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溟海決戦 淡水は悟り涙を流す No.17 雷炎大剣


俺の目の前に神がいる。


水の神秘を纏い。右手に白色と水色の剣。左手に青色の剣を持っている。


美しい‥‥‥とても美しい水の神が、俺を見つめながら宙に浮いていた。


圧倒的な存在感。これが大アルカナを棄てた者が最後に辿り着いた姿なのか‥‥‥‥。


何とも強大で儚く巨大な力だろうか。これが始まりの神というものなのか。


そんな〖原初の神〗を前に俺はかつて無い興奮を迎えていた。


「ハハハッ!!!凄いっ!凄いぞっ!〖神・アプス〗‥‥‥‥凄い覚悟と気迫だっ!アンタのその最後の気迫に‥‥‥今の姿で出せる全力を持って答えよう。行くぞっ!!この三年分成長した身体がどこまで耐えられるか分からないが!今はこの闘い集中しよう。〖雷牙の大太刀〗〖灰神楽〗‥‥‥〖黒衣装束・雷炎両大剣〗」


雷と炎の二振りの剣が大剣化する。そして〖灰神楽〗を両手に、〖雷牙の大太刀〗は黒衣装束の魔力で造り出した魔手(ましゅ)で操る。


「お前は‥‥‥まだ、それ程の力を隠していたのか?その領域。最早、〖代理人〗や〖女帝〗に並ぶ程の力ではないか‥‥‥」


「凄いぞ‥‥‥‥ここまで胸踊る闘いをするのは久しぶりだ。〖神・アプス〗‥‥‥‥アンタとの出会いに感謝する。だから終わらせよう。この長く続いた闘いをっ!楽しみながらなっ!!〖黒雷牙・大刀〗」


俺は黒衣の魔手に魔力を込める。すると魔手が動き始め、強大な大剣と化した〖雷牙の大太刀〗がアプスの頭上へと落ち、その大剣は肥大化していき、アプスが逃れる事ができない程の強大な塊となって振り下ろされる。


「あの名剣がここまで変わるのか‥‥‥‥その黒き鎧と黒化した剣。お前は本当は何者だ?小僧‥‥‥〖アプス・エンキ〗・〖海水神の白水剣(ティアマト・ウル)〗よ」


アプスは右手に持つ白水色の剣を天に掲げた。すると、その白水色の剣から〖神秘〗を帯びた海水が顕れ、〖雷牙の大太刀〗へと向かって行く。


「成る程。その剣はティアマト神の力を有した神剣なのかっ!ティアマト神殿で使っていた剣の本当の姿という事か?何て凄まじい〖神秘〗だな」


「それがどうした?先程までの威勢はやはり虚勢だったのか?小僧。ならばこの海水の海に呑まれしながい‥‥‥‥」


「あの〖神秘〗を全て壊せ。〖雷牙〗‥‥‥‥尾だけ残して暴れてやれ。〖雷牙万雷〗」


「ルオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!!!!!」


大剣と化した〖雷牙〗が動き出す。尾の部分たる剣の抦を残して、雷獣化する。


「俺様の〖海水神の白水剣(ティアマト・ウル)〗を受け止めただと?‥‥‥‥いや、放電しながら〖水の神秘〗を破壊しているのか?その雷獣はっ!」


「吹き飛ばされろ。アプス‥‥‥‥その白水色の剣と共にな。〖雷虎(らいどら)〗」


「グルルオオオオオオオオ!!!!!!!!!」


「グオォォ!!獣の風情がこの俺様の〖海水神の白水剣(ティアマト・ウル)〗の攻撃を防ぐなど、あるものかっ!‥‥‥‥グッ!グオオオオォォ!!!」


パリンッ!!パリンッ!!


アプスの身体から〖真核〗が割れる音が聴こえた。割れた音は二つ‥‥‥‥アプスの先程の言葉を信じるなら、残す〖真核〗は後、一つか。


「‥‥‥た、ただでは吹っ飛ばぬ‥‥‥お前も来いっ!小僧っ!!!〖海水神の白水剣(ティアマト・ウル)〗よっ!奴を飛ばせっ!」


「ラ、ラアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」


「なっ?身体が勝手に引っ張られるだとっ?!まさかその剣の仕業か?うおおぉ!!」


俺は白水色の剣から放たれた何かの意思が放たれた海水により、雷牙により吹っ飛ばされたアプスと同じ方向へと引っ張られた。



『ユグドラシル地方とティアマト地方の境目』


〖ミーミル大群滝・世界樹の(ラシルミーラ)


ドガアアンンン!!!!


「‥‥‥‥此処はティアマト地方の最北端〖ミーミル大群滝〗か‥‥‥」


「そうだ。小僧っ!此処はティアマト地方とユグドラシル地方を境にする大滝だ。そして、お前のその身体に付与された〖ギフト〗を消し去る為の場所だぞ。フハハハハッ!!」


「‥‥‥‥(俺がアナスタシアと灰神楽から受けた〖ギフト〗に気づいただと?だから、このティアマト地方とユグドラシル地方の境目である、ミーミル大群滝)へと連れてきただと?」


「どうした?小僧。先程までの余裕が無くなり始めているな。やはりその反応‥‥‥‥その身体には何かしらの神からの〖ギフト〗かかっているようだな。ならば、その〖ギフト〗が消滅した時、お前が俺様に負ける瞬間ということだな。〖神ノ使徒〗よ」


「‥‥‥‥その前に俺がお前を倒してこの闘いを終わらせてやるよ。〖神・アプス〗‥‥‥‥というよりも次の俺の攻撃でお前は終わる‥‥‥アプス」


「俺様が終わる?馬鹿を言うな。俺様はただ、お前の身体を支える〖ギフト〗が消えるまで、この剣を振り続ければ良いだけだ。〖アプス・エンキ〗・〖淡水神の正剣(アプス・ナンム)〗」


アプスが左手に持つ青色の剣が淡水の超大な剣と化し、俺へと向かって放たれた。


「フハハハハッ!!これが本当の終演だ。小僧よっ!!」


「‥‥‥‥それは俺の台詞だよ。アプス‥‥‥灰神楽‥‥‥終わらせてやろう‥‥‥そして、彼をあの場所へ導いてあげてくれ‥‥‥黒衣天雷・〖残炎雷牙〗‥‥‥」


(心得た‥‥‥‥終わらせようか‥‥‥少年)


「そんな攻撃で俺様が死ぬなどあり得んわ。フハハハハッ!!‥‥‥何だ?この痛みは?‥‥‥心の内側から燃やされているだと?」


パリンッ!!


〖灰神楽〗の大剣から〖黒炎〗の火柱が放たれる。その火柱は真っ直ぐにアプスの元へと向かって行き、黒炎の爆発を上げた。そして、アプスの身体から最後の〖真核〗が壊れる音が聴こえ‥‥‥‥。


パリンッ!


最後のアプスの〖真核〗が壊れる音がミーミル大群滝‥‥‥‥いや、ティアマト地方全海域に響き渡り、その響きと共に〖神・アプス〗は七聖―女神―の像がある〖造船都市・エヌマ〗へと飛ばされていくのだった。





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