造船するは巨大魔道船〖ユピテル〗
『ティアマト地方・幻島タムト』
「此処が禁則海域の一つ幻の島〖タムト〗か。このアプスの〖真核〗がなければ入れないとかティアマトは言っていた理由はこの深い霧のせいだったのか。それにしてもティアマト神の別名を島の名前にするなんて‥‥‥〖神・アプス〗。アンタは本当に奥さん思いの神なんだな」
「ボウヤ‥‥‥‥此処に長居すると見つかるわよ。早く予備の〖方舟〗と言うのを回収した方が良さそうだわ」
「あぁ、分かってるよ。レヴィアタンもう見つけた。あの島の中央にある湖に浮いている。〖原初の方舟〗をな」
白色、水色、青色の幻想的な色をした巨大舟が島の大きな湖に浮いていた。
「とても大きいわね。暗黒大陸の〖魔島〗位の大きさはあるわ。色んな種族がこの舟の中で暮らせそうだわ。それにその奥はもっと広そうね」
「‥‥‥‥アプスはこの魔法世界の真実の一端にに気づいていたのかもな。それでこんな大きな〖方舟〗とティアマト神殿の様な〖心象世界〗の二つを造り出していたのかもしれないな‥‥‥まるで何かの準備をしている様だった。何かから逃げ出す準備をな」
「‥‥‥‥私の顔を見ても何も知らないわよ。管轄外だもの。そういう事は〖知恵のベルゼ〗か〖火幻神・クリム〗にでも探して聞き出しなさい‥‥‥あぁ、いちを貴方の契約神もあの立ち位置だったわね」
管轄外?各大陸の七神にも役割みたいなのがあるのか?‥‥‥‥いや、余り深く聞かない方が良いか。聞くとしても、俺の契約神である〖―女神―アテナ〗に聞いた方がリスクが少ないだろう。
しかし、今、思ったら〖神・アプス〗の実力は本来もっと高かったのかもしれない。これ程の大きさの神聖を帯びた〖方舟〗を造っていたとなると、相当な〖権能〗を使ったに違いないだろう。
「あぁ‥‥‥分かった。その二神のどちらかに出くわす事が会ったら聞いてみるよ」
「そう。なら早くアレを回収しなさい‥‥‥‥見つかった‥‥‥禁則の魔獣に‥‥‥‥」
禁則海域の海な巨大な黒い影が現れる。
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■アアアアァァ、アハ、アハ、アハ、アハ‥‥‥‥‥」
「了解した。〖黄金の宝物庫〗よ。導け」
ズズズ‥‥‥‥‥シュンッ!
「‥‥‥‥良しっ!終わった。〖エヌマ〗へ戻ろう。レヴィアタン。俺の手をっ!」
「えぇ‥‥‥でも飛ぶ為の魔法陣は別々にしなさい。神との魔力暴走を起こさない為にね」
「神との?‥‥‥良く分からんが分かった。転移魔法・〖昇転移〗」シュンッ!
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■アアアアァァ!!!!!マテマテマテマテマテマテ、アハ、アハ、アハ、アハ!!!!!」
転移する前に黒い影の怪物が俺達目掛けて海から飛び出して来たが、その姿を見る前に俺達は造船都市〖エヌマ〗へと転移した。
各世界には〖禁則地〗〖禁則海域〗などと呼ばれる魔法世界でもあらゆる種族が関係なく介入、侵入、観測してはいけない流域がある‥‥‥人類がけっして足を踏み入れない場所。その様な場所を魔法世界では禁則地と呼んでいるらしい。
◇◇◇◇◇
〖ティアマト地方・造船都市・エヌマ〗
〖アレスの灯台〗
「どうやら戻って来たみたいですよ。ティアマト神様」
「ハヒィ?は、早くないかしら?‥‥‥もう。レヴィアタンが戻って来たの?ヤダヤダヤダーッ!もっと自由を私にっ!」
シュンッ!
「五月蝿い子は嫌いだわ。ティアマトちゃん」
バチーンッ!
「痛いっ!な、何で戻って来て早々に私の頬をビンタするのっ!レヴィアタン」
「躾よ。全ては貴女を立派な―女神―に再教育する為の躾。だから私は心を闇神の如き気持ちで貴女をいたぶ‥‥‥調教するのよ」
「い、今、いたぶるって言ったっ!こ、この悪魔っ!」
「堕天使よ。おバカさん。そして、暗黒大陸の神の一神〖極神〗様よ。敬いなさい。駄目な―女神―」
「ひ、酷い。ユグドラシルッ!!!レヴィアタンが虐めるのよっ!助けてっ!!」
「‥‥‥自業自得では?貴女がこのティアマト地方を上手く護らず、三分の一を〖神々の黄昏〗に乗っ取られていたんですから‥‥‥‥本来なら七聖―女神―の神座を剥奪されてもおかしくなかったんですからね」
「ウゥゥ‥‥‥それは何度も謝ってるじゃないっ!〖天上の理〗にも私の大切な宝石を供物として大量に送ったし‥‥‥アリーナ様はそれで許してあげるって言ってたもん」
「そうね。その後の教育は私に一任するともね。だから、こうして監視兼教育係として暫く一緒に行動してあげるわ。ティアマトちゃん」
「嫌だーーっ!」
―女神―ティアマト神の叫び声がアレスの灯台の海岸に響き渡った。
「五月蝿い。―女神―様だな‥‥‥‥まさかあんなのがティアマト神だとは思わなかったな。アレンさんもそう思わないか?」
「いえ、私達。ティアマトの民は主神たるティアマト様のすべての行動を肯定しますので‥‥‥‥あぁ、なんて愛らしいお姿なんでしょうか。まさかこの目で本物のティアマト様とお会いできるとは思いませんでした。〖担い手〗様に感謝を‥‥‥‥」
「あ、あぁ、それは良かったな‥‥‥‥」
今、俺の目の前で恍惚の笑みを浮かべながら―女神―ティアマト神を見つめている人物は〖灯台守のアレン〗と言う人族だ。
俺が〖ミミール大瀑布〗から造船都市〖エヌマ〗へと転移し、レヴィアタン達と合流した時に出会った人物。
▽▽▽▽▽
(こ、この大穴はいったい?‥‥‥それに貴女様方のお顔は七聖―女神―像様と同じ?‥‥‥もしかして本物の七聖―女神―様方でしょうか?)
