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溟海決戦 淡水は悟り涙を流す No.4 アプスの考え


「ムシュマッヘの〖魔力真核〗を完全に破壊するとは‥‥‥ますます欲しくなったぞ。その名剣」


アプスは溶けていくムシュマッヘの残骸を見ながら明るい笑みを浮かべていた。〖雷牙〗が放った強力な雷撃に驚いたかと思えば今度は笑顔とは。神と言われる奴の考えている事は本当に良く分からないものだ。


仮にも自らの子供が本当に死んでしまったのだから、涙を流すなり、俺に怒るなり、苦痛の表情を浮かべるなり何かしらのアクションがあっても良いと思うのだが。


そんな素振りなど一切皆無だ‥‥‥ふと、俺はアプスにとある質問をしてみる事にした。


「‥‥‥お前はそのムシュマッヘの親なんだろう?悲しんだり、俺に怒ったりしないのか?普通、人間‥‥‥いや、感情がある者全ての存在は普通。喜び、怒り、哀しみ、楽しいさをその時々の環境によって変わるものだ。そして、今の状況。お前の子供が目の前で死んだというのにお前は何故、楽しそうに笑えるんだ?」


「お前は何を可笑しな事を言っている?古代の神たるこの俺様に感情がどうかだと?子供が死んだ?楽しそうに笑えるんだと?‥‥‥‥そんな事。今はどうでも良いわ」


「どうでも良いだと?」


「そうだ。どうでも良い。そんな事よりも、今はお前が両手に持つその名剣二つだ。その両剣は実に素晴らしい。この俺様と長き時間闘っても折れず立ち向かって来る。そして、美しい刀身よ。そんな物を見せられれば欲しくなるのが当然よな」


「いや、俺はそんな事を聞いているんじゃなくてな‥‥‥‥」


「‥‥‥‥使えぬ者共に感情を向けてやる勝ちなど無いわ。奴等は負け、意思を持たぬ〖真核〗へと落ちた。ならばその敗北者共の力。俺様が地球へと戻る為の糧になるのが奴等にとっての至上の喜びになるのだからな」


「‥‥‥‥地球側の神に心無しか‥‥‥‥昔、青龍様が言っていた通りかもな。いや、お前が例外なのか?淡水の神・アプス神。お前は原初の海の女神・ティアマト神と共に多くの子供‥‥‥時代の神々を産み出し、ソイツらが騒ぐと怒り、闘い、敗れ、殺されたんだろう?もしかして、お前が受けたその痛みが今のお前を形成したのか?」


「神に不敬な質問だな。小僧‥‥‥だが悪くない問いだ。それにお前は俺様と対等に会話をする力があると、この闘いを通して痛感したぞ。久方ぶりに胸が踊る様な闘いができて高揚しているところだ‥‥‥‥小僧。神とはな理不尽な存在だ。何せだ。自らが世界を創る創造主。自らが創った物を自らが好き勝手にして何が悪いというのだ?我が道具(子供)共も俺様の為に産み出され、使われる事こそが本懐だろうよ。だから、俺様は此方の世界の偽の妻・ティアマトや怪物(子供)共を使い。全てを叶える‥‥‥‥真の妻との再開と地球生物共の不幸をな」


「端から聴けばアンタは狂っている様にしか見えないが、俺は地球でのアンタの歴史と魔法世界(アリーナ)で過ごしていた話をオルビステラから聞いている‥‥‥‥アンタにはアンタの正しい〖正義〗があるんだろうな。大アルカナのNo.11 〖正義〗様には」


「ほう。俺様の大アルカナを言い当てるか‥‥‥‥それで?俺様はNo.11。思ったよりも低い大アルカナNo.で安心でもし、油断でもしてくれるのか?小僧よ」


「する分けないだろう‥‥‥‥―女神―ティアマトを操り、他地方の大国と変わらない化物の軍隊を持ち、ティアマト地方の三分の一を自力で手に入れた奴にな。それに大アルカナのNo.が、低い高いで俺は相手を判断しない。お前達〖神々の黄昏(ラグナログ)〗は自分達の有利な環境、部下、道具を所有している。そして、それらを巧みに使い。弱く見せかけて闘いを挑んで来た人達を殺すんだろう」


「それは〖悪魔〗〖審判〗の大アルカナ共がやっていた事だ。俺様はそんな小細工などせずとも強い。〖神々の黄昏(ラグナログ)〗に入ったのも〖代理人〗の奴に頼まれたからに過ぎん」


「〖代理人〗?‥‥‥スヴァローグやフレイの育ての親だった奴。そうかアンタも〖代理人〗とか言うの関係者なのか‥‥‥‥そいつは〖神々の黄昏(ラグナログ)〗の中でも地位が上の存在なのか?」


「それをお前に教える義理は無いわ。喋りが過ぎたか‥‥‥‥元の場所に帰るそれだけで胸踊る。我が妻と過ごした場所〖エアブズ〗へと帰化する‥‥‥そして、それを持って、人類の原始へと‥‥‥‥化物共へと変えてやろう。それが俺様の〖正義〗と〖世界〗‥‥‥‥。『創世記神話(エヌマ・エリシュ)』なのだからな」


「それならば、そんな世界。俺が真っ向から否定してやる‥‥‥‥‥取り戻したかつての全盛期の〖魔力〗‥‥‥‥〖黒衣〗の纏いを使ってな」


「人間の小僧が生意気だな。〖黄の神ノ使徒〗よ‥‥‥‥」



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