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詰んでいる盤面

再び、月の谷 ログハウス内


「成る程な。その十二の家の中の六家が反乱を起こし。この中の一つ、ベディヴィア家のベディヴィア卿がパーシヴァル領にいきなり攻めてきて。パーシヴァル卿が捕まってしまったと?」


「はい‥‥面目無いことに。不意打ちだった為に反撃できずに捕まり。私は、巨大湖の下、『世界樹の迷宮』へと連れて行かれました。」


「えっと、その巨大湖とか『世界樹の迷宮』って?」


「『妖精国(アルフヘイム)』キャメロット城の南側にある。巨大湖は『ペレアスの湖』と言って。神代から生きる水の大妖精様が管理していんだよ。セツナ君」


「そして、『世界樹の迷宮』は地上の『セルビア』首都『オーディン』の真下に根を張り。この『妖精国(アルフヘイム)』を照らす擬似太陽です。そして、そのもっと真下にある空間が『世界樹の迷宮』と言われる。場所になります」


「首都『オーディン』の真下にあるってことは、『セルビア』の国のど真ん中に、その『世界樹の迷宮』が存在するってことか‥‥‥」


「でもね、セツナ君。迷宮って呼ばれているけど。『世界樹の迷宮』は昔は『セルビア』の観光地の1つだったんだよ」


「観光地の1つですか?」


「うん!数十年前まではね、地上の世界樹と地下の世界樹の迷宮は一本の大きな道で上と下とを行き来出来たんだって。今は、その道が崩れて通れなくなっちゃったらしいけど」


「通れなくなった?何故なんですか?」


「‥‥‥‥うん、とても、言いづらいんだけどね。昔ね、『妖精国』では、エルフと人族のハーフの家系の将軍とメリュジーヌ卿でいざこざがあってね。それがヒートアップして酷い大喧嘩に発展して、世界樹の真下から真上までを大規模破壊したんだって」


「私もその話。昔、父から聞いたことがあります。それ以来、『世界樹の迷宮』へ行ける道も閉ざされ。今では、『ペレアスの湖』の地底から入らなければ行けなくなってしまって」


パーシヴァル卿は何とも言い難い。難しい顔をしながら説明してくれた。


「えっと、メリュジーヌ卿と大喧嘩をした、将軍の妖精エルフって?」


「現在、我が領地を占領している。反乱を起こした家系の1つ。ベディヴィア卿です」


「‥‥‥‥という事は、アルディス王子!」


俺はアルディス王子に目線を送る。


「なに?愛の告白的な?」


「‥‥‥やはり。アルディス王子もそう思いますか?メリュジーヌ卿がもう動き始めていると!さすがです。アルディス王子」


「ねぇ、僕、今、セツナ君に冗談しか言ってないよね?何で、僕に対する扱いが酷くなってきてるのかな?」


「そうですか、さすがです。アルディス王子」


アルディス王子のボケにいちいち反応していたら話が進まん。


「‥‥‥あっそう!僕とお話するのも面倒になってきたって事?いいの?そんな、態度で?ここ数日の事をユナちゃんに報告しちゃうよ!」


「‥‥‥塩対応した事は謝りますが、話が全然進まないので大人しくしていてください。そうすれば、『妖精国』の問題が解決した後。『男友達』として何処かへ遊びに行きましょう。『男友達』としね」


「‥‥‥‥ふん!いいよ別に『男友達』として『妖精国』の問題が解決したら旅行に行こうね!」


「はい!はい!旅行ね!旅行!‥‥‥‥旅行?」


アルディス王子が満面の笑みを浮かべている。


「タマキちゃんから借りた。この、ボイスレコーダー?でちゃんと録音したから。約束は絶体守ってもらうからね!セツナ君。よろしく!」


「‥‥‥タマキの奴!何て奴に何てものを貸してんだよ」


おれは、床に倒れこんだ。‥‥‥‥俺は、気持ちを切り替え。普段の真面目モードに話し方をチェンジする



「あ、あの?夫婦漫才はそこら辺にして。そろそろ、今後の活動についての話し合いを再開しませんか?ナルカミさん、アルディス王子様」


パーシヴァル卿がそう言いながら。服を脱ぎ。最初の謝罪の時の様な。全裸土下座をしていた。


「なに?してるんですか?パーシヴァル卿」


「いや、捕まっている時に女性の看守に良くやらされていたので癖になってしまって‥‥‥」


反乱側の奴らは何を考えているのだろうか?パーシヴァル卿を黒い狼にしたり。全裸土下座をする変態にしたり。やりたい放題である。


「‥‥‥‥とりあえず、今後は、アルディス王子とパーシヴァル卿の奇行は無視することに今、決めました」


「「はぁ!奇行?」」


アルディス王子とパーシヴァル卿は、二人同時に不服そうな顔をして俺の顔を見つめてきた。


「パーシヴァル卿!」


「な、何ですか?ナルカミさん」


パーシヴァルの顔が少し膨れている。だから、早く服を着ろ変態。

「パーシヴァル卿が説明してくれた。裏切りの六つの家で。ここからは、一番近い家系は何処か?分かりますか?」


「一番近い家系ですか?‥‥‥そうですね。南東を領地を与えられている。アグラヴェイン卿の領地が一番近いですが、それがどうしたのですか?」



「今から占領しに行きます」


「‥‥‥‥今、何と?」


「今から占領しにい来ます。パーシヴァル卿の話を聞いて分かった事は、現在の反乱軍の領地は占領された。パーシヴァル領と6名の円卓の騎士たちが最初から統治している。計7つ。それに引き換え。俺達側は現在、領地を離れている。メリュジーヌ卿とイフリート様の領地とキャメロット城防衛の為に守備に徹している味方の三家の計5つ。それで当っていますよね?パーシヴァル卿?」


