世界最高峰の鍛冶師〖アーンドラ・エルダム・アマルダ〗
今回は少し長くなり、6000文字になってしまいました。すみません。
俺は少し前、魔道船に使う為の素材や道具を造船都市の中心部に店を構える〖武器や船など多種多様な加工物を良質に造ると評判の店、〖加工屋・レメル〗にやって来ていた。
店に入るとそこにはヘファイストス地方の〖オアシス〗で鍛冶屋を営んでいる筈の『七刀鍛冶師』の1人にして、大都市オアシスが誇る魔道具鍛冶師〖カンナ・イズルギ〗が待ち構えていたのである。
「‥‥‥何でカンナがティアマト地方に居るんだ?」
「えっと‥‥見聞を広げる的な?‥‥‥」
「‥‥‥‥何処で俺が魔道船を造ると聞き付けた?」
「‥‥‥‥えーっと何処でだろうね?エヘヘ‥‥‥」
俺が魔道船の情報を何処で手に入れたのか何度聞いてもはぐらかされる‥‥‥コイツ。わざわざ、ヘファイストス地方とヘスティア地方に流れるアクレール運河の魔道船に乗ってまで、こんな遠い所まで来たんだよな‥‥‥‥俺の魔道具技術を盗みに‥‥‥‥アホか?
「いや、聞こえてるんだけど?心の声が駄々漏れだよ。セツナ」
「そうか‥‥‥なら、もうヘファイストス地方に帰って良いぞ。君が入ると色々とトラブルが必ず起こるからな。特に女性関係の勘違いが起きて俺が痛い目に合うのが目に見えている。帰れっ!」
「ばっきゃろうっ!誰が帰るかっ!アホっ!技術を新しい魔道具の技術を私に見せろっ!君が造った魔道具を私に寄越せってっ!魔道具技師ナルカミ!!!」
「その名を大声で言うなっ!それに俺にそんな技術なんて無いんだよ。全ては地球の知識を応用だっ!つまりパクりっ!」
「アース?何それ?いや、それよりも今は技術を‥‥‥」
「‥‥いや、それよりも何処で俺が魔道船を造ると情報を知った?吐けっ!貴様‥‥‥‥」
▽▽▽▽▽
そんなやり取りを永遠と続けていると、第二のトラブルとなる人物が扉を開けて入って来た。
今の俺の目の前には、小柄な美少年エルフが不機嫌そうな顔で俺を見つめている。
「昔、会った頃よりも小さくなったか?クソガキ。カミナリ」
「背が低いと態度だけはでかくなるんだな?アマルダ」
「へ?アマルダって‥‥‥魔法世界の最高峰の鍛冶師にして、剣技大陸の王カンナギ王家に代々仕える鍛神アマルダ様?」
「いや、コイツはただのクソガキだぞ。カンナ」
「いや、コイツの方こそ礼儀知らずのクソガキだ。美しい娘よ」
「キャッ!美しい娘だって。セツナ。この人は正真正銘のアマルダ様だよっ!美少年エルフだしね」
「‥‥‥‥何、照れてんだ?カンナ。アマルダは齢数百年は生きる長が付く年寄り腹黒エルフだぞ‥‥‥この年寄りエルフときたら初めて出会っ時も‥‥‥‥」
▽▽▽▽▽
『フレイヤ地方・ギルド火炎と落雷の秘密の工房(孤児職業訓練場)』
ギイィィィ!!!
「‥‥‥‥此処か?最近、新技術を幾つも編み出して画期的な武器を造っている鍛冶ギルドと言うのは?おーいっ!誰か居ないのか?俺は剣技大陸から海を渡って来た鍛冶師・アマルダと言う者なのだが、この店に革新的な技術を持つナルカミとか言う少年が居ると聴いて来たんだが‥‥‥‥」
「‥‥‥‥アマルダだって?‥‥‥‥〖竜殺しの剣〗で有名なアマルダ?‥‥‥‥‥〖神気・操〗・〖可夢偉〗っ!!」
スパンッ!!!
