二対の蛇は深海の底へ No.6 二蛇
◇◇◇◇◇
摩睺羅伽
頭に蛇の頭を持つともされる。音楽を司る神蛇である。
◇◇◇◇◇
「砕けろっ!〖剛魔の相〗・〖蛇黙愚楽〗」
「また、無駄に手を痛めるだけだぞ。シュハハハ。〖ムシュフシュ・エンキ〗・〖恐れを知らぬ蛇〗」
ムシュフシュの身体は突如として赤色に光出し、摩睺羅伽の剛腕〖神秘・相〗から繰り出される剛の攻撃を真っ正面から受け止め、平然と直立していた。
その余りにも堅すぎるムシュフシュの身体に攻撃した事で、摩睺羅伽の両腕の骨は粉々に砕けたのだった。
「チッ!‥‥‥何度やっても固えなぁ!切れろ腕よ。〖剛切〗」
ズバンッ!
信じられない事に摩睺羅伽は自身の両腕を何の躊躇もなく切断した。
そして、その切断面から新たな両腕が生えてきたのである。
「シュハハハ!!!何度も、何度も再生するとは、お前も大概な化物だな。良いっ!素晴らしいなお前は、俺も久しぶりにこれ程に強い奴と闘えて嬉しくなるぞ」
「好きにやってるんわけじゃねえ‥‥‥‥お前、さっきのあの蝮の仲間とは明らかに全てが違うな?‥‥‥‥伝承か?知名度か?‥‥‥‥何れかは知らねえが。それらがてめえを強くしているな。こりゃあ、俺だけじゃ手に余る相手の様だな」
「何だ?それ程の神聖を持ちながら、もう負けを悟るのか?見たところ、お前の力にはまだまだ隠しているな。シュハハ!!隠さず全てを出しきり俺に敗北してみせろ。俺は強者が負け情けなく死んで行くのを見るのが好きだからな」
「クズの思考だな。見たところお前は強力な神聖を宿している‥‥‥‥‥肉体は変えられていないが。魂の一部‥‥‥いや〖半魂〗をいじられているのか?さっきのバシュムとか言う奴からも可笑しな気配がしたな。てめえらの親父殿とか言う奴はろくでもない奴らしいな!おいっ!」
「シュハハハ!!挑発し、俺の感情を揺さぶろうとしても無駄だぞ。俺は他の兄弟達はと違う。〖防御〗の役割を与えられた〖11の怪物〗の選ばれし、『淡水の三神子』の一人だ。それに親父殿に俺が何をされてい様が些細な事だ‥‥‥‥全てはもう一度本当の母上殿に会えればそれだけで良いのだ!」
「事情は分かったがな‥‥‥‥だからといって別世界の者達を化物に変え。あまつさえ、自身が産まれし地たる故郷を危険に晒して良いわけねえんだよ。俺達の古代の者の時代はとっくに終わってんだっ!その為に〖天上の理〗方は地球から魔力を消し、神秘を秘匿したんだぞ‥‥‥‥時代は変わる。理もその時代を生きる者達の思考もな。それを邪魔する権限なんて俺達には与えられてねんだよっ!」
「シュハハハハハ!!!そんなあちらの世界で起こる事をいちいち考えるか。だが、そうだな。母上殿と無事に再開できた後はあちら側の奴等を化物に変えて楽しむというのも一興かもしれないな。親父殿はあちら側の世界に復讐する事も考えているだろしな。その手伝いを子供が手伝うのは至極当然、シュハハ!!!今から楽しみで仕方がないな」
「‥‥‥‥歪な〖半魂〗の影響で精神汚染が進んでやがるな。早く倒してやらないと元の精神状態に戻せなくなるときてやがる。しかし、ここで全力の攻撃をしたところで無意味。〖剛〗では対象できんと結論づけたのならば‥‥‥‥〖柔〗を使用し時間を稼ぐとしよう。〖柔魔の相〗・〖虚燭腕〗」
摩睺羅伽の両腕が鞭の様にしなり、ムシュフシュへと伸びていく。
「ふんっ!何度やっても同じ事だ!そんな攻撃では俺の皮膚は傷つけられないぞ。〖ムシュフシュ・エンキ〗・〖赤き高皮の蛇〗」
この瞬間、ムシュフシュは守りの選択を誤った。
先程までの摩睺羅伽の攻撃は〖剛〗の力で押しきろうと闘っていた。だが今は違う。〖柔〗の力に変えた摩睺羅伽の攻撃は全てを切り裂く鋭利な攻撃へと変わっていたのだった。
ズバンッ!ズバンッ!
「シュハハ‥‥‥‥ハ?‥‥‥何故、俺の尻尾と右腕が切れている?そして、高皮から血が出ているだと?」
「〖剛〗が駄目なら〖柔〗に‥‥‥‥固い敵には切れ味鋭く、切断する柔魔の力で対処してやろう。それでも勝負はつかないと思うがな。奴が来るまでの間の繋ぎとしては持つだろうよ」
「‥‥‥‥成る程。お前はこんな攻撃までできるとはな。思いもしなかったぞ、ならば此方からも攻撃を初めてやろう覚悟しろよ。同じ古代の存在よ」
少し離れた場所
「おぉ!彼処にいましたか。短時間でこれ程離れた場所まで行っていたとは流石、摩睺羅伽殿‥‥‥今、合流しますっ!〖水龍潜〗」