?夢もある種の1つの世界!セツナに説明したことを今、思い出す。
夢の世界ならばセツナの魔力も戻り私からセツナに干渉できるのだ。
「もっ!もう一度夢渡りでセツナにあってくるよ!」
というと聖女様が!
「もう一度ですか?それは可能なのでしょうか?」
「上手くいけばセレスとサーシャも一緒に夢渡り出来るよ!」
「ぜひ!よろしくお願いいたします!」
めちゃくちゃ元気に言われてしまった。
先ほどよりも早く夢渡りの魔法を自分にかける2回目なので最初よりもスムーズに発動し私は深い眠りに着いた。
「さー!我が弟子また会えるよ!」
…………会えなかった!
「あのバカ弟子!!夢渡りを、阻害魔道具で夢に入れないように阻害魔法をかけたなあーーー!あいつーーー!!!」
私は吠えるように叫んだ。