「なっ?!貴様、客に向かっていきなり何をする?俺はナルカミとか言う少年に会いに来ただけなんだぞっ!」
「ナルカミ?‥‥‥‥あー、そんな人など存在しません。それに此処は孤児達の職業訓練場であって、新技術を幾つも編み出している鍛冶ギルドではありません。お帰り下さい。このやろう」
「貴様‥‥‥年上である俺に向かって、何足る口の聞き方だ?礼儀と言うのを教育してやろうか?クソガキ」
「ショタ顔エルフが何言ってんだ?長命種だからって、人族舐めんなよ。クソガキ」
「アッ?!」
「アンッ?!」
「貴様‥‥‥‥少し表に出ろ‥‥‥‥いやっ!待てっ!貴様‥‥‥き‥‥‥‥お前が手に持っているその武器は何だ?‥‥‥‥何の加工をすればそんな形‥‥‥構図の武器を造り出せる?」
「ん?魔銃の事か?‥‥‥‥こんなのタブレットのデータの中ににあった知識をそのまま丸パクりしただけだ‥‥‥てっ、言っても此方の世界の奴には分からないか‥‥‥」
「タブレット?‥‥‥‥何だそれは?い、いや、そんな事よりも。その銃とやらを俺に売ってくれっ!金なら幾らでも積むっ!頼むっ!その未知の武器に触れたいんだっ!」
「‥‥‥はっ?普通に嫌なんだが?つうかギルド意外の他の奴にこれを触らせる予定も売る気も無いしな」
「‥‥‥なん‥‥‥だと?」
「俺はこの世界に飛ばされてから、色々と荒れてたし、今も忙しいんだ。スヴァローグのお陰で心も落ち着いてきたし、拠点もあっちこっちに作ってるし、養わなきゃいけない子達も沢山できた。だから稼がないといけないんでね。冷やかしなら帰ってくれ」
「冷やかしではない。これは魔法世界の現代技術を一歩でも進ませる為の必要な交渉だ」
「ほう。そうかい。なら頑張ってくれ。地上の種族の筈なのに神の域までその技術を高めた〖鍛神〗アマルダ様‥‥‥こっちは明日、明後日を生き残る為に必死に日銭を稼いでる身なんでね。だから、遊んでる暇も無いし、いつその大金が貰えるか分からない交渉なんかを聞いている暇は無いんだ‥‥‥‥アンタみたいな高位の存在と話してる暇もな。分かったんなら帰ってくれ。さようなら」
「ムッ?何だ?セツナよ。我が寝ている間にお客人か?ならば奥の客間にでも‥‥‥」
「違う。違う。冷やかしだよ。高級服に身を包んだ。高貴な高位エルフ様のな」
「ムッ?高位エルフ?‥‥‥そんな者が何故、こんなスラムの一角に来ているのだ?‥‥‥‥」
「さぁ?変わり者何じゃないか?知らんけどな。それよりもフエゴの奴にこの魔銃を使う訓練をそろそろさせて‥‥‥‥」
「ふざ‥‥‥ける‥‥‥な」
「‥‥‥は?アンタまだ居たのか?さっさと帰んないと野良の魔法拐いが集まって‥‥‥」
「ふざけるなと言ったんだ。小僧っ!!その貴様の魔銃とやらの技術がこの魔法世界の近代技術に加われば、あらゆる戦争の戦術が変わるんだぞ。弱い国がそれを持てば大国が侵略した時の抑止力となり。無駄な争いも減らせるというのに、貴様はそれを仲間同士でしか共有しないというのか?バカなのか?貴様はっ?!」
「‥‥‥‥こんなのを造っていればそのうちアンタみたいなのが寄って来て、俺の知識を盗んで広め様と考えるだろうなとは思っていたよ‥‥‥‥スヴァローグ。少し暴れて来るから、ここの戸締まり宜しくな。数刻には戻る」
「ムッ?そうか‥‥‥余りやり過ぎるなよ。セツナよ」
「何だ?貴様っ!やる気か?俺はこれでも双神の眷属‥‥‥」
「知るかよっ!好き放題言いやがってっ!こちとら、此方の世界に飛ばされて未だに荒れてて、気性が荒いんだよっ!ぶっ飛ばすっ!神気・操・〖非弾〗」
「チッ!エルフ族の話は最後まで聞くのがマナーだぞっ!クソガキっ!!〖雷双〗」
ドゴオオオン!!!バリバリバリバリッ!!!
