碼碯の誓いはこの時の為に No.2 アダマスの血筋
かつて現代〖地魔法学〗の父と呼ばれる魔法使いがいる。
『北東魔法学園』の創立者メンバーの一人にして、〖星の賢者〗、トリストメギストス一派、魔女の夜会、魔法族のエスフィール家と共に、今日では当たり前の様に使われている現代魔法の基礎を作った一人。
五属性魔法の内の一つ〖地属性魔法〗を極め、。どんな現代人達にでも使える様に簡略化した人物が、アダマス王の玄祖父にあたる。アダマス・レッドスピネルである。
〖鉱石〗〖宝石〗〖地場〗〖砂〗などの各種族が独自で使っていた魔法をレッドスピネルの特殊な魔力感覚によって解析、属性体系化し、現代に生きる魔法大陸の者ならば、訓練を積めば初級レベルの魔法ならば使える様に進歩させたのだった。
その結果。アダマス家は〖七聖―女神―〗達に認められ、ごく稀に子孫の中から特殊な魔法を使える者が産まれる〖ギフト〗を与えられたのだった。
そして、今日。その〖ギフト〗を与えられたアダマス王とアルク王子の親子が闘いを繰り広げるという不可思議な事が起きている‥‥‥‥‥。
「アルクが剣を扱う姿を見ることになるとはな‥‥‥‥そして、その相手が俺か、何だか複雑な思いだな‥‥‥‥鋼鐵魔法・〖瑠璃の崩〗」
アダマス王の周りに鋭利な瑠璃色の槍が造られ、射手されていく。
「くっ!お前!!実の息子の身体に向かって容赦ない攻撃を仕掛けるのか?それでも父親か?宝石魔法・〖金剛の落〗」
アルク(アプス)も負けじと、同じ様に金剛石の槍を造り。アダマス王の放つ瑠璃色の槍へとぶつけ相殺する。
「流石、偉大なる我が大大祖父〖レッドスピネル〗の血を引く俺の息子の身体を使ってるだけあって、地魔法の錬度が普通の魔法使いよりも卓越しているな‥‥‥‥しかし神成といい、俺の息子といい、次世代の魔法使い達はどうなっているんだ?‥‥‥‥(いや、神成は違うか‥‥‥今回の捜索の全てが終われば魔力が無いとか言う場所に帰ると言ったいたな。あの若さでちゃんと知っているんだな。こっちに残って英雄扱いされても、俺の様な汚い大人達に利用され。壊される事を‥‥‥目の前の息子様にな)」
「何をボーッと僕を見ているんだ?闘いは始まったばかりだ。現代魔法を極め、〖昇華〗とやらをしたこの身体で繰り出す。宝石魔法でその化物の様な身体を潰してやるよっ!おじさん」
「化物?‥‥‥化物はお前の方だろう?俺は魔眼の類いは所有している訳じゃ無いが、それでもお前と息子を繋ぐ魔力パスがズタボロなのがその魔力の乱れで良く分かる。無理やり〖同化〗を果たした様だな」
「何?‥‥‥‥馬鹿な事を言え、僕はこの身体を完璧なまでにだな」
「アナスタシア様は言っていた。神々や神獣級の物達と〖同化〗するには、双方の信頼と強固な絆が必要だとな。そう考えるとアイツと天使族のハレンチ娘は実に見事な〖同化〗をしていたんだな‥‥‥‥今のお前のその不完全な〖同化〗を前にして見ると良く分かる‥‥‥‥お前、全てが駄目だな。何もかもな‥‥‥‥俺の息子と‥‥‥器とお前では格が違うな。この宝石魔法も本来の力を全く発揮していない。鋼鐵魔法・〖琥珀の鉄槌〗」
「僕の金剛の槍が消し飛んだ?‥‥‥くそっ!お前もあの父の様にっ!アプスの様に五月蝿く説教か?!他人を取り込んで何が悪い?それで強くなれれば良いだけだろう!!何が格が違うだっ!思い知らせてやるよ!!宝石魔法・〖七玉の部屋〗」
宝石魔法の効果が発揮される。アルクの個の力たる〖輝〗が発動する。
七色に光、宝石が輝く空間が造られる。
「‥‥‥‥全てを覆う宝石?‥‥‥アルクの奴。少し会わない期間でまた、新しい技を造ったのか?」
「覚悟すると良いよ。この身体のお父様。この空間では全てが反射し、その反射は君を傷つける。そして、僕はそこに渾身の宝石魔法を叩きつけ、君を倒すんだ。こんな風にねっ!宝石魔法・〖青天石の刃〗」
アルク(アプス)が待つ青天の剣から宝石の刃が放たれ、アダマス王の左肩へと浅く刺さる。
「自身の魔法で貴重な宝石を造り出したのか?‥‥‥どれ‥‥‥純度はまだまだだが、後、五年もすればフレイヤ地方へと流通させても良いかもしれないな。だが、まだまだ地魔法の錬度が足りんな。アルクッ!アダマス国に帰った後、フローライトに一から鍛えてもらえっ!俺の最愛にして、馬鹿息子よっ!」
「な、何だ?何で傷をおってるくせに笑顔で笑っているんだ?君?頭、可笑しいのか?」
「狂ってなければ一国の王など務まるかっ!馬鹿者‥‥‥‥そっちがそう来るのならば、俺も応戦させてもらおう‥‥‥‥鋼鐵魔法‥‥‥‥召喚術‥‥‥‥来たれ俺の友よ‥‥‥‥鋼鐵魔法・〖天青石の虎〗」
ズズズ‥‥‥‥パキンッ!
「ルオオオオオ!!!!お喚びでしょうか?偉大なるアダマス王よっ!!」
「何だ?鉱石の獣?!何だあの生き物は?」
「最愛の息子が馬鹿な事をしている。叩きのめして正気に戻す手伝えっ!セレスタイト!!」
「全て従いますっ!アダマス王よっ!」
天青石の虎が獲物を見る。