「え?えぇ、ナルカミさんの言う通り。私達の味方である。ガウェイン卿、トリスタン卿、ギャラハット卿はモルガン様の護衛の為、王都『キャメロット城』の守備についており自由に動けません。そして、メリュジーヌ卿とイフリート将軍が不在の為。お二人の配下の兵士も動くに動けない状態です」


「‥‥‥ねえ?セツナ君。それって‥‥‥」


「えぇ、ほぼ、詰みかけの盤面ですね。アルディス王子」


「えっと!どうしょうか、これから」


アルディス王子は不安そうな顔で俺の横顔を見る。


俺は、アルディス王子のその顔を見た瞬間。王子の頭に右手を乗せてワシャワシャと揉みくちゃにした。


「な、なにするだよ?!セツナ君」


「大丈夫ですよアルディス王‥‥!アルディス!君の男友達が何とかしてあげますから」


「‥‥‥セツナ君、今、アルディスって‥‥‥‥」


アルディスは驚いた顔で俺を見つめている。


コクリっと俺は静かに頷く。


「メリュジーヌ卿はもう動き始めました。多分ですが、現在、占領中のパーシヴァル領に向かい。占領地の解放をするんだと思います」


「りょ、領地の解放ですか?」


「はい!そうすれば、占領された領地の数は6対6に戻り。行方不明扱いだった全裸土下座変態のパーシヴァル卿が領地に戻る事でパーシヴァル領の兵も動かせる様になるでしょう」


「全裸‥‥土下座‥変態?」


パーシヴァル卿は驚愕の顔をさせながら。俺の話を聞いている。


「それで、僕達はここから、一番近い敵の領地に攻め込むって事?それは、余りにも無謀な‥‥‥」


アルディスはそう言って。床の下を見つめる。


「アルディス‥‥‥大丈夫!今回は、俺も最初から全力で戦います!」


「どうやって?」


「こうやって!‥‥‥転移魔法・アグラヴェイン領内の城へ」


俺がそう唱えると。俺達3人の床の下から転移魔法陣が表れ。俺達を『月の谷』からアグラヴェイン領へと転移させる。


「ちょ、ちょっと!待って下さい!まだ、私、全裸で」


「‥‥‥自業自得です!何故、服を脱ぐのです?」


「‥‥‥‥裸が好きなので」


「‥‥‥」


そんな、パーシヴァル卿の驚きのカミングアウトを聞きながら。俺達は転移した。



アグラヴェイン領『ペリエの城』


「うわぁぁあ!きゃああ!」「ひぁああ!!」


「おっ!上手く着いた!よっと!」


俺達は空中に転移した。やはり、『妖精国』に来てから。転移の場所が少しずれるな。


空中で慌てる美少女が二人。


アルディスはお姫様抱っこで助けあげ。


パーシヴァル卿は俺の肩にしがみつかせた。


タンッ!無事に空中から『ペリエの城』の城壁へと降り立った。


「はぁ、はぁ、いきなり、転移したかと思えば。空中落下とか‥‥‥‥ナルカミさんは私を殺す気ですか?」


パーシヴァル卿が凄い剣幕で怒る。


「黙れ!全裸痴女が、大声を出さない。」


バジッとパーシヴァル卿の尻を叩く。


「い、痛い!な、なんか、急激に扱いが雑に変わったような?」


「アルディス。気をつけて降りて下さい」


「あ、ありがとう。セツナ君!」


「な、何で、アルディス王子と私の扱いが逆転してるんですか?納得できません」


「貴方が変態だからです」


「そうそう」


「くっ!わ、私はこれでも円卓の騎士の一角の‥‥‥」


「とりあえず、気付かれる前におっ始めます。神代・回帰‥‥‥」


「ちょっと!いきなり!神代・回帰の技を使うの?」


「神代・回帰『遠雷・雷霆生来』」


俺がそう唱えるとアグラヴェイン領の空が暗くなり。暗雲が立ち込める。


「ん?おい?!なんだ!あの、雷雲?」


「ん?つうか、『妖精国』に雷雲とかあったか?」


兵士達は呑気にそんな、話をしていると。



「雷霆・瞬雷」


バリバリバリバリバリバリバリバリ!


「ぎゃあ!!!!」「た、助けてくれええ!!」「し、痺れ動け!」


城壁を守っていた兵士達に上空の落雷が降り注ぐ。


「では、混乱している今のうちにアグラヴェイン卿を貰いに行きましょう」


「何て威力」


「これが元勇者の力なの?」


アルディスとパーシヴァル卿はそう言いながら、次から次へと倒れる兵士達を見ていた。







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