▽▽▽▽▽
「そうだ。お前との出会いは最悪なものだった。その後は一週間ほど闘いが続き、俺がお前に俺の鍛冶や加工のあらゆる知識と技術を教える事によって〖魔銃〗の事を教えるという契約で解決したんだったな」
「‥‥‥‥あぁ、あれは安い買い物だったな。アンタが交渉下手で助かった‥‥‥後、アホで」
「‥‥‥貴様、今、余計な事を言わなかったか?」
「いや、何も‥‥‥」
「そうか‥‥‥それよりも一年前にお前‥‥‥ナルカミと今でも名乗っているのか?お前は」
「ん?呼び方は人それぞれだが‥‥‥別にアンタ‥‥‥アマルダとはそこまで仲良くないし。神成様と呼んでもらって構わないぞ」
「分かった。今後は神成と呼ぶ」
「いや、様付けろよ」
「神成。一年前、お前に依頼したお前が作成した武器は完成しているのか?俺がこの魔法大陸に来た理由の一つにお前と会い武器を回収する為でもあるんだが?」
「‥‥‥‥その言い方。何かストーカーみたいだな‥‥‥‥少し待ってろ。えーっと確か〖黄金の宝物庫〗の中のガラクダ置き場に適当に放置してた筈」
「おいッ!貴様、今、ガラクダ置き場と言ったのか?」
「いや、だから、少し待ってろよ。ショタジシイエルフ」
「何だと貴様っ!」
「ねぇ?そろそろお話終わった?終わったんなら、私にもそのガラクダ武器を見せてほしいんですけどーっ!凄い興味あるんですけどーっ!何?この収納魔道具に入ってるの?どれどれ」
「アッこらっ!勝手に〖黄金の宝物庫〗に触ろうとするな。カンナッ!いきなり触ると‥‥‥」
「触ると?」
「カンナの身体中に雷撃が走る」
「へ?」バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリッ!!!
「キャーーーッ!!!」
「‥‥‥‥ほら、言わんこっちゃない」
「何だるこの娘。良く見たら、魔道水晶を考案したカンナ・イズルギじゃないか?何でこんな場所で黒焦げになっているんだ?」
「‥‥‥‥さぁ?コイツも相当な変わり者だから。黒焦げに成りたかったんじゃないのか?」
「しょ、ションなわけ無いでしょう‥‥‥ガクッ‥‥‥」
「おっ!あったあった。ほれ。何年か前にアンタに頼まれてた。属性付与術式が可能な杖と剣合わせて百本な。開けっ!そして、アマルダにのしかかれっ!武器よっ!」
俺がそう唱えると。取り出した大量の武器はアマルダの頭上へと降り注いだ。昔の恨みを今、晴らしてやろう。
「フンッ!〖回収しろ〗。ルクスルよ‥‥‥」
シュンッ!
アマルダがそう告げた瞬間。空中に浮いた大量の武器が一瞬だけ光、消えてしまった。
「‥‥‥‥あんな大量の魔法武器を一瞬でしまうとはな。驚いた」
「フンッ!だてにアーンドラの名を名乗って居ないのでな‥‥‥‥いや、待て。それよりも此処に来たのは本来、お前が神々と此処に居ると双神様のお告げがあったからだった」
「双神様のお告げ?‥‥‥‥何じゃそりゃあ。様が済んだのなら、さっさとお帰り。これ以上のトラブルはもうお腹いっぱいなんだ。早く魔道船を完成させて別の大陸に向かわない‥‥‥と」
しまった。アマルダの奴に余計な事を嘴ってしまった。
「何?魔道船だと?お前が造るのか?‥‥‥‥そういえば、この工房には多種多様な高品質の魔法素材があるんだな‥‥それにあれはまさか伝説の〖オリハの鉱石〗か?‥‥‥今、思えば此処は造船都市だったな。そこの黒焦げの魔道具師に、外にドワーフにあれは〖オアシス〗の鍛冶職人達か?‥‥それに何だ?あの見たことも無い巨大船はっ?!」
ヤバいヤバいヤバいヤバいっ!!!カンナに続き、めんどくさい技術者に魔道船の製造がバレてしまう。
「いや。あれやこれは全て偽物何だ。だから、アンタは大人しく自身が乗ってきた魔道船で剣技大陸に帰ってくれ‥‥ほれほれ、そろそろ。店じまい‥‥‥」
「黒焦げ娘。コイツは何を造っているんだ?答えてくれれば、俺が最近造ったオリジナル武器を無償で提供してやろう」
「鍛神アマルダ様のオリジナル武器?!う、うん。答えるよ。セツナはね。今、此処で‥‥‥」
「おいッ!止めろっ!武器オタクっ!それ以上しゃべる‥‥‥‥」
「世界最大級の魔道船を造っているんだよっ!」
だよっ!だよっ!だよっ!だよっ!
こ、この魔道具オタク。よりにもよって鍛神アマルダの前で喋りやがった。
「ほう‥‥‥‥世界最大級の魔道船とは‥‥‥‥ほうほう。それはあらゆる技術者達とあらゆる最高級の素材が使われるということだな。神成」
「‥‥‥‥いや、アンタはさっさと剣技大陸に帰りなさい」
「フッ!誰が帰るか。もと言い今は帰れんのだ」
「は?帰れない?何で?」
「今、俺は剣技大陸にある魔剣学園の教師として、この魔法大陸に海外旅行に来ていてな。そして、この造船都市で数名の生徒が行方不明になって捜索中なんだ」
「生徒が?‥‥‥‥行方不明?それって大変なんじゃない?」
カンナが怪訝そうな顔でアマルダを見ている。
「‥‥‥‥いや、なら、こんな所で油売って無いで生徒を探せよ。駄目教師。何、やってんだっ!アンタはっ!」
「いや、奴等は強い。だから何処に行こうと生き延びるから大丈夫だ‥‥‥‥だから、奴等が行方不明中の間の全ての時間。お前の造る魔道船造りに無償で手を貸してやろう」
だ、駄目だコイツ。目が完全に者造りの狂信者になってやがる。様は行方不明中の生徒なんてどうでも良いから、俺にも魔道船造りに参加させて、造船をやらせろって事だな‥‥‥‥うーん。コイツはアホだっ。
「そうと。決まれば、俺様は魔道船に付ける大砲や魔道具の設備等を担当してやろう。そして、お前達は隙間の時間に俺と魔道具談義だ。そして、今日は徹夜だな。ハッハッハ。そうか。俺はお前の手伝いをする為に此処に導かれたんだな‥‥‥一流技師達。一流の素材。一流の知識がこの造船都市〖エヌマ〗に集まっている。行方不明中の生徒など、くそ喰らえだ。アイツら、何時も俺に迷惑をかけているから良い気味だな。ハッハッハ。」
「コ、コイツ。喜びの余り可笑しくなってるぞ。カンナ」
「フッ!それが技術の探求者というものだよ。セツナ」
「よしっ!先ずはこの最高級素材を加工して‥‥‥可変式の‥‥‥」
アマルダがそう言って、俺が〖黄金の宝物庫〗から取り出していた。アルハン鉱石を手持ち気持ち悪い笑みを浮かべた瞬間だった。
バタンッ!!!
「何処にも居ないと思ったらこんな高級武器店に入り込んでたんですか?アマル君‥‥‥全く。レイカさん。ユグドラ君。カグラさん。ユナさんプラスしてグレイさん達生徒が行方不明になったというのに何をやっているんですか?〖フルムの火〗」
「ア、アマルダ様。探しました~!この造船都市の滞在日数もかなり伸びたせいで、魔剣学園生徒の宿泊費が底をついて今日から野宿生活です~」
メイド服を着た可愛らしい少女と爆乳緩フワ系美少女が何かを揺らしながら、勢い良く侵入してきた‥‥‥‥おいおい。次から次へとトラブルが舞い込んで来やがる。何だ?最後は爆発落ちか?‥‥‥‥つうかあのメイド服の少女。今、行方不明中の生徒の名前の中にユナとか、グレイって言わなかったか?‥‥‥まさかな。
「おおぉ!!これはバルサムの毛皮か?神成よっ!良くもまあこれ程の最高級素材を集めたものだな‥‥‥これならどんな職人達も魅了す‥‥‥グオオオオ!!!!あ、熱い!!!お、俺の身体が燃える!!!」
ドガアアンン!!!
「ギャアアアア!!!!!!」
アマルダがヒダルマになった瞬間だった。
「何ですか~!爆発させるんですね~!アレイ様~!任せて下さい~!えい~!」
「は?いえっ!ソフィアさん。私はそんな事一言も言ってません‥‥‥‥」
ドガアアアアアアアアンンンンンン!!!!!!!
「「「「ギャアアアア!!!!」」」」
とてつもない。爆発と共に〖加工屋・レメル〗の建物と俺達は突然起こった爆発に巻き込まれて吹き飛んだ。
ちなみに店の中にあった魔法素材や魔法武器は何一つ傷つくこと無く無事だった。
‥‥‥‥そして、この騒動が済んだ後。俺は驚く事になる。突然現れた、メイド服少女と爆乳美少女はユナ・エスフィールの知り合いであり。彼女と共に暫くの間。衣食住を共にしていたという事と‥‥‥その彼女が現在、行方不明中であるということを。