(‥‥‥だから、早く〖黄金の宝物庫〗に入ってくれっていだたんだよ。現地民に見つかる前にさぁ)
(しょうがないじゃない。この子がぐずるんだもの)
(お、お尻叩かれた。痛いよ。ユグドラシルッ!!!)
(ちょっとっ!久しぶりに会って、いきなり甘えないで下さいっ!―女神―なんですからそんな事でいちいち泣かないでくれます?ティアマト)
(ひ、酷いっ!ア、アンタ。それでも同じ七聖―女神―なの?薄情者っ!!)
(黙りなさい。おバカさん。だいたい今回の件は貴女がもっとちゃんとしていれば‥‥‥)
(なに言ってんのん?私、知ってんだからね。アンタの地方もエキドナとか言うの滅ぼされかけてたのを‥‥‥)
あっちはあっちで喧嘩し始めるし。何だ?七聖―女神―ってヘファイストス神やフレイヤ神意外、駄目な―女神―なのか?
(あの?もし?‥‥フードの方。もしや貴方もどちらかの大陸の神様なのでしょうか?)
(ん?いや、俺は人族ですよ。えーっと貴女は?)
(おっと。これは自己紹介がまだでしたか。私は〖アレスの灯台〗の〖灯台守〗をしているゲフィオン・レイム・アレンと申します)
(アレスの灯台に‥‥‥ゲフィオン?‥‥‥もしかして、フレイヤ地方の〖赤の嬢王〗が言っていたゲフィオンって‥‥‥‥)
(〖赤の嬢王〗?‥‥‥あぁ、もしかしてロゼのお知り合いですか?もしかしてあの娘もご一緒だったりします?)
(いえ‥‥‥〖赤の嬢王〗は今、ブルーレヴィアに居ると思いますよ)
(ブルーレヴィア?‥‥‥ですか。成る程‥‥‥ロゼは元気にしていました?昔、あの娘とは北東魔法学院の同級生で‥‥‥‥)
(は、はぁ‥‥‥そうなんですか。)
その後はアレンさんと〖赤の嬢王〗の思い出話を永遠と聞き。それが終わると今度は俺達に質問攻めを負わせ、疲れさせた。
(おぉ!!では、貴方が噂の〖担い手〗さんですか)
(き、聞き疲れた‥‥‥‥は、はい。〖赤の嬢王〗‥‥ロゼさんからは何か困った事があれば‥‥‥〖アレスの灯台〗のゲフィオンを頼れとも言われまして)
(ハイハイ。成る程。成る程ですっ!親友ロゼの頼みに本物のティアマト様と出会えた奇跡っ!これは何かの運命としか思えません)
何の運命だよ。
(ていうか、ユグドラシル。アンタ。バカなの?大陸間を移動する為の〖方舟〗を造るって言うけど。造船都市にそんな大きな物を造る造船場所なんて無いんだからね。おバカさん)
(誰がおバカさんですかっ!バカって言う方がバカなんですよ。ティアマトッ!!!)
まだヤってたのかよ。コイツらマジで七聖―女神―か?精神レベルが小学生並み以下じゃねえか‥‥‥‥
(おや?大きな造船場所が必要なんですか?なら、〖アレスの灯台〗の海岸に造船様の巨大洞窟がありますから、そちらをご提供しましょう。ティアマト様っ!!)
((へ??))
▽▽▽▽▽
なんてやり取りの後、連れて来られたのがこの〖アレスの灯台〗だが‥‥‥‥
「オーイ!!造船長のオッサン。朝、言っといた〖方舟〗も持ってきたから、これも魔道船の中に組み入れといてくれ。解放せよ。〖黄金の宝物庫〗よっ!」
シュンッ!
「おぉっ!小僧っ!戻ったか‥‥‥‥どれ?どんな船を持ってた‥‥‥‥」
ドボオオオオオンンン!!!!
アレスの灯台の海岸に大量の水飛沫が上がった。どうやら、持ってきたアプスの船が大き過ぎた為の水飛沫の様だ。
「な、何じゃあ?この巨大船はあぁ?!!」
「じゃあ、渡しからな。後はよろしく~!造船長のオッサン」
「いや、待て小僧!!この舟についてちゃんと説明しろおおお!!」
「説明って‥‥‥アンタ等がさっさと持ってこいって言うから持ってきたんだろうがっ!つうか、何だよこの巨大戦艦みたいな舟は‥‥‥‥俺はもっと小さく造ってくれって頼んだよな?」
「ばっきゃろうっ!魔法大陸からこれ程の技術者達が集まったんならやる事は一つ。世界最高の舟を造る事だろがっ!魔道技師殿よっ!」
「いや、この大きさ最早、島だろ‥‥‥えーっと名前は確か‥‥‥魔道船〖ユピテル〗だったか?‥‥‥」