アグラヴェイン領・占領戦 No.1 領主アグラヴェイン
アグラヴェイン卿はアーサー王物語に登場する円卓の騎士の一人である。オークニのロット王の息子にして、ガウェイン卿の弟。アーサー王の甥にも当たる人物と物語には書かれている。
円卓の騎士に任じられているが、特にアグラヴェインを主人公にした冒険は存在しないという。
エウロペ大陸の道中で読んでいた。アーサー王物語。円卓の騎士は武勇や知恵に飛ぶものしかなれない円卓の騎士。
その円卓の騎士にアグラヴェインはちゃんと選ばれている。‥‥‥なのに彼を主人公にした冒険は存在。
だが、物語の終盤において、ランスロットの失脚を狙う。兄弟であるガウェイン、ガヘリス、ガレス、そして異父弟のモルドレッドにランスロットとグィネヴィアの不義密通の証拠を掴もうと提案したと書かれている。
しかし、モルドレッド以外の人物はこれを拒否したため、結局モルドレッドとその他12人の騎士とともにランスロットが王妃と同衾している現場を押さえたが。
その場を脱出しようとしたランスロットにより、殺害される。‥‥‥‥まるでこれでは物語のピエロ役ではないかと俺は考えてしまった。
‥‥‥‥彼は円卓の騎士にまで、選ばれた騎士。その騎士が何故、道化を演じさせられなければいけないのか。
アグラヴェインはとかく悪者に書かれることが多く。特に、「邪悪な騎士」との烙印まで押されている。また、王国滅亡について「その全てはアグラヴェイン卿とモルドレッド卿が原因である」と言われたりしている。
だが、アーサー王伝説が形成される初期においては、それほどアグラヴェインの扱いは悪いものではなかった。
彼と緑の騎士においては、アグラヴェインは「堅い手のアグラヴェイン」と呼ばれ、立派な騎士であると書かれている。
‥‥‥‥俺は、アーサー王物語を読んでいた時の事を思い出していた。
「妖精国」のアグラヴェイン卿はこの、アーサー王物語の様な人物なのだろうか?
彼は、アーサー王物語では、悲惨な役回りを演じさせられている。
では、『妖精国』のアグラヴェイン卿は?
‥‥‥‥それは、あって見ないと分からないか。
だが、しかし、俺は少し期待する。こちらの世界のアグラヴェイン卿の最後は、本の様なそんな、役回りにならない事を。
‥‥‥‥‥それでは、会ってみよう。この世界の『堅い手のアグラヴェイン』に。
「ほ、報告!報告!突如、『ペリエの城』の上空に突如、雷雲が出現し。城内の兵士や城壁が破壊されています」
「ほ、報告!報告!」
「お、落ち着いて下さい。皆さん!落ち着いて!だ、大丈夫!わ、私がここにおりますから」
「は、はい!アグラヴェイン卿」
「で、ですが、落雷は勢いも訪れず。先ほどは、北門の門が崩壊してしまい‥‥‥」
「す、直ぐに修理班を行かせて下さい。それから、先ほどからの落雷の調査も」
「は、了解です」「直ぐに向かいます」
キィィー、パタン!
「ふぅ、突然のランスロット卿とモードレッド卿の反乱にいきなり巻き込まれ。その挙げ句、アーサー王不在の『キャメロット城』を攻め落とせ等と‥‥‥あの時のランスロット卿のとても怖い目‥‥‥思い出すだけでも怖くなります」
「そんなに怖いのですか?そのランスロット卿という方は?」
「そ、そりゃあ、そうですよ。円卓の騎士・最強という方もいるくらいで」
「そのランスロット卿が怖くて反乱に加担したと?」
「いえ、それもありますが、数日前にランスロット卿と共に突然現れたギ‥‥‥‥え?」
「え?」
「「‥‥‥‥‥‥」」
「?何で、ここに入るのパーシヴァル?貴方、行方不明だって!ランスロット卿が」
「え?私って、やっぱり、行方不明扱いなの?アグラヴェイン?」
「え、えぇ、そうですよ!そんなことより、パーシヴァルの後ろの2人は?‥‥‥‥」
「束縛魔法!『放線の筒』」
「な、なにするんですかーー?!」
俺がそう唱えると。目の前の艶やかなくろかみに黒淵眼鏡がとても似合う可愛らし女の子だった。パーシヴァル卿といい。アグラヴェイン卿といい。こちらの世界のアーサー王物語の名前を持つ人達は女性率が結構高いな、今の所はだが。
「静かにして下さい。アグラヴェイン卿」
「し、静かって‥‥‥‥ん?んんんん!!」
「‥‥‥ねえ?セツナ君」
「何ですか?男友達のアルディス」
「‥‥ふん!!」
アルディスの拳が俺の肩を叩く。
「痛いんだけど?アルディス」
「五月蝿よセツナ」
「セツナって!君は?」
「男友達にずっと、君付けは嫌だ!」
アルディスは頬を膨らませて怒る。
「ハイハイ、今はそれどころではないのでアルディス」
俺はアルディスのエルフ耳に近づく。長い綺麗なブランドの金髪が靡く。
「な、なに?いきなり耳元に近づいてさ!!」
動揺する。アルディス。
「今夜、時間を作って、相手してやるから許せ。男友達よ」
「ふぁい!」
顔を真っ赤にしてアルディスは大人しくなった。
「‥‥‥ん?んんんん!!」
「はっ!うわ、今、目の前で凄い甘酸っぱい青春を見ていましたよ」
パーシヴァル卿‥‥‥パーシヴァルが何を言っているのか分からなかったので無視する。
「‥んんんんん!!(離して下さい)」
「やだね、。降伏してくれたら。離すが」
「んんんんんんんんんんんわんわん(そうしたら、私がランスロット卿に殺されちゃう)」
「だよな!確かに(アーサー王物語の中の様にか?‥‥‥‥厄災は女王様ではなくランスロットって落ちもあるか?‥‥‥分からん)」
「じゃあ、俺と勝負して、俺が勝ったら。降伏してくれないか?」
「んんんんんん?(降伏?)んんワンんんんわ(でも、それじゃあ私が殺されて‥‥‥)」
「なら、事が済むまでは、俺が持つエウロペ大陸の7つ秘宝の1つ『魔法の袋』の中に避難していればいいよ。君の家系はエルフや上位妖精のハーフの家系何だろう?それなら、この中に入れるはずさ」
「んんんんんん?(7つ秘宝?)んんんんんわんわん?(貴方が所持者の一人?)」
「あぁ、やるかい?」
「‥‥‥んんんん!(いいでしょう!)んんワンんんワン(お願いします)」
「受諾感謝する‥‥‥魔道具・解放『天来の部屋箱』」
俺がそう唱えると『天来の部屋箱』が俺達を包み込む。
「んんんんんん?(何ですかー?これ?)」
「俺達の闘う場所さ!さぁ、始めよう!こちらの世界のアグラヴェイン卿!!」
「んんん‥‥‥‥行きます!侵入者さん!」
雷使いと堅い手の闘いが始まる。




