新拠点と数多の素材
〖アレスの灯台〗
「何?ヘファイストス地方から魔道具師の集団が魔道船造りの手伝いに来ただと?追い返せっ!」
「いや、親方。それだけじゃねえんです。アテナ地方、ヘスティア地方、フレイヤ地方からも次々と支援者や技術者が集まって来ていやす」
「‥‥‥‥ばっきゃろうっ!この巨大魔道船はティアマト地方の造船技師とユグドラシル地方のドワーフ達で造りあり上げ、利権を貪るんじゃあっ!バカンモンッ!」
「いや、心の声が駄々漏れなんだよ。ドワのオッサン」
「お、お前は〖魔道技師・ナルカミ〗?!何で此処に居やがる?お前は確か〖海底エリア〗にある海底領域・エリドゥに向かったんじゃねえのか?」
目の前の腹黒そうなドワーフは―女神―ユグドラシル様が引き連れて来たアウルゲル (ドワーフの国)の造船部門の職人。造船長・ドワのオッサンである。何でも彼等の加工技術は世界最高峰だと言われている。
「行こうとしたけど。転移できなかったんだよ。ティアマト様の力が完全に戻るのに数日かかるらしくてな。〖海底〗〖深海〗の都市に転移するのもまだできないんだよ‥‥‥つうか、海闘の国・エリシュと海底領域・エリドゥに向かうにもそれぞれの海上浮上門がまだ開かないから〖海底〗と〖深海〗の行き来がまだできないんだ」
「‥‥‥‥おぉ、難しい話は良く分からんっ!では、ワシはそろそろ魔道製造に戻らせてもらうわい。去らばっ!」
「あっ!おいっ!俺の愚痴をもっと聞いてくれよっ!ドワのオッサンッ!!」
「知り合って間もない人にそんな大切な情報をベラベラと喋っては駄目よ。君」
「レヴィアタンか‥‥‥しょうがないだろう。最近、転移ばっかりしてて疲れてんだからさ‥‥‥」
「そう‥‥‥‥なら、私の胸で少し休みなさい」
「は?お、おいッ!止めろっ!皆、見てるんだぞっ!ムガァ?!」
レヴィアタンが俺をいきなり自神の豊満な胸に押し付けた。おぉ、これなんとも凄い弾力が‥‥‥‥
「少し頑張らせ過ぎたわね‥‥‥ごめんなさいね。私は〖悪性〗側だから気づくのが遅れてしまって、だから、私はいつも後手になるの」
レヴィアタンはどこか暗い顔になった。
「後手?何‥‥‥‥ボホッ?」
俺がレヴィアタンに何か聞こうとした瞬間。レヴィアタンの胸から解放された。
「とうかしら?少しは私の〖輝黒水〗に癒されて、疲れが取れたかしら?」
「疲れが取れただって?そんな‥‥‥羞恥プレイで身体の疲れが取れるわけ‥‥‥‥‥メチャクチャ取れてる?‥‥‥‥しかもアプスとの闘いの疲労も?!」
「フフフ。これが神の叡智よ」
「‥‥‥‥‥凄いこれが神の叡智か‥‥‥‥」
「言葉に少し気になる所があるけど、スルーするわね‥‥‥‥それよりも君、そろそろ、この魔法世界での本拠地を持った方が良いのではなくて?」
「本拠地を持つ?何でだよ?そろそろ、俺は此方の世界の人族じゃないんだぞ。エスフィールが見つかればあっちに帰るしな」
「‥‥‥‥そう。でもどうせ、此方の世界にはまた来るのでしょう?なら誰にも害を及ぼされない安全な場所を確保しといた方が良いのではなくて?」
「安全な場所?‥‥‥‥そんな場所、この魔法世界にあるわけ無いだろう?世界各地に魔獣や多種族が縄張り争いを常日頃からする様な世界何だぞ」
「なに言っているの?あるじゃない‥‥‥‥つい数日前に貴方や私が無力化したこのティアマト地方が‥‥‥」
「ティアマト地方だと?何でこの地方がっ?!」
「〖北は〖死の大地〗だ。魔が跋扈する絶望の地。ユグドラシル地方は〖異界〗の者達が支配する。アテナ地方は魔と人が日頃から争い、介入できぬ。ヘスティア地方は赤の生徒と信者達が助け合い。入れば拒絶される。ヘファイストス地方は古のファラオと商人達が全てを操り。フレイヤ地方は五国が手に取り合い、他を入れぬ。ティアマト地方はとある神が君臨し、特殊な海が広がる〗‥‥‥だったわね」
「‥‥‥‥それは魔法大陸の吟遊詩人達が吟っている七聖支配紀行の歌か」
「そう。そして、それは大陸間の海を超えて、他大陸に情報として伝わるわ‥‥‥‥それで最後の歌。〖ティアマト地方はとある神が君臨する〗‥‥‥この歌の部分の神は多分、貴方が倒した〖神・アプス〗の事だと思わない?」
「‥‥‥‥その神が今、居ないのがティアマト地方」
「ご名答よ。他の六つの地方の支配は駄目でも、このティアマト地方は今、支配者が不在で不安定にあるこの地を貴方の物にしてしまいなさいな」
‥‥‥この〖極神〗。とんでもないない事を言い始めやがったぞ。
「いや、そんな事を言われてもティアマト様が了承するわけ無いだろう‥‥‥‥」
「良いわよ。良い。今の私の力じゃあ、魔力が足りないから。アンタの魔力で補わせなさい‥‥‥‥どうせ、アンタの魔力で私の中を◯辱したんだから。私が自立するまで面倒みなさい」
「ちょっとっ!なんですか?ティアマトッ!その上から目線の物言いはっ!まだ反省してないみたいですね。貴方はぁっ!」
バチーンッ!
「ヒィ!!痛いよおぉっ!何すんのよ。ユグドラシル」
ユグドラシル様がティアマト様の尻をビンタし始めた。
何だか突然、俺の新たなる拠点となる場所ができた。それは〖ティアマト地方〗そのものだ。
そして、この地方を守護する―女神―ティアマト様本人の許可を頂いたのだ。
この事については海底領域に入る仲間達と合流してから色々決めるかな‥‥‥‥
〖造船都市・加工屋・レメル〗
現在、加工屋・レメルへと来ている。そして、俺は〖黄金の宝物庫〗の中から大量の素材を取り出した。
そんでもってこのレメルで思わぬ知り合いと再開をするのだった。
「世界樹の木材‥‥‥オリハルコン‥‥‥‥高濃度の魔力瓶‥‥‥‥神聖を帯びた舟が此処から見えるし‥‥‥どれも高品質な素材で本当に舟を造るの?セツナ」
「‥‥‥何で君が此処に居るんだ?カンナ」
「え?留学的な?」
「何のだよ?」
ガラララッ!
カンナとそんな話をしていると加工屋の大扉が開いた。
「ちょっと失礼するぞ。俺‥‥‥私は剣技大陸にある魔剣学園『アルティア』から来た。鍛冶師『アーンドラ・エルダム・アマルダ』と言うもので‥‥‥‥行方不明中の生徒と噂になっている魔道船の話を聞きに来たんだが‥‥‥‥ん?」
「ん?‥‥‥どっかで聞いた事ある様な声だ‥‥‥ん?」
「「何でお前が此処に居るんだ?クソガキ